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プレゼン当日。クレスト・テクノロジーズの佐藤は、田中部長とともに大手クライアントの会議室に足を踏み入れた。広々とした会議室には、クライアント企業の役員たちが並び、重厚な空気が漂っている。佐藤の胸には自然と緊張が走ったが、それでもその緊張は彼にとって心地よいものだった。これまでの努力が報われる瞬間が、まさにここにあると感じていた。
田中部長が挨拶を済ませ、佐藤にバトンを渡す。佐藤は深呼吸し、用意していた資料をスクリーンに投影すると、プレゼンテーションを始めた。彼の声は落ち着いており、自信に満ちていた。
「本日は、お集まりいただきありがとうございます。今回の提案は、貴社の成長に大きく寄与するものであり、共に未来を創造するための重要なステップとなります。」
佐藤は資料をスライドさせながら、プロジェクトの概要から具体的な戦略、期待される成果までを論理的に説明していった。彼の言葉は明快で、必要な情報を過不足なく伝えるものだった。クライアントの役員たちも、彼の話に耳を傾け、時折うなずきながらメモを取っている様子が見受けられた。
プロジェクターから放たれる光が、佐藤の顔を明るく照らす。彼はスライドごとに資料の内容を詳しく説明し、クライアントの具体的なニーズにどのように応えるかを強調した。そのたびに役員たちの目が輝きを増し、興味深そうに頷く姿が見えた。
田中部長は、佐藤のプレゼンを静かに聞きながら、安心したような表情を浮かべていた。部下の佐藤がこれほどまでに見事にプレゼンをこなしていることが、彼にとっても誇りだったのだろう。
プレゼンが終わると、部屋の中にはしばし静寂が訪れた。佐藤は一瞬、緊張して胸が高鳴るのを感じたが、それもすぐに和らいだ。クライアントの役員たちが立ち上がり、佐藤に歩み寄ってきた。次々と握手を交わし、彼の手ごたえを確認するかのように、温かい笑顔を向けた。
「素晴らしいプレゼンでした。これからの協力が楽しみです。」
クライアントの役員たちの言葉は、佐藤にとって最高の褒め言葉だった。田中部長も、ほっとした様子で佐藤の肩を軽く叩いた。
会社に戻ると、田中部長は早速役員会議室に向かい、プレゼンの結果を報告した。佐藤もその場に同席し、役員たちの前で再びその日の成果を共有した。
「今日のプレゼン、非常に良かったです。クライアント側も大いに関心を示していました。佐藤君の努力が実を結んだようです。」
役員たちからはねぎらいの言葉が飛び交い、佐藤の顔には自然と笑みが浮かんだ。これまでの努力が実を結び、ようやく大きな一歩を踏み出したのだという実感が、彼の胸を満たしていた。
手応えは十分だった。あとは、クライアントからの連絡を待つだけ。佐藤は、次の一手を準備しながら、これからの展開に期待を寄せていた。




