キミの名、私の名前は
「キュアはキュアに引かれ合う、そうなのですね?!」
「ど、どうなんでしょう」
そんな、物語では無いんですから。
『そんな事は無いと思いますよ』とは言えないのが恐い所です。
「同じ志しを持つキュア同士、私とお友達になって頂けませんか?
私達が魔王を倒して、世界に笑顔と正義を取り戻すんです」
キュアソードは笑顔と正義のキュア、スマイルジャスティス♡ キュアキュアでしょうか。
「お友達は良いのですが。
魔王と戦い倒すと言うのは、私には荷が重すぎるというか力不足というか」むりで嫌だ。
(正義の対語は、異なる正義。
正義とか善意とか慈愛とか、いきなり言う人間はちょっといや)警戒します。
詐欺師か宗教の教祖みたいです。
そんな女の子に背中を預けての戦いは危険過ぎます、正義の為に玉砕!とか。
(顔も知らない人間の為に、痛くてしんどい、疲れる事はしなく無いんだ)
「力不足が心配なのでしたら私と一緒に強くなりましょう。
私もまだレベル4の若輩ですが、一緒にキラーイを沢山倒してレベルUp!です」
距離を取ろうとする私、その手をつかむ彼女。
キュアレイピア、彼女の手は柔らかくその指は放す気配が無い。
「・・・私、魔王を倒す為に、その他大勢を犠牲にすると言うのは好きではありませんわ」
敵であれば殺す、でも魔物だから・キライだからという理由で殺すのは違う。
魔物だから殺すのが当たり前、それが正義と言うのであれば私は悪でいい。
私は悪として私の敵を殺し、悪人らしく自分の意思・自分の都合で魔王を殺す方がいい。
「キラーイは皆様に悪さをする悪者ですわ。
それを退治するのがキュアの役目です。
悪者を倒す事で、皆を困らせる悪い魔王を倒せるように強くなれるのでしたら、キラーイを倒す事は正義です!私は愛と正義の戦士、キュアキュアとして選ばれたんですわ。
その使命を果す事は悪い事ですか」
「正義とか悪とか、ヒトの尺度とヒトの見方だけで・・・あぁ、ええ、うん」
思い込み・それとも洗脳でしょうか、説得は無理そうです。
子供相手に思考を支配し、都合のいいように染め上げられてるのでしょうか。
(洗脳された子供相手に、言葉で伝えるだけでは理解させるのは無理ですね。
現実を自分の目で見せて、自分の頭で考えてもらう。
そうしないと反発されるだけですよね)
『力無き正義は無力、力無き理想は無意味、弱者が語る理想は無価値』
暴力・資本力・発言力・力を付け、私が強者になるためにすべきであるなら。
「強くなるためになら、一緒に戦います。
それで良ければよろしくお願いします、キュア・・・レイピア」
「強くなる為、ですか・・・ティアナ様」
彼女は少し寂しそうな表情を浮かべ、ゆっくりと瞼を閉じた。
(・・・?)
「レイピア様、私の名前をどこで?以前どこかでお合いした事が?」
この身体の持ち主の知り合い?それとも既に回状が回ってるのか。
人相書きか指名手配書、あの屋敷の連中が私の首に賞金でも掛けましたか。
「え?!ええ以前、レーディン侯爵様のパーティで1度。
あの時はティアナ様と王子様とのご婚約の発表があった日ですわ。
私達と同世代の男女も多く出席させていただきましたの」
(彼女も爵位を持つ家の子息なのですね、お金持ちの子供というのは・・)欺されやすいですね。
(賞金稼ぎで無いようなので、一安心ですが。
そもそも、どなたなのでしょうか?
私との関係は知り合い?それとも友人?名前すら解らないんですけれど)
「?・・ああっ、私、今はキュアでした。ティアナ様少し待って下さい」
キュアレイピアの左手がリボンに触れた。
淡く光るピンク色の光りの粒子が彼女を包み、リボンがふわふわと舞いながら彼女の左手首に巻かれ、瞬くほどの瞬間に少女の姿が現われた。
明るいブラウン色の髪が僅かに波を作り、幼い顔の中に凜とした眉と力強い大きな瞳、身長は140~150でティアナより少し低いくらいの活発そうな女の子。
(キュアレイピアさん、少し小さくなったような・・・)
“フィン様です”
そもそも面識の無い彼女に不審がられないよう、どうやって誤魔化すか、思考を巡らしていた私の脳内に天の声が囁く。
「えっと・・フィン様?」
「ハイ!」
明るいブラウン色の髪が僅かに波を作り、幼い顔の中に凜とした眉と力強い大きな瞳、身長は140~150でティアナより少し低いくらいの活発そうな女の子。
「父がレーディン侯爵は良い友人だといつも仰ってました、なので私もティアナ様とお友達になれたらいいなって」
顔が近い!なにこの距離!
女の子どうしだからでしょうか、距離が近いですわ。
(・・・オレも結婚とかしてたらなぁ、、、このくらいの年齢の子供がいて、普通に話して休日に遊びに行って・・・無理だな)
薄給!サビ残!休日出勤当たり前のオレが結婚なんて出来る訳が無い。
そもそも彼女もいないんだった。。。
(結婚した所で、嫁のATM[現金自動預け払い機]にされるだけ。幸せな結婚なんてある訳が無いんだ。
そうだよ、恋人とか彼女ならまだ頑張れば何とかなるだろうけど、結婚なんて不幸はいらないんだ)
安月給の40男と結婚するような婚活女の考えなんて、働かずに養われる・・・寄生する事しか考えていないんだ。
結婚なんて絶望は誰も望んでいないんだ!
(・・・それが美人で、帰ると笑顔で出迎えてくれて。
暖かくて美味しいご飯を作ってくれるようなひとなら、オレはATMになっても後悔は無い)
けれど現実はそんな女性はいないんです。
「?ティアナ様、泣いていらっしゃるの?」
「え?あっ、いえ、目に埃が入ってしまって」
悲しくて泣いたわけじゃない、現実っていうどうしようもないゴミが目に入っただけなんだ。
目を開いたらゴミが入ってくる、嫌な現実だ。
「ええそれより!どうしてフィン様がこんな場所に?
それも・・・キュアになっていらっしゃるのです?
その、、言い方は悪いですが、あの動物は良くない生き物ですよ?」
端的に言えば害獣、中身は悪魔か魔獣、子供の夢を食い物にする邪悪な生物。
「そうなのです?ペリーは喋る不思議な鳥ですが?
私、ペリーが悪い事をする所を見た事はありませんけれど」
フィン=マリエール、そしてティアナ=レーディン。




