タイトル未定2024/04/04 17:14
(あっ!危な!)鋭い爪が肌を掠る。
背中まで傷を付ける所だった、マジかよ。
自分の身体、男の身体ならまだしも、この貴族の少女の身体を傷物にするのはダメだ。
(この状況はまずい)
どんな原理かは知らないが、ヤツはこっちの居場所を完全に把握している。
草群は身を隠す事には向いているが、追われる時は不利。
追われるより、追う者に有利な地形。
(今は無事でもいつかは捕まる、なら・・・)
ティアナは位置・方角・距離を計算し、ショートソードを握る。
草が薙ぎ倒され、獣の疾走が音を立て突進してくる。
“!ドッ!”??地面が揺れ土が跳ね上がった。
「良し!」
獲物は罠に掛り、私はその首を狙う。
左右の草を束にして掴み、ソレを括った程度の罠。
縛った草に足が取られ、敵を転ばす程度の罠。
それでも走る獣の足を止めるには十分。
地面に根を張る草の根が土ごと吹き飛ばされ、ホブゴブリンの腕に草が絡み着く。
『死ね!』必殺のタイミングだ。
起き上がる前に首を切る!
グガァァァ!!
飛び出したティアナの目に写ったホブゴブリンは不意の拘束に怒りに振るえ、腕を振り回して吠えた。
ガシィィィ!!!
「な?!」
首を狙うショートソードがヤツの腕に阻まれ、逆に吹き飛ばされた!
大人の男がバットでフルスイングしたような速度と威力、ショートソードは弾かれ、ティアナがとっさに手を放して無ければ逆に手首ごと折られいてた。
「堅っ!この化け物め!」バックステップ!
逃げながら次ぎの手を考えないと!!!って!
(追いかけて来るだと?!)
草群から追い出されるように飛び出し、あの畜生[はりねずみ]の姿を探す。
地面に伏せて身を守り、我関せずと棘を立てるヤツを。
「協力しろ!武器だ!武器を寄こせ!」
「良いのかい?ボクの武器は魔法の・・」
「良いから寄こせ!死にたいのか」
最悪はコイツをヤツにぶつけて殺る!『ハリネズミ!君に決めた!』とか。
『とげちゅ~~』とか言って戦ってくれないかでしょうか?
『ふわっ』と光りが集まって形が生まれ、片手持ちの曲剣が空中に現われ浮かぶ。
「光りのキュ〇ソード、[フォルシオン]だよ。さあ、その手に掴んで」
「そんな事、言われなくても!」わかってます!
怒り狂い、草の壁から飛び出すホブゴブリン。
ヤツは5mほど先にいる私の姿を目で捕え、走り出している。
ゆっくりと私の目に映る世界、空中に現われた光り輝く剣は私の手に。
柄に指が触れ、金属の堅さと光りの暖かさを手の平に感じる。
「?」
キュア ソードの変身バンクが始まった!!
青い世界で無数の星の光に囲まれ、来ていた服が純白のワンピースに。
『くるっ』自然に身体が回り、純白のワンピースが青い星空に染まる。
ニコッ、笑顔の私は曲刀を抜いて真上に!
そして刃を抱き締めて柄に口づけを。
(??!!ヤバイ!)取り込まれる!
剣を力で引き離し、重いっきり地面に突き刺す!
「オオォォオォオオオ!!!!!変身だ!」
太陽を描くように指先を伸ばして右腕を回して・・ビシィィ!!
「漢、漢ってなんだ!振り向かない、ことさ!
愛って、なんだ!輝き続けるこーとーさー!!!」
「???!!え?えーー?なんでーーー?」魔法少女じゃない?
「危なかった」あのまま行けば、私[40歳男が]ヒラヒラの可愛いになってしまう所だった。
「変身バンクを無理矢理止めた?!キミは一体?」
「オレは漢だ、一足お先」
光りの早さで、、、ダァシュだぁぁ!!
鞘の無い曲刀[フォルシオン]それを握った瞬間わかった、この剣はヤバイ。
刀身が1㎏にも満たない軽さで、掴んだ瞬間に手に馴染むバランス、そして持っているだけで空気を斬っているような刃の鋭さ。
片手剣の姿をした剃刀、なのに持つ者に安心を与える金属の力強さ。
聖剣か神剣、それに類するナニカ。
・・・・・・・・・・
「?なんで?なんでキミはキュア化しないの?」
走り出した少女を観察するハリネズミ。
筋力4俊敏性4体力4、知力は不明、精神力も不明。
キュア化すれば可愛い服と可愛い靴と手袋の姿になる。
全てのステータスは10倍・15倍になって重力の干渉さえ緩めてしまう、それがキュアキュア。
「『正義の煌めきは白刃の光り!キュア・フォルシオン!』ってポーズになるのに」
ティアナの変身はポーズを決めた瞬間、背後が爆発した。
「訳がわからないよ」
走り出す彼女の髪がサイドテールで、可愛く虹色のリボンで纏められている以外は何も変わっていない。可愛いのは横顔だけだ。
「ダメだよ!そんなのじゃ、そのホブゴブリンには勝てないよ!」
筋力30俊敏性20体力41知力1精神力1、状態[狂化]
知力・精神力以外、全てにおいて少女を上回る数値。
今まで立ち向かって生きていただけでも奇跡だ。
(完全にキュア化すれば勝てるのに!)
少女と獣が交差する!
その剛毛の太い腕を横薙ぎに、少女を両断する狂化された爪が彼女を襲う!
「ダメ!!」ハリネズミが叫んだ。
彼女の影が瞬い《またたいて》て揺らぐ、そして少女は振り向いた。
死の間際の笑顔だろうか、優しくて清らかで儚い笑顔だった。
転生・転移・巻き込まれ・追放・貴族令嬢・変身・元勇者・元社畜・元ブラック企業戦士、
この先もまだまだ増えます。




