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タイトル未定2024/04/03 22:10

 憎悪・悪意・敵意・空腹、喉を切られたゴブリンは消えていく意識の中で、目に写った物は、目の前に転がるゴブリンの死体だった。


 焼けるような喉の痛み、自分を殺した人間への憎悪、命が消えゆく中でゴブリンは吠えた。


 殺す!殺す!殺す!全部殺して肉を食い千切って踏み潰してやる!

 肉の壁にもならなかった足手まといのクズ共、生きたまま顔の皮を全部剥ぎとり、内蔵にクソをぶちまけてやる。  


 まだ息をしていた瀕死のゴブリンの首に噛み付き、仲間の肉を食った。

 同族の熱い血が喉を通り、身体の肉に血が満ち、ゴブリンの憎悪が燃え上がる。


 怒りの炎が全身を焼き、全身の筋肉が焼けるような熱を持つ。


 鬼の種族が持つ能力、禁忌[同族食い]を犯したゴブリンにスキル[怒り]を目覚めさせる。

 [怒り]は筋力を倍加させ痛覚は消え、敵が全て消えるか体力が無くなるまで暴れ続ける。


 伝承では、[怒り]とは鬼の神が同族に与えた贈り物[ギフト]と呼ばれている。


 瀕死からの復活・同族食い・スキルの開花、それがゴブリンを進化させホブゴブリン変えた。


(つまりハリネズミが居るから強化が切れないんでしょう?!)

(だって!ボクだって死にたくないんだもん!)


 [怒りは]立っているだけで、呼吸をしているだけで身体に負担をかける。

 怒りが切れた瞬間、無力・無気力になり、全身の筋肉は切断され、腱も筋も再生するまで身動き出来ない人形になる。


(それが期待出来ないとなると・・・)


 飢えて狂ったホブゴブリンを放置して町を襲うのを見守るか、それともこの場で始末するか。


 勝てもしない魔物相手に飛び出すのは愚策、ケガもしたく無い、逃げるのが得策。

 

「ですが・・ですけれども・・ね」


 戦いの勝敗は力の強さだけでは決まらない、そう公言してしまいましたから。


 ハリネズミ相手の戯れ言としても、自分が吐いた言葉を無責任に覆すのは挟持に反する。

 少なくとも一撃、多少のダメージを与えてから逃げる。

 その程度の事をして見せないと、自分の言葉が嘘になる。


「って事でタイマンですわ、やってあげますから掛って来なさい!」

 右手には斧、左手にショートソード、足はくたくたで体力は限界。


(それでなんで私は、あんなのと戦うなんて思ったんでしょうね?・・・って、ふふふっ)

 疲れ過ぎて笑えてきます。


 目の前の少女が不意に笑う、自然に、そして楽しげな笑みを浮かべている。

 掴めば折れる細い腕、振るえながら立つ足。

 その手には似合わない斧と短刀、それで自分を殺そうとしている。

 怒りで燃えたぎる頭でもそれくらいは解る、アレは敵、殺す!


 頭の全てが憎悪に染まる、目の前に立つ物を壊す事だけしか考えられない。

「ガァァア!!!!!」耳を劈く獣の咆哮!


「っ・・うるせぇなぁ」

 耳がキンキンする、両手が塞がってるから耳を塞げない時に、喧しい!

 雑音を立てるな!


 大声を叩き付けるホブゴブリン、私は衝撃に身体を叩き付けるように走り出す。

 身体の芯が振るえ動きが鈍る、恐怖で身体が竦む。

 それでも前に走る足は止らない。


『ヒトは死ぬ、故に死は恐れるに足らず』

『死を恐れず死に向かえば、持って生を得る』

 死ぬとか痛みとか恐れずに、死に立ち向かえば勝利を得るって事らしいです。


 無心でただ真っ直ぐ進み、その五月蠅い口を黙らせる! 横一線!

 喉を狙う左の剣閃!


(手応えが浅い、ホブゴブリンは身体を仰け反らせ剣を避けた?この狂気で、コイツ!)

避けやがりました?!


グガァ!!!!“いまのは、、コイツか!”

 自分の喉を斬り裂いた影はコイツだ、コイツがオレの首を!


 獣の直感が、鼻に残った鉄の匂いが、狂ったホブゴブリンに左の剣の姿を見せたのだ。

「nn、kァァァ!!!」


「だからウルセェって」左をかわされたら右を使う、狙いは当然無防備な足!

身体が仰け反ったホブゴブリンの足、その足の甲に振り下ろすのは右の斧!


 ゴキブチバキ!!!

 裸足のゴブリン、その足の甲に突き刺さり、骨を折り砕き割る斧の一撃。


 爪先は潰れたよな?痛みは感じ無くても不都合は感じるだろ?

 ティアナは素早く手斧を手放し、転がるように離脱。


「っって!マジです?!」


 足の先が半分千切れているにも関わらす、ゴブリンはオレを目掛けて追いかけてくる。

 獣のように手を前足に使い、足は地面を蹴りながら走って来る。


 ブンッ!

 転がり逃げる私の足を掠るゴブリンの爪。


?・・足が切れた?

 掠っただけで真っ直ぐな赤い線が引かれ、私の血が地面を濡らした。


「チィィィ!!てめぇ」

 とは言う物の、転がり逃げる先は当然草群、そこは身体の小さい私が身を隠す私の領域。


(ボケが、この女の身体に傷を付けやがって、絶対にブッ殺す!)

 

 身体を低く息を殺す、ガサガサと派手に動くホブゴブリンから距離を取る。


(この草群の地形効果を使えば、身体の小さい私を見つけることなんて・・・? なんです?

この場所がバレている?)


 音を立てないように藪を掻き分けて泳ぐ私の後を、追いかけるように草音が騒ぐ。


(まずい!)


 背後から聞こえてくる騒音と怒れる獣の熱気を感じた瞬間、恐怖で真横に飛び逃げたオレの背中に爪が!

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