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ブラック企業の社畜・四十路のオレ、久し振りの休日の朝、散歩していたはずが気が付けば異世界で貴族の少女に転生していました。

40歳ブラック企業社畜、貴族令嬢に転生、追放、どうしましょう。

(????どこだここは?)


 目の前でお怒りの男、横を向けば不愉快な笑顔で笑う美少女、何がどうなってるんだ?


「お前は自分が何をしたのか解ってるのか!今すぐこの屋敷から出て行け!」

 17世紀ヨーロッパ風の貴族服を着た男が、怒りで震える指を向け唾を飛ばしてくる。

(何を怒ってるんだ?オレが何をしたって?)


「とぼけても無駄ですわお姉様、お姉様がラウル王子に失礼な事をしたせいで婚約は破綻、これで侯爵家である我が家は准侯爵に格下げですわ。この責任は取っていただかないと」


(この子は何を言っているんだ?王子との婚約?オレは生まれて40年、ずっと・・・?)


 壁にかかった鏡、そして怒気を上げる男の背後に開いた窓、そこに映る困惑顔の美少女・・・まさか・・な。


 少し自分の口元を上げてみた、そうすると窓ガラスに映る少女も引きつった顔で笑った。


「ちょっ!一寸まってくれ!なっ、なにが???」

 

「なにを今さら!この家には貴様のような娘は要らん!追放だ!」


 混乱している間に屋敷から放り出され、背後の扉が重い音を立てて締まってしまった。

 もう開く気配はない。


・・・・・・・

 

 3週間ぶりの休日だった、天気予報は晴れ。

 だからたまった洗濯物を回し、その間に散歩がてら近所のスーパに買い物に行った。

 

(そこまでは覚えている)

 そこからの記憶が無い、一体ここはどこで、何がどうなってるんだ。


「1月の残業が90時間を超えると頭がどうかなるとは聞いたが、それが半年以上続くとこんな幻覚を見るのか・・・」


 氷河期を超えた超氷河期、時代は派遣業が中心になり正社員は薄給の労働奴隷。

 残業は半分も認められず基本はサービス残業、派遣社員を管理する管理職扱い、と言う名の最底辺労働者になっていた。


(現実逃避もここまでくれば病気だな、さて、そろそろ起きて病院に・・・)

 精神科で安定剤でも処方してもらう、そうすればまたすばらしい地獄の日々が待ってるんだ。


「・・・で、どうやったら起きるんだ?」

 天上に問えど空は答えず、目の前には道が一つ。


「走るか」

 少なくとも自分は、この屋敷から追い出されたのは事実らしい。

 屋敷には自分の居場所は無く、あるのは前に続く道だけ。

 道なりに走っていればいつかどこかに着く、なら呆然として立っているより走った方が良い。

 走っていればそのうちに目が覚めるかも知れない。

 貴族の少女に転生して追放とか、絶対あり得ないから。


・・・・・・


 少し走ってみて解った、この靴・この服・この身体、走るのに向いて無い。


「なんだこの服」締め付けられて息苦しい、靴も底が薄いから足の裏が痛い!

 腕も指も細くて白い、なんだこれ?

 本当にオレの身体が女の身体になってるのか?


 ふにふに・・・柔らかい、まさかな。

(・・・これは・・・)

 変な下着だ、おそるおそる手を伸ばし確かめ。。。


 無い!有るべき物が無い、マジか!

 40年ずっと一緒だった相棒が消えてる!


「いやいやいや・・まだ慌てる時間じゃない、これは夢、悪夢だ、夢なら・・・」

 これが夢だとすれば、現実のオレは今は道路で倒れているのか、

 それともアレは起きた夢を見ただけで、実はまだ夢の続きだったり・・・。


「残念だが夢じゃないんだなぁこれが。お嬢ちゃん、悪いが死んで貰うよ」

 

 頭を抱えていた所に痩せた男が、まるで待ち伏せでもしていたように木の陰から姿を見せた。


「死んで貰う?」

 そういう夢か?夢とは深層心理の願望とか不安を表しているらしいですが。


(女になって殺されるって?ストレスが溜まりすぎて自殺願望でも見始めたか・・・)


「まぁその前に、ちょっとは良いおもいさせてやるよ」

 知らない男は歪んだ笑い顔とねちっこい喋り方だった。

 痩せた男は、皮の手袋でにぎにぎと手を動かし近づいて来る。


[寒気]

 (なんだこの寒気、こいつまさか!)


「オレを犯すつもりか」

 男だぞオレは!仮にそんな趣味がオレに有ったとしてもこんな薄汚い男に?!


「オレだと?・・へっ、まあいい、解ってるなら抵抗するなよ?痛いおもいしたくないだろ」

 抵抗しても同じだがな!逃げ道を塞ぐよう両腕を拡げ、飛び掛かって来た。


「アホか」

 足を前後肩幅に開き身体を捻るように左肘を後に、そして右手の指は猫手ように指を曲げ、、、そして軌道は下から35度!

 敵の顎を狙い。

「撃つ!」


『カコンッ!』そんな感じの手応え。

 痩せた男の顔は真上に、そして膝が崩れ前のめりに倒れた。


「無防備に近づくからそうなる、、、さてと」手首痛い。

 意識は飛ばしたがダメージは無いはず、(首が折れて無ければ、ですが)

 その前に拘束して持ち物を取り上げて、、、「現状の把握だな」


 夢だとしても、薄汚い男にケツを掘られて殺されるとか悪夢にも程がある。

 そんな願望は私には無い、断固拒否します!


 取りあえず目覚めるまではここの住人として暮す必要がある、ならばまず情報の整理と安全の確保、、、

『ぐ~~~~』そういえば腹が減った、ご飯とかどうしよう。


好きな物を色々詰め込んだ結果できた物語、この先も続きます。

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