表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/44

プロローグ2

 少女が目を覚ますと、そこは真っ白で何も無い空間だった。


「あなたは?」


 何も無い空間に少女以外にもう一人の少女がいた。

 見た目は普通の女の子だが、気配が人のそれでは無い。


「余は、アステカシア。気軽にテシアと呼んで」

「じゃあ、テシア、私をここに招いた理由を聞いても? ここは恐らく神の回廊、もしくはそれに近い場所だと思うのだけど」

「その推察であっておる。余が貴様を招いた理由だったな。簡単ことさ」


 テシアが一泊置いて口を開く。


「貴様に魔獣王オルテガ・ソシエティアを討伐してもらいたい。報酬は、余たちが管理するこの世界への転生権だ」

「いいよ。その依頼は、厄災の魔王たる私が引き受ける」

「では、罪人よ、良き旅を」


 テシアが魔法を使おうとした時、少女が咄嗟に止める。


「ちょっと待って! 聞きたいことがあるの」

「ふむ……余の権限の範囲なら答えよう」

「じゃあ、お言葉に甘えて。……あなたは神なの?」


 テシアが頷く。


「余は、豊穣と廻りを司る。他にも回帰などの権能を有している。後者はあくまでサブだがな」

「神なら直接魔獣王を殺れるんじゃない?」

「それは無理だ。世界には理がある。我ら神々は世界がどうにかならない限り、その権能の行使は基本的にはできん。例外はあるがな。そして本来、魔獣王は人が越えなければならないもの」

「なるほど。じゃあ、質問を変える。魔獣王はいつ復活するの?」

「わからぬ。余は時間を司る神ではない。故に、無限の時を生きる者に頼んでいるのだ」


 少女は、テシアが嘘をついているようには見えなかった。

 だから、その言葉を信じて話を続ける。


「私は、魔獣王の討伐後とその前は自由に生きていいの?」

「構わぬ。だが、体に刻印を刻んでもらうがな」

「刻印?」

「ああ。貴様が原罪を犯し、第八の厄災となった証だ。わかりやすい言葉で言うなら、原罪の刻印だ」

「あなた達が私を管理しやすいようにするって事だね」


 テシアが首を縦に振って肯定した。


「何、悪いことだけでは無い。その刻印を使えば汝の力をさらに上の領域に導くこともある」

「いいわよ。刻んで!」


 テシアの言葉を聞いた瞬間、少女は嬉々として望む。


「ふむ。これを率先して刻まれたがる奴は、初めて見たぞ」


 テシアが驚きながら、刻印の準備を行う。


「刻印は、貴様のフェイスペイントで良いか?」

「ええ! このペイント自体に魔法的意味もあるし、かっこよく見えるからお願い!」


 少女の言葉を聞き、テシアが刻印を始める。

 

「これでどうだ?」


 テシアが鏡を作りだし、少女に差し出す。

 少女が鏡を受け取った。

 すると、興奮気味に自分の顔に見惚れる。


「うん! かっこいい!! この額のもいいセンスしてるよ! 前から入れたかったんだよね~」


 少女のフェイスペイントは、元々額にはない。

 これは、テシアが新しくフェイスペイントの他に追加したものだ。


「喜んでもらえて何よりだ。……では、今度こそ」

「ええ! 依頼はしっかりこなすから安心して! ふふ、今世は剣でも鍛えてみようかしら」


 テシアに親指を立て頼もしそうに振る舞ったあと、ニヤつきながら転生後のことを考える。


「罪人よ、良き旅路を! 厄災に祝福を!! 罪獣に喝采を!!!」


 テシアがにこやかに少女を送り出す。


「テシアには、また会えそうな気がする」

「その時は、友として語らおうじゃないか! 厄災の獣よ!」


 二人の頬が緩まる。

 そして別れ際に互いに微笑を浮かべるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ