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プロローグ

 黒髪の少女が戦場を高台から見下ろしていた。


「さ~て、集大成を見せちゃうよ~」


 厄災と呼ばれた少女が、超大型の立体魔法陣を展開する。

 空には天を覆う程の魔法陣が描かれ、さらに少女を中心に超大型の立体魔法陣が描かれる。

 立体魔法陣の方では、幾つもの魔法文字が現れては消えていく。

 同じ文字が浮かび上がることは無い。

 ドス黒く、禍々しい魔力が少女から放出される。


「――ここに世界は(ラヴィア・)滅びゆく(アンドラーデ)


 神域の領域に到達した最強の概念破壊魔法が発動した。

 第一二位階魔法の更に上、超越魔法と呼ばれる第一三位階を越える神域の魔法。

 人間が行使できる限界点。

 その魔法の威力に、少女が住む小さな世界は耐えられなかった。

 世界は一瞬で崩壊した。

 そもそもこの世界では、神域魔法が使われることは想定されていなかったのだ。

 なぜなら管理者が居ない世界であり、詰まるところ世界構築のテストで作られた場所だからだ。


「これは流石に想定外だよ~」


 少女が涙目で言った。

 戦争してたから止めるついでに殲滅しよう、という軽い気持ちでやった行為で、まさか世界が壊れるなんて誰が予想できるか。

 崩壊して虚数の空間に成り果てた世界で少女はただ一人生きていた。


「やっぱり、私は死ぬ事が出来ないんだね。ま~死にたいわけじゃないからいいんだけど……」


 色がない世界に寂しさを感じながら、魔法のレポートを取る。

 この少女は、本来、人類が乗り越えなくてはならない七つの厄災を一人で討伐し、その全てを取り込んでいる。

 そして自身が崩壊しないよう特別な魔法で、自己改造を行っていた。


 今回、世界を滅ぼした結果、七つの獣のうち番外個体、第八の獣として世界に証明された。

 獣とは、人類が背負った原罪を具現した存在だ。

 だが、少女は自身の罪を背負うことになった。

 そして少女には、更なる烙印が刻まれる。

 それは厄災だ。

 人類が乗り越えなければならない七つの厄災。

 その番外個体、第八の厄災としても世界に証明されてしまった。

 だが、少女にとっては、それすらも研究対象になってしまう。


 世界崩壊から■■■■年経過。

 ついに、少女は魔法の極致へと辿りついた。


「できた~! やっと完成した!! これぞ究極の魔法! そうだな~名前は……じゃあ魔法の名前は自分の名前にあやかって『■■■■』に決まり!」


 何もない世界で、少女は一人で喜ぶ。

 賞賛する者はいない。

 喝采する者もいない。

 そして少女は、自分の生を終わらせることにした。


「そろそろ潮時かな。もうやることもない。これ以上は、人として生きられそうもないみたいだし……」


 これ以上この場所に留まれば、精神すら人をやめてしまう。

 そう悟った少女が、前々から用意していた転生の魔法を使った。

 光り輝く幾つもの魔法陣が、光無き世界を照らした。

 こうして少女の生涯は、幕を閉じるのだった。

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