話せば分かるのに
リオウ「はあ、はあ、はあ」
深夜2時過ぎ。
月明かりだけが頼りの真っ暗な暗闇の森の中を急いで走る。
リオウ「はあ、はあ、はあ」
間に合って欲しい
リオウ「はあ、はあ、はあ」
そりゃ、目の前に急に竜が来たら普通、人は驚いてしまう。間違っても友達とは思わないだろう。
しかも今回相手は大人数の騎士だ。
騎士の目の前に竜というモノがいれば、そりゃ、争いになるのは目に見えている。
しかも、今回はどう考えても、戦いに来た、としか思えなかった。
馬車、5台って、、、、
一台に八人乗ってたとして、40人近くの騎士がいるという事になる。
それは戦争するのと変わらない人数だろう。
リオウ「間に合ってくれーーー!!」
一人、暗闇に叫ぶ
話せば分かるんだから。リュカは良い竜がだって。
でも戦いになったらどうなるか分からない。
だから、その前に、止めないと。
伝えないと。
リュカは良い竜なんだって。
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暗闇の中を走りながら先程のナナミとの会話を思い出す。
ナナミ「どうかしてるよ、リオウは」
ナナミ「騙されてるんだよ。」
ナナミ「いつ、襲って来るか分からないんだよ?」
ナナミ「怖いよ」
ナナミ「近くにあんな大きな竜がいるなんて」
ナナミ「安心して、眠れないよ」
ナナミ「だから、王国騎士団に連絡したの」
ナナミ「直ぐ来てくれるって。」
ナナミ「良かった。早く退治して欲しい」
なんで、、、どうしてそんな事を
見たら分かるじゃないか、リュカは人を襲うような竜じゃないって
ナナミはリュカと話したじゃないか。なら分かるはずじゃないか。
リュカはとっても良い竜だってこと!
なんで、そんな事、したんだ、、、、
バカ!
ナナミのばか、、、、
暗闇の森の中をひた走る。
ふと、リュカが何故
『ワシの事は誰にも言ってはいけないよ』と
言っていたのか
分かったような気がした、、、、、
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リオウ「はあ、はあ、 はあ」
森の中心にある滝まで来た。
正確には、"滝のあった場所"、まで来た。
え?
、、、、なんで??
滝が枯れていた。
水はちょろちょろとしか流れていない。
滝壺の底の岩場が丸見えになっていた。
この丁度滝壺の真下の岩場
そこは、岩場に見えて通り抜けられる不思議な岩場。白竜のリュカのいる場所に行けるトビラ。
そこが、滝が枯れた事によって丸見えになっていた。
リオウ「そんな事、、、出来るの??」
王国騎士団には不思議な術を使う者もいるという。
驚きはしたが、こんな大それた事、出来たとしても、不思議では無かった。
カーン、カーン、キーン、キン!キン!
ワー、ワー、ワー、ワー、
音がする。声がする。
その不思議な岩場の方向から。
それはさながら戦争の音、と思った。
リオウ「戦ってる、、、、?」
きっとリュカと王国騎士団が戦ってる音だろう
そうとしか思えなかった。
戦いが始まれば、どちらかが倒れるまで終わる事は無いだろう。
リュカが傷付いても困るし、王国騎士が傷付いても困る。
でも、、、!
リオウ「早く、戦いを止めなくちゃ、、、」
出来るかは分からない。
けど、やらなくちゃいけない。
話せば分かるんだから。
誤解だって。
リュカは良い竜だって。
話せば、分かるんだから、、、
僕は
一足飛びでその不思議な岩場に飛び込んだ、、、、、、、