表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜と少年の物語  作者: ふるたく
3/9

ナナミ

この村の外れの森には、ドラゴンが棲んでいる


誰もが知っていて、誰も信じていない口頭伝承。


でも、僕だけが、その真実を知っていた、、、、



__________________________________


2時間程かけて、この森の中心の滝までやってきた。


ナナミを連れて。


ナナミ「ここに、いつもいるの?」


リオウ「そ!」


ナナミ「でも嘘よ。誰もリオウが森にいるのを見た事無いんだから」


リオウ「僕がここにいつも来ているのは本当。でも、実は続きがあるんだ。」


リオウは滝壺を見る。


リオウ「ここ。」


ナナミ「え?」


リオウ「この、下、なんだ」


と、滝壺の下を指差す。


ナナミ「、、、この下って、、、、、、滝壺の、中??」


ナナミが怪しげな何かを見るように滝壺を覗き込み、眉間にシワを寄せ、怪訝そうにこちらを見る。


、、、無理も無い。


リオウ「水着、着て来た?」


僕は(そのナナミの怪訝な目に気付かないフリをして)、服を脱ぎながらナナミに尋ねる。


、、、勿論既に僕は服の下に水着を着てきている。


(普段、僕1人の時は水着なんて着ないんだけどね)


ナナミ「う、うん、、、一応」


と、ナナミは恥ずかしそうに頷き、服を脱ぎ始めた。


__________________________________


2人とも水着になり衣服を袋入れ、ギュッと袋の口を閉じる。


そして


リオウ「さ、行くよ」


僕はナナミの手を取り、滝壺の中に飛び込んだ、、、、!



ゴオオオオオオオオ



滝の水の落ちる音がする。


滝壺の中は水流がごちゃごちゃで方向感覚が分からなくなる。


普通の人は溺れてしまうだろう。


でも、僕は、何度もここに来ているから慣れていた。


繰り返しここで泳いでいたから泳ぎも、上手くなっている。


だから僕はナナミの手を取って、滝壺の下へ、奥へ、ずっとずっと、底を目指して潜り続ける事が出来ていた。


、、、、、、、、。



滝壺の底が見える。


滝壺の底は固い岩場だ。


そこはこれ以上下へは行けない、、、


様にみえる。



でも


僕が目指しているのは、その下、だ。


地面の下。


岩場の下。


その勢いのまま、地面に向かって泳ぎ続ける


そして


地面にぶつかる!


、、、かと


思われた僕たちは


地面にぶつかる事なく



その地面の中を



溶けるようにすり抜けていった、、、、


__________________________________


気がつくと、辺りは緑の広い広場になっていて、その向こうには360°に渡って森が広がっている。


森の向こうは森があり、


どこまでも、どこまでも、その森は続いているかの様に思われた。


、、、、、、、。


ナナミ「けほっ、けほっ、けほっ」


ナナミは少し水を吸い込んでしまったのか、咳をしている。


リオウ「大丈夫?」


ナナミの背中をさする。


ナナミ「けほっ、けほっ、、、う、うん、一応、、、、」


僕の声に大丈夫、と気丈な返事をする。


、、、ナナミはいつも弱さを見せない様に振る舞う。


本当は、きっと怖かったに違いないのに、、、。


でも、


それなのにも関わらず、僕を信じて付いてきてくれた。


その事実が、僕の中でナナミの事を、更に、愛おしく感じさせていた、、、、。



リオウ「でも、ほら、見て、ナナミ」


それ以上に、僕は見てほしかった。


待ち切れなかった。


この時をずっと待っていた。


ナナミ「ん、、、、何???」



呼吸の落ち着いてきたナナミはリオウの言う方へ目線を、上げ、、、



リュカ「おや、お客さんかい?リオウ」



目線を上げて、


ナナミは目を見開く




だって


そこには大きな大きな、白い竜が(寝起きの様な顔で)こちらを、見ていたんだから、、、、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ