■■**/13/59_12:99:126 最初の最悪な一日
四日目
今日の天気は…いや、そんな事を書く気にもならない。どうせいつも通りだ。そんな事より今日起きた最悪な出来事を書いていく。
簡潔に、今日は何があったか。いつか言った警戒すべき日が、今日来たのだ。私がいつも通りシートで拭き取り、いつも通り機械に入れる。すると機械は今までに聞いたことの無い音をたてた。何事かと思うだろう?モニターにはこう映っていたのだ。
[異常アリ 細菌が異常発生しています]
正直冷や汗をかいた。また、緊急時に限って何も出来ない自身の愚かさや、「分からない」としか答えない同僚によってさらに焦りは増していく一方。結局この仕事のベテラン(我々新入りは先輩と呼んでいる)であるランプロスさんが、私たちに指示を出してくれたお陰で私たちは難を逃れた。原因は従業員の消毒のし忘れ、深く考えたら自分だけでも対処出来た話だ。私たちは申し訳ない気持ちになり、先輩にお礼の言葉と謝罪の言葉を伝えに行った。けれども先輩は
「ま、こんな事よくあるから気にすんな」
なんて言って私たちの謝罪を受け取ろうとしなかった。それを聞き安心こそしたが、どこか皆府に落ちない様子で、それは私もそうだった。そんな微妙な気分のまま仕事を進め、皆が帰る時間となり私も帰ろうとしたその時だった。緊急会議室で何やら声が聞こえた。怒鳴り散らす声、机を叩く音、その声は紛れもなく説明会の時に聞いた声、工場長の声だった。工場長はこの工場内で起きた全体の事件や問題を指摘する他、ミスをした従業員を叱る役目もある。気になったのはその叱る相手だ。
叱られていたのは先輩ことランプロスさんだった。何故、彼がそんな目に遭わなければいけないのか。本来では私が叱られるべきなのだ。工場長は勘違いをしていた。私がこの場に入って事実を言おうと思うほど、彼が不憫で仕方なかった。でも私は、何も出来なかった。そんな気分で、家に帰った。
妻は私に今日何があったか聞いてこなかった。妻にまで心配されているのだろう。昔からよく顔に出やすいと言われたものだ。明日、彼と顔を会わせるのが苦痛だ。案外気にしてないかも、なんて甘い事を囁く自分が嫌になった。こんな最悪な一日を作ったのは紛れもなく私なのだから。