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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
行商人とクレスヴェン闘争
98/322

つまり、絶体絶命かもしれない

ライラナの案内により

ビル内の地下を進むハークたち6人。


ブラクバを先頭に、次にリード

ライラナ、ハーク、ベルードの順となる。


「なんで俺たちが先なんだよ姐さん」


「後ろだと逃げますから」


「そ、そ、そうなんだねぇ」


ライラナの指示のもと

地下を右へ左へ進む。


時には階段を上っては下り

扉を開いたりしていく。



「俺たち、もっと前と思ってたけど……」


「いいえ。仮にもふたりは客人です。

 ただし、それは主人の意向です。

 今すぐにでも指示があれば

 私が動ける配置です」


「指示って?」


ライラナは背中越しであるが

掌を握っては開きを繰り返している。


「……あんまり考えたくないね。

 ハーク君。静かにしていよう」


「うー」


「ユミナ。また静かに」


「う? ういうー」



* * * * *



チラリとライラナへ目をやるリード。


ライラナは自分たちではなく

周囲へ意識を向けている。


ちょいちょいと先頭のブラクバを呼ぶ。


「(……なぁ兄貴。やっぱり姐さん達

 お見通しすぎるよなぁ?

 なんか居場所バレているような)」


「(そ、そ、そうねぇ)」


「言ったはずです。

 主人はどこに居られようが

 誰もを見通す、と」


こそこそと話す二人に

自身もこそこそと唐突に

ライラナは話に混ざる。


「「うおっ?!」」


二人は声を出すのも忘れ

驚いてその場からサササと離れる。


「やべぇよ。これもうーー」


「え、え、エンマ様、て

 やつじゃないかなぁ」


その言葉にライラナは

その場で固まり、うつむく。

そして、はぁ……とため息をつく。


「ーー主人に報告しておきますね。

 おっかない人だと」


「ま、待ってくれ! 兄貴ぃ!?

 何を言っているんだよ!?」


「あ、あ、またやっちゃったかなぁ」


「やっちまったよ! あぁ、もう……」


ブラクバにあれやこれやと

言葉を浴びせるリード。

そしてただただ謝るブラクバ。


「「(楽しそうな会話だ)」」


ハークとベルードは言葉にせずとも

3人の様子をしばし眺めた。



* * * * *



地下から歩いて

しばらく経ったころ。


ライラナはピタリと止まる。


「ぬおっ!?」


「おっとと……」


その後ろのハークは激突し

ベルードは音を聞いて身構えたため

寸でで歩を止める。


しかしそんな事を知らない

前のサンサ兄弟は、ツカツカと歩いていく。


「失礼。3歩、下がって」


「……何か来る」


ベルードはとある方向を目で追った。


「貴方、耳がいいのね。

 話が早い。では」


姐さんの言葉にベルードの合図で

1、2、3と3人は下がる。



「あ、あ、あれ?」


「兄貴どうした」


「あ、あ、ああああ」


ブラクバはあわあわし

その場で震える。


リードが何だ何だと辺りを見渡す。


すると後ろにいるはずの3人が

遠くにいることに気づく。


「ちょっと待て!?

 なんで後ろはもう逃げてんだよ!?」


「いいえ。先に進んだのは貴方たちです」



徐々に大きくなる破壊音。


何かがドシンドシンと駆ける音。


こちらに近づいてくる。


サンサ兄弟が進む前方。

壁が突如として破壊される。


「な、なんだあああああああ?!!?」


「ひやぁあああ!!」


大きな破壊音と砂煙とともに

現れたのは大きく咳き込む

四足歩行をする男。



* * * * *



咳と共に口からは大量の血。

ぼたぼたと黒と赤とで地面を染める。


僅かに地下へ差し込む光でわかるのは

頭上にて1つにまとめた金の長い髪。

まとめた先で放射状にバラける。


手足が長く、鍛えられたのか

筋肉質なのが見て取れる。


その体にはおびただしい数の傷。

貫通痕、斬痕、変色した打撲痕

火傷、治りかけた傷の上からの傷などなど。

おおよそ傷という傷を負っている。


何者を視認し、逃さんと

ばかりの鋭い目つき。


滴る血を噛み締めるその歯は

肉食獣の牙のそれのようである。



突如現れた男に驚きハークはたじろぐ。

すかさずユミナを隠すように構える。


しかしその後ろ。

ベルードは呆然と男を眺める。


「兄貴、兄貴……、兄貴か……?」


ベルードの問いかけが聞こえたのか

一度こそベルードの方に目が向けられる。


しかしその目は虚ろで

焦点が合っていない。


ただ血を吐きながら

ベルードの方を見つめる。


「兄貴……。俺だ、俺だよ!

 ベルード! 兄ーー。え……」


ベルードが男を兄貴と呼び

駆け寄ろうとする。


「控えて」


しかし姐さんはそれを止める。


「ガ……、ガガ……」


男は何かを話そうとはするも

言葉にはならない。


それが伝わってないことに

気づくと、叫んだ。



慟哭。悲しみと怒りが入り混じる。


咆哮はビル地下内を響き広がる。

その圧はその場にいる誰もが

圧倒されてしまう。


口から溢れ出るそれらを吐き出そう。

滾々と湧きあがる、居られぬこの思いを

せめて渇かそうと。



男は叫びで足らないのか

目の前のサンサ兄弟へと飛びかかる!


「「なんでまたぁぁぁぁ!?!?」」


サンサ兄弟の前に、一陣の風が吹く。


「ーーお待ちを」


男の牙を、凶爪を

ライラナは後ろ蹴りひとつで制す。


ギリギリと宙に留まる男。

顔色一つ変えない姐さんに

恐怖からただ互いをひしりと掴む兄弟。


「まだです。まだ」


蹴りは弧を描くーー

ここまで読んでいただき

ありがとうございます。


投稿遅れて申し訳ありません。


続きます。次話投稿予定は

2022.1.10(月)です。

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