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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
行商人とクレスヴェン闘争
93/322

百聞は一見に如かず

便宜上、ここから12話となります。

よろしくおねがいします。

――降ろすよ


黒外套、もとい彼らが

まとっていた黒いものは

その言葉と状況を理解したのか

するりするりと地面へ流れ落ち

そして霧散していく。


何一つ痕跡など残さず

消え去ったようだ。


「……改めて見るとすごい。

 レムザさんのわるいことしての力」


ハークが垣間見たのは

兵士たちが放った銃弾すら

通さず、かつ自分たちを守った

異形の黒の外套。


まとっていた時には

ゆらりゆらりと風になびき

その輪郭は固定されず

生きているようにゆらめいていた。



ベルードに担がれていたハークは

ゆっくりと降ろされていく。


「だよね。まず見えないだけでも

 本当凄いワケなのに。違うものにも

 見せる事だってできる。

 戦闘でも、束ねれば巨大、細めれば槍。

 ――だから類を見ないわるいこの力なワケ」


ハークは思い返す。


レグリシス山でのレムザの様子。

突然現れたり、何倍も体格差のある

相手と渡り合えていた。


エルハーダ裁判所での脱出時。

髪色を変え、一瞬にして元に戻した。

その場にいたイヴェル夫妻と

ふたりを担いだ自身とを囮のように作り

脱出した。


「もしかして

 俺が最初にレムザさんから

 逃げようとした時……」


「――たぶん透明にしてた。たぶん一本だけで。

 俺も透明化したレムザさんの力は見えない。

 辛うじて匂いで、分かるかなぁってワケ」


「匂いまで……」



ベルードは思い返しつつ

なぜか口からよだれが流れる。


「……どうした?」


「いや、レムザさんがいつだったか

 切れた自分の力の、腕かな?

 それを一口大にして

 ライターで起こした焚火で、焼いてた」


「焼いてた?」


「おいしかったなぁ」


「食べられるんだ!?」


「少しタバコっぽい匂いはしてたけどね。

 けどあれ、なんかこう、色々料理できそう」


「……エリーさんには渡さずに

 ロニィさんに料理してもらいたいな」


「だね。きっとおいしそう」


ベルードの話に

ハークは少しあきれるも

なぜかホッとしていた。


ハークも、少し空腹を感じた。



* * * * *



「えっと……。レムザさんがメモをって」


ハークはパーカーの

内ポケットに手を入れる。


内ポケットはハークには

腕を伸ばしても少し底につかず

大きいものとなっていた。


「ゔ!? うぶぶぶ……」


「あ、あぁごめんっ! ユミナ」


ユミナはハークのパーカーから

無理矢理に顔を出す。


「うー? うー!」


顔だけ出せたとき、満足そうに

ハークの方に笑みを向ける。

とても嬉しそうである


「なんか、犬とか猫とか

 そういうの見たことあるけど

 そういう?」


「う?! うー……」


ユミナは笑顔でそのとおり! と

言わんばかりに親指を立てる



「レムザさんのメモ……」


ハークが取り出したのは

裁判官グーンから貰った白紙の手帳。


その数枚めくった先に黒い文字。

3つの塊が書いてある。


しかしハークは読めないため

ベルードに手渡した。


「これね。えっと……

 ひとつめが『行商人』?

 ふたつめは『クレスヴェン闘争』。

 みっつめは……、かすれてて読めない」


「え。読めるのベルードしかいないのに」


「でも最後のは仕方ないよ。

 あの時、レムザさんが映像をごまかしたり

 俺らの姿を隠したり、色々するために

 力を使ってたワケだし……」


「その前にもグーンさんたちを

 脱出させてたから……。あれ、レムザさん」



「「ヤバい。すごい」」



* * * * *



エイール大陸南東部。

研究所、駅、に近い雑居ビル群のひとつ。


雑居ビル内は人気のなく

ハークたちが降り立った場所には

所々ヒビやゴミが無造作に置かれている


「ハーク君と逢った所に似ているね」


「そうだな。けど……」


ハークは周りを見渡す。

ふといくらか小綺麗にしている場所

壁際の一点に気づく。


「……誰か寝泊まりしているかも。

 早く場所を変えよう」


「わかるの?」


「あそこで寝ているはず。

 あと、あんまりホコリがない」


ハークはその場所を指さす。

ベルードはそう言われたら、と

ふむふむと観察する。


そしてひくひくと

その場の匂いを注意深く調べる。


「……確かに、わずかだけど

 誰かがいたような匂いはするね。

 わかった。屋上……、は見つかるから

 どこかある?」


「たぶん、下にも誰か居るか――」


“クンッ! クンッ!”


ふとハークの手が

意図しない方向に引っ張られる。


何度か小さく引っ張られるため

ハークは違和感を覚え、首をかしげる。


「どうしたの?」


「なんか、引っ張られる」


「なにそれ」


引っ張られる強さが増していく。


次第にベルードも異変に気づく。

ハークの様子に、一体何だろうと考え

髪をかく際、普段聞きなれない音に気付く。


「あれ。なんかパチパチする。

 なんだ……?」


「うー……」


ユミナは顔をしかめる。

目を細め、口をすぼめ

顔が中心に集まらんとしている。


「ユミナ……?」


“バチッ!”


「うっ!?」


「うわっ!?」


ユミナに触れ、放電が起こる。


するとそれを合図か

ハークの腕が思いっきり

何かに引っ張られる。


それはビルの下層に向かっていく。


「ハーク君!? ユミナちゃん!?」


ベルードが狼の足に変え

ハークへと手をのばす。


しかしハークたちは

それ以上の速さで引っ張られる。


ハークはビルの支柱に

そこかしこへガンガンぶつかっていく。


「(嘘だろ!? 何かの攻撃か!?)」


ハークは咄嗟に部分的に

身体を竜に変える。


何かしらの力に抗わず

ユミナを守ることを優先した。



そして聞こえてきた言葉。


――来た! 来た来た!

ここまで読んでいただき

ありがとうございます。


続きます。次話投稿予定は

2021.12.24(金)です。

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