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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
【わるいこ】たちの、戦略的逃走
87/322

担うは、有り余る才か、業か

「ウォート? 聞いたことが」


「わるいこ研究所の分署。

 レムザの管轄の所にいたね。

 クラックくんと、一緒にいた子でねーー」


「ーーあの二人は

 別々の場所で俺が保護した」

 

「レムザ。起きていいの?」


輸送車内の別部屋からレムザが現れる。

表情は幾分か暗く、部屋扉の縁に手を置き

どうにか歩いている様子であった。


「大丈夫です、博士。

 先程より、動けます。

 ……ご心配、すみません

 話の続きを」


「そ、そうかい?

 ……僕の横に座って。

 それじゃハークくん。

 少し長くなるけど、話すね」


博士の心配を汲み取りつつ

レムザは博士の隣に座る。



* * * * *



エイール大陸は中心にそびえる

山を中心に、4つに分断されている。


分断する山脈には様々な資源が

豊富にあると同時に、大陸端まで

伸びて且つ標高差はとても大きい。

ある種4つを隔てる壁の役割を

少なからず果たしていた。


反対側まで行くのにも

かなり時間を要する。


今でこそ交通の方法が増え

いくらか短くなるも

それでも1日では

辿り着けないほどである。



「レムザは研究所入る前に

 北西部に行った事があってね。

 研究所に来た直後、かな。

 とある事情から単独で向かって

 数名保護したんだ。

 そのうちの一人が、ウォートくん。

 会ったことは、ないかな?」


「ーー当時、ウォートは荒れてて

 他の子と喧嘩していました。

 別の検査に行っていたクラックが

 仲裁し、ウォートを止めていました。

 しかし、それでも落ち着かず

 ふたりの喧嘩に発展したため

 私の判断で、部屋にしばらく

 居させました。その期間にハークが……」


「……あぁ、そうだったね。

 報告書にもそうあったね。

 ごめんごめん」


ハークは記憶をたどる。

名前だけのその二人について。



最初に連れてこられた研究所で

掃除の仕事から始めた。


その中で3と4の部屋外の境目。

くしゃくしゃにされた紙ゴミ。


レムザに報告したとき

彼は即座に電話をかけた。


あまり字の読めないハークに

内容は分からずであった。


しかしその後、すぐに

レムザとベルードはトラックに

乗り込んで、ウォートとクラックの

二人を輸送していた姿を思い出す。


「クラックが分署近くで。

 だが、あのゴミ捨て場ではない。

 ウォートは……、いまこそ

 北部を東西に分けた

 クレスヴェン山脈の近くだ」



* * * * *



「内容は脱走計画、だろう。

 しかし問い質したとき

 二人ともわるいことしての

 力を発揮しかけた。

 とても久しぶりのことだ。

 元々、二人は強力な力を持っている。

 ウォートがネズミ。

 クラックはカラス。

 それぞれわるいことして

 力を持っている」


「ネズミに、カラス?

 強力とは思えない、けど……」


「そう。でもふたりの力には

 そう言える共通点がある。

 わかるかな?」


ハークはネズミとカラスを

思い浮かべる。


何匹も群れとなり、至るところを

スイスイ駆け抜ける。

木の実や食べカスを食べる様子。

ネズミなら小さな穴を

カラスなら空を行く。


「……何だろう。

 空を飛んだり、小さいから

 ーー逃げやすい?」


博士は目を見開き、ほほうと頷く。

顎に指を置き、口角を少し上げる。


「うんうん。逃げる。近いね。

 答えは、どんな環境にも適応できること。

 そして高度な知能を持っていること。

 どちらも生存することに長けている。

 逃げる、とも言えるね」


「幸いにも、二人ともが

 わるいこになる事で

 周りに迷惑がかかることを

 知っている。特に二人はそうだ。

 何せそれが原因で保護されたと

 言っても過言ではない。

 だがハーク、君は覚えてるだろうが……」


「二人は、博士の元へ移動していた」


「そうだ。君が見逃さず

 拾ってくれた紙が

 決定的な物となった」


くしゃくしゃの紙の中身。

レムザはそれを現像し

ハークへ見せた。


小さな一枚の写真には

大陸の絵が描かれている。


四角い大陸の絵。

その下、南と思われる位置には

赤い点が刻まれている。


そこから向こう側

北の方に黒い点が打たれ

そこへ矢印が引かれる。


そこまでの矢印の軌道は

真っ直ぐではない。

ある程度、右へ左へうねる。


「かいつまんで言えば

 二人は脱走を計画していた。

 ――まさか二組も脱走を計画し

 しかも実行するのは前代未聞。

 ……話を戻そう。ウォートたちの

 目的地は北西部の一角。

 ……レッド=アシッドの

 元拠点、山に近い所だ」


続けて地図を取り出す。

エイール大陸の詳しい地図。

少し透明なものとなっている。


レムザはそれを重ね合わせる。

矢印の軌道がおおよそ大陸の

起伏に合わせてあることがわかった。


山に近い場所、北と西の山脈が

両方見渡せそうな地点に

赤い丸が付けられている。


ハーク、ベルードは

それをのぞきこむ。

ふたりを真似してか

ユミナも地図をのぞきこんだ。


「ありゃ、なんか脱走の目的地

 としては具体的なところな

 ワケそうすけど……」


「ここは、はるか昔

 魔女が住んでいたと

 言われている――」


「「魔女?」」


三人は同じ方向へ、頭を傾げた。

ここまで読んで頂き

ありがとうございます。


投稿遅れてしまい

申し訳ありません。


続きます。

次話投稿予定は

2021.11.15(月)です。


※11/13に加筆しました※

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