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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
南の雪嶺 レグリシス山
42/318

落ちた先には、雪と白熊と何か

イチモは荷物から

様々な道具を取り出す。


敷くにも羽織るにも使え

さらに丈夫な二枚組毛布。


ひねるとカチリと音を立てて

突出するランタン。


さまざまな色や形のチョコレート。


字がほとんど読めないハークは

複数ある内のチョコひとつを

直感で手にし、口にする。


「う!? なんだこのチョコ?!」


ハークが口にしたのは

他とは包装の違うチョコ。

銀紙がチョコの頭部分で

軽くひねられたもの。


その味は未知の物だった。


チョコの甘味が先に来る。

その後からカーッと頭から

天へ突き抜けそうな

パチパチとした感覚。


そして強い刺激が

鼻へと抜けていき

チョコの味が書き消される。


食べるものとは思えない物と

ハークは口を押さえつつそう感じた。


「……あ! ごめん!

 それ少しお酒が入ってた奴だね。

 違うのと交換しよう。

 ごめん。説明しとくべきだった」


イチモは別のチョコを手渡す。


味は、安心できる甘味であった。



「吹雪が止むまで待とう。

 天候を見ながら、良ければ行こう。

 また危なくなったら

 またカマクラ作るからね!

 うん。まずは体力を回復しよう!

 寝よう!」


イチモは毛布にくるまった。


ハークもまた眠りにつく。

すうっと鼻から空気を吸い込む。

まだお酒のチョコの香りが残り

空咳が起こる。


イチモは咳に気づかない。

もう寝てしまったようだ。


* * * * *


ーーその後。


どれくらい経っただろうか。

外は晴れている。


まだ日は上っており

空は晴れ渡っていた。



ハークは目を覚ます。


「(トイレ……。外でいいか

 一応、行くことくらいは

 伝えておかないと)」


イチモはぐっすり眠っているようで

何度揺すっても起きなかった。


仕方ないとハークは

恐る恐る外へ顔を出す。


カマクラが見える

すぐ近くの端に行き

用を足すことにした。



「うわぁすごい景色だ」


足元から遠くの方へと目を移す。


そこは雲の切れ間から光が

地上へ何本も差し込んでいた。


照らされた地上には

降りた駅が見え、バスが動いているのが

わずかながらハークの目は捉えていた。


「(さて戻るか)」


そうハークが振り返ると

突如視界が全て空に変わる。


* * * * *


背中が引っ張られる。


身体が思うように動かせない。


ハークは落ちていた。


それを一拍置いて

ようやく理解した。



落ちたと思わしき

欠けた雪の辺りに

ひとつの影が見えた。


それは落ちていくハークを

のぞき込み、すぐに姿を消した。


ハークは身体を重力に任せ

ただただその勢いを感じていく。


"ズボッ"


ハークの視界が空から

雪に覆われるのは

そう遅くはなかった。


深い雪の層に埋もれ

共に落ちてきた雪で

蓋をされる。


「出られるのか、これ」


ハークは途方にくれそうになるが

イチモと共に研究所のみんなを

助けるべく自分を奮い立たせて

雪を必死に掻き分けていく。


ようやく光が見えてきた。


「よし! 出られーー」


ハークは雪から出られたが

外で最初に目にしたのは

湿った黒い何かだった。


ふんすふんすと

空気が吸われ吐かれる。


"ブフゥゥゥ"


ハークの顔が風圧に押される。


"ぐるる"


「……白い、熊?」


目の前の白熊は

口を大きく開いた。


牙と狭い暗闇。


ハークはとっさに身体を細め

穴へと戻った。


「おおおおおおお?!?」


ガシガシと雪をかくは、白熊である。

それも気が立っているようで

執拗に穴に鼻を突っ込む。


「嘘だろ!? 逃げないと!」


ハークは必死に

穴とは別方向に掻き分ける。



白熊は猛進し

ハークの爪先近くまで追い付く。


白熊の牙を寸での所で

何度も潜り抜ける。


とうとう足首を噛まれかけたその時。


"ぐにっ"


透明の何かが

ハークの片足首に絡まっている。


その性で白熊は噛みついても

噛みきれないことに

戸惑いを隠せなかった。


「ハーク君。足に力を入れるんだ」


聞きなれた男の声に

ハークはその通りにする。


透明の何かは厚さを増したのか

白熊の牙を跳ね返した!


白熊は恐れて二本足で

走って逃げていった。


「(白熊は人みたく走れるのか……)」


白熊の後ろを眺めながら

そんなことを思った。


「ーー違う! 誰だ!」


「私を忘れたか。ハーク君」


ハークの背後から現れた人物。

横目でようやくわかった。


黒髪でメガネをかけ

タバコを吹かしている見覚えのある男。


この場にはいないはずの

レムザであったーー

続きます。


次話投稿予定は

2021年5月24日(月)です。



※追記※


今作『少年ハークとわるいこ研究所』を

閲覧いただき、ありがとうございます。



次で便宜上6話は終わりです。

次々回から7話予定です。


どうぞ

これからも書き続けていきますので

よろしくお願いいたします。

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