学校と好きなこととカマクラ
イチモは感心している。
おおむね正解であったようで
詳しい解説に移る。
「確かに空気かもしれない。
向こう側はそうだね。
揮発、外に空気が出た。
これは中学、ハーク君は
確か11歳だから……そうだね
遅くて3年後、早くて1年後には
学校で教えられることなんだ。
……うん。正解だハークくん!
正直もっと解説しないと
いけないかなって
思ってたよ!」
イチモは喜んでいる。
ハークもその様子に
とても誇らしく思えた。
「所で中学ってなんだ?
学校は別々に在るのか」
「うーん、何て言えばいいかな。
……まず学校は4段階あるんだ」
イチモは自分の指を使い
学校について説明を始める。
「ハーク君や同じ歳……
確かティーノたちがそうだね。
最初に通うのは小学校。6年間通う。
次に中学。これは3年通うんだ。
ここまでなら山脈で分かれた部分内で
色んな子達が勉強するんだ。
高校も3年。勉強内容も変わってきて
そうだなぁ。文系・理系・体育系
そして就職系と分かれて……」
「(何言っているのか分からない……)」
ハークが首を傾げ始めると
イチモはすぐさま考えを修正し始める。
「つ、つまりね!
自分達が好きな事を目指して
学ぶ準備を勉強するんだ。
長いけど、わかった?」
ハークはとりあえず頷いた。
* * * * *
「好きなこと、か」
「ハーク君は
好きなこと、ある?」
ハークは腕を組む。
これまでの自身の記憶をたどる。
ーーしかし出てくるのは
家族と過ごした覚えている限りの
わずかな記憶。
別れた後、ベルードと出会い
レムザやアナグマ博士たちと出会った
その日々ばかりであった。
「……分からない。
母さんとばあちゃんの
手伝いばかりしてたし。
研究所来て、ホーリーと会って……
好きなこと、うーん……」
「今すぐに見つけなきゃいけない
って言うわけじゃないんだ。
最初から見つける人もいれば
見つけられなくて何となく働く、
これ! と思って頑張る人もいる」
「いるのか」
「いるよ。おおよそ、ね。
僕は、見つけられた方かな。
黒板に文字と絵を描いてたのを
母さんたちが見いだしてくれて
そして僕は、家庭教師になった。
その子は、大きくなったから
今度は……、そう、研究所にね。
だから最初の座学で僕がーー」
その時、アナウンスが始まる。
山道が折り返しの多い地点になり
何度も揺れることを知らせる内容だった。
「近づいてきたね。
気をつけてね。
結構揺れるから」
「そうなのーーガッ!?」
車体が少し飛び上がった。
あの頑丈かつ重厚そうな見た目が
いままさに、飛び上がった。
「イチモはーーガッ!?
平気、なのか?」
「そうだ、ね!」
* * * * *
バスは山を登る。
端から端へ大きく
かつ確実に進んでいく。
あまりに急な坂なため
折り返しながらの運転である。
ハークはその途中
等間隔で見慣れない物が
山肌についているのを見つける。
「あれは、なんだ?」
ハークは窓から
見慣れないものを指差す。
白い四角が連なる二本の紙。
草の茎をたくさん集めて
作られた縄のようなもの。
「え? なにか見えたかい?
なにも見えないけど……?」
しかしイチモには
それが見えなかったようだ。
「本当に見えないのか?」
「本当に見えない。
目を凝らしているけど
全部山肌にしか見えないよ」
ハークは自分だけしか見えない
謎の見慣れないものに疑問に思った。
* * * * *
――レグリシス山四合目
――レグリシス山四合目
「ここだね。降りよう」
イチモは立ち上がる。
向かうべき別研究所は
四合目から歩かねばならない。
外は老駅員の話の通り
ふたりが降りてすぐ吹雪始めた。
「お客さーん!
いいんですかー?
頂上からは遠いですよー?」
運転手が席に設けられた
窓からふたりにそう問いかける。
「大丈夫です!」
「ここからーー」
吹雪が強まり
運転手の言葉がかき消される。
イチモはそれでも頷いた。
「何だってー?」
「道が無い所に
雪が積もるから
気をつけてって!」
「わかった!」
イチモを先頭に
二人は四合目から歩いていく。
打ち付ける吹雪。
風は音を立て、雪と共に
全てを飲み込む。
顔に容赦なく叩きつける雪と風は
まだ体力の少ないハークには
堪えるものだった。
イチモは度々振り返り
ハークの様子を伺いつつ
歩き続ける。
ふとイチモは雪の積もった
巨木の前に立ち止まった。
「ダメだ!
一旦、ここで休もう!」
イチモは巨木に溜まった
大雪を両腕で掻き分ける。
手慣れているようで、すぐに
簡単ながら雪の家が完成する。
イチモいわくカマクラが完成した。
「あれ? 暖かい」
「カマクラは初めてかい?
……僕は大人になってから
初めて作ったんだ」
「生まれた所って?」
「え!? えっと……。そ、そう!
エイール大陸の北東!
……の片田舎。年中寒い所でね。
それなのか、治安よくなくて
そこの出身て言うだけで
みんなそっけなくなるんだ……」
「え。ご、ごめん……」
「い、いいよいいよ!
ハークくんはそう言うことも
あるんだって覚えててよ!」
イチモはそそくさと
カマクラの中を整えていく。
大人が二人入っても余裕なくらい
広いカマクラが完成した。
投稿が遅れました。
申し訳ありません。続きます。
次話投稿予定は
2021年5月20日(木)です。
5月17日(月)PM11:00
皆様が読みやすくするため
細かな描写、加筆を行いました。




