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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
【わるいこ】も、ゆっくり休む
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理由がある。

「もっと早く博士に逢っていれば。

 ……と、イカンな。だがよかった。

 小僧たちが来たおかげで、こうして

 フェンリーが安心して居られるし

 ワシは新しい仕事を手にいれた!

 これほど良いことはない!

 カッカッカ!」


ロニィは暗い雰囲気にしないよう

話を良いように捉えつつ、笑い飛ばす。


「しかし、ここに来て安心した。

 わるいこ、と呼ばれた子達は

 みんなそう変わらない子だ。

 これも、博士とスタッフの努力の

 おかげなのだろう。

 聞けば小僧も、最近来たんだったな」


ハークは振り返る。



あの日。ゴミ捨て場の隠れ家で

突然ベルードがやって来た。

そして研究所に連れてこられて

疑心暗鬼だったが、みな優しく接してくれた。


「おっと。ロニィさんお疲れ様です。

 ハークくん、おはよう」


ベルードが相変わらずの様子でやって来た。

その後ろには博士も居た。


「よかった。戻ったんだね。

 あぁロニィと話してたかな。

 ロニィはここでーー」


「事務と警備と清掃を

 全部やるんだっけ?」


「そうそう。ロニィがどうしてもって。

 本当は薬剤師として子供たちに

 処方する薬の調剤とか……。

 でなければ、子供たちの

 それこそロニィが居た

 違う土地の話とか、運動の先生とかに

 回ってほしかったけど……」


博士の話に、横で聞いていたロニィは

いやいや無理無理、と言わんばかりに

手のひらを振る。


「それはダメだ。

 さすがにワシの薬が

 ここの子供たちに効くかどうか

 全く分からんからな。

 一歩間違えれば薬は毒になる。

 それに、子供たちの師となれば

 ……すまんが厳しくしかねん。

 ワシは、いつもの通り、裏仕事が適任だ。

 こう、身体を動かす方が、いい」


モップの柄先を片手で器用に操り

何かしらの演舞のひとつをする。

モップはロニィの熟達した身体運びや

指先一つ一つの正確な動きによって

重力を無視した動きを見せる。


「ロニィ。本当に素晴らしい技だけど

 子供たちの前では極力止めてね。

 真似できないけど、真似しそうだからね」


「む。そうだったな」


「振り回したいなら

 すぐに先生として

 仕事も増やそうかな?

 来週ちょうど晴れるみたいだし

 外で運動の先生にーー」


「ま、待ってくれ!

 さすがに見世物ではーー」


「えぇー?

 いまここでハークくんに

 見せたのに?」


「むっ! ……そ、そうだ!

 確か他の廊下の掃除がまだだ!

 そ、それじゃな小僧! 仕事、仕事!」


痛い所を突かれ

居るに居られなくなったロニィは

一目散にその場を離れて

どこかへ去ってしまった。


* * * * *


「あらら。早いね。

 ーーさてハークくん。

 座学の続き、もとい

 所内の子達と話してないよね?」


「そうだ座学、……も?

 他の子達って……」


「フェンリーも幾分良くなって

 みんなと交流しているんだ。

 ハークくんは他の子達と

 会ってない、よね?

 スタッフとして、みんなと、は

 いかないけど必要だからね」


博士の話に、ハークは戸惑った。


「最初こそホーリーや

 ミス・エリーの件もあったけど

 スタッフとして必要なことを

 疎かにするのは、やっぱり違う

 と僕は思うんだ」


ハークは思うところがあり

静かに話し始める。


「……博士。俺、年上と話す事なら

 あったけど、年下はよく分からない。

 弟二人いたけど、母さんたちが

 付きっきりだったし。

 その、関わりかたが、よく分からない」


ハークは正直に話した。

本当に知らないことである。


博士はそれを聞いて

穏やかな表情をし、ふぅと息をつく。


「--ハークくん。

 ここにいる子達って

 どんな子だと思う?」


「え?」


「ここに来て、部屋で遊んだり

 勉強したりする子達は、特別?」


「……普通の、いや、俺よく知らないから

 ……思うに、父さんや母さん、兄弟や

 じいちゃんばあちゃんがいて……。

 そう、普通の子だと思う」


「そう。ほとんどの子は

 普通の家族として暮らしてた。

 けど、わるいこになった理由わけがある」


「理由? 座学の時の」


ハークはイチモの座学を思い出す。


「そう。教えられたと思うけど

 おさらいしよう。3つの要因ね」

続きます。


次話投稿予定は2021年4月19日(月)です。

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