表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
半竜は、歩き出した。
21/319

達人、獅子をも制す。

"グルルァァァ!"


ライオン・エリーは威嚇しつつ

ゆっくり村人たちに近づく。


怯えた村人たちは物を、あたり構わず投げつける。

しかしその立ち姿から村人たちの手元が狂い

どれも狙いがそれる。


村人たちには、それが黒いライオンが

何か得体の知れない力によるものと考え

一層ライオンから逃げるハメとなった。


「ロニィさん! ロニィさん!」


「なんだなんだ騒がしい、って

 やや、先ほどの。ハークだったか。

 何だ。連絡はついたのか」


「それがーー」


ハークは村での話を伝える。

そしてまさにいま、助けを求めるため

自分を逃がしたエリーが

ライオンに変わったことを伝える。


「あのお嬢さんがライオン……?

 本当かね。つまり、なんだ。

 娘のように変身する人が居るのか。

 まだ他にも……!?」


「博士と知り合いなら

 知っているんじゃないのか?!」


「ただ酒の席で意気投合しただけだ!

 あぁそうか。また俺は……。まぁいい!

 それよりもお嬢さんを助けないとな!」


ロニィはハークをグイッと脇に抱えると

壮年の男とは思えない、狼となったベルードと

匹敵するほどの速さで、村へと走り抜けていく。


* * * * *


「気を付けろ! この虎は物が当たらねぇんだ!」


「バカなことを言うな! そんな話があるわけーー」


"グルルァァァ!"



「「ありそうだなぁ!!」」



ライオンの雄叫びに、村人の何人かは失禁した。

泡を吹いてその場に倒れる者もちらほら見える。


村人たちは手製の木の槍や農具をもって応戦した。



「おぉおぉ! なんと立派な黒いタテガミ!

 これは強いと見受ける!

 一度手合わせ……、いやいや違うか!

 カッカッカ! これは、良いな!」


村人の前に勢いそのままにロニィが勇み立つ。

村人は突然のことに呆気にとられた。


「な、なんだロニィ! 恩を売り付けんのか!」


「そうはいかんぞ! 熊になる娘なぞ匿ってからに!

 今度は虎を連れて来おうて! 疫病神め!」


「カッカッカ! まぁそういうな!

 まずはライオンを止めねば!」


「なにいうてんだ! あれは虎だ!」


「爪に牙におっかない叫び声。どっからどう見ても虎だ!」


ライオンなんだけどなぁ、とハークは村人たちの話に

内心無意識のツッコミを入れる。


「……て、違うだろ!

 ロニィさん! 熊の時みたく止めてくれよ!」


「保証せんが……いざ!」


* * * * *


"イヤーッ!"


ロニィは片足に力を入れ、跳躍。

ライオンの背に難なく降り立つ。


ライオンは振り落とそうと縦横無尽に跳ね回る。


それを利用し、ロニィは飛び上がる。

ライオンの上から、右掌を押し付ける!


熊に変わったフェンリーとのひと悶着と同じく

ライオン・エリーは勢いに負け、地に伏す。


ゆっくりとその真下から地面に亀裂が入った。


「おぉ! 初めてだが、これで良し。

 幾分か耐えるとは、頑丈なライオンだ!

 ……いや、これは何かわけでも……」


「呑気なこと言ってないで! 逃げろ!」


ハークの一声に、ロニィはライオンを担いで

その場を疾風のごとく立ち去った。



「「……ライオンてなんだ?」」


残された村人は、ただ呆然と亀裂の入った地面と

空を眺めてそう思ったのであった。

続きます。


次話投稿予定は、2021年3月11日(木)です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ