表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
【わるいこ】になりまして
18/322

人の手にて、熊は空を舞う。

熊は車の中へ。

ごそごそと手当たり次第に物をひっくり返す。

地図や書状は踏み荒らされ、ぐしゃぐしゃになる。


――フェンリー!


「フェンリー! 何をしている!」


熊の元に近づく壮年の男。

飾り気のない上下が灰色の作業着。

砂ぼこりや切り傷の痕がちらほらと目立つ。

口は真一文字に閉じられ、眉間に深いシワ。

白髪混じりの男は、熊をじっと睨んでいる。


男の言葉に、熊は気づいたのか

威嚇しつつ男の前に構える。

後ろ足に力を込め、今か今かと

襲いかからんとしている。


一方、男の方はふぅと息を吐く。

足を肩幅ほどに開き、半身で熊と相対する。

両掌は力なくただ開いたままである。


この様子を隠れて見守る

ハークたちふたりには

無謀すぎる対決に目を疑った。


「熊と真っ向から対決しようっての!?」


ハークは無意識に身体が前のめりになる。

それを見逃さなかったエリーが

ハークの襟首をつかんで止める。


「ダメ。変身したら

 私たちは戻れないでしょ!

 あの人には悪いけど……」


"グルルァァァ!"


熊は雄叫びをあげ、男へと突進する。



熊の身体は、宙へ舞う。

それまでの熊の天地が逆さになる。


熊も、それを垣間見ていたハークとエリーも

何が起きたかわからず、ただその事実を

一拍置いてから気づいていた。


男の手は熊の腹に添えられる。


「どっせぇい!」


熊は背中から一気に地へと落とされる。


熊は低く唸った後、静かに倒れる。


その後ゆっくりと地面に

熊を中心に放射状に亀裂が走った。


「……すまないフェンリー」


* * * * *


「そこの御仁。何用か」


男は隠れていたハークたちの方を見つめる。

エリーが即座に姿を現し、毅然とした態度で男の前に出る。


「はじめまして。

 私たちはその車の持ち主です。

 この近くの村の方ですか?

 ロニィ・ジェン氏を尋ねてきた者です」


「……どこの者だ?」


先ほどの老人と同じ会話の流れに

ハークはすかさず前のめり気味に

構えていた。

乱暴な手だが取り押さえようという

無意識の行動であった。


しかしエリーがハークの方を向かずに

彼の身体が動かない様、片手で止める。


「わるいこ研究所のアナグマ博士より」


「アナグマ? ……ふぅむ。証拠は?」


「貴方の足元にある紙がそれです」


男は足元の踏み荒らされた紙を手に取る。

乱雑におられた部分を丁寧に開く。

注意深く目を通した。


「――おぉ懐かしい。

 確かにアナグマ氏の物だ。して?」


「資金援助を頼みに来たのです」


「資金援助? このワシに、か」


その言葉に、男は宙を眺め、しばし思案した。

そして何か合点がいったのか、大きく笑いだす。


「……カッカッカ! なんと!

 こんな男に、金を無心するとは!

 面白い!」


男は熊を軽い荷物かのごとく背負い

ついてこいと言う。


エリーとハークは男についていった。

リアルが忙しくなり、更新が遅れました。

続きます。


次話投稿予定は、2021年3月1日(月)です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ロニィさん、癖のありそうな人ですね。交渉が上手く行きますように。ハークくんまで変身してびっくりしました。 モカウの木で作られた家に住みたい今日この頃です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ