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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
行商人とクレスヴェン闘争
100/322

店内ではお静かに

カランカランと扉鈴が鳴る。


そこは木造の小さな雑貨屋のよう。

鮮やかな木目が、ランプに照らされる。



天井から吊るされた年季の入ったランプ。

何かがそこに儚くも部屋を灯している。


その明かりは火ではない。発光。

どれも揺らめく炎のような赤ではない。

しかしキノコや昆虫などが持つ

発光とは違うように見える。


小さくも、しっかりと広い範囲に

光をもたらしている。

机に置かれた同様のランプも

同じようだとハークは感じる。



壁に沿うように並んだ棚には

ハークやベルードには見慣れないものが

埋め尽くされていた。


店の真ん中には机が三つ。

デザインの異なる刺繍の入った布が

机に敷かれ、その上に置かれた品物は

一層貴重なものだという雰囲気を際立たせる。



他の品物に目を向ければ

多くは小さな雑貨と思われる。


動物を装飾として施された

小物入れや小さな箱。


何のために使われるかわからない

形も色合いも全く未知の異国の品物。

その中に、ロニィが使っていた湯呑が

2つ置かれていることにハークは気づく。


棚には、なぜか動物のぬいぐるみが

棚ごとに両端や真ん中に置かれていた。



奥にカウンターがあり

古めかしいレジスターが置かれている。


その後ろには一枚の重々しい扉。

木製の扉だが、壁材とは違う色合いで

表面にはいくらか装飾が施されている。


「誰だい?」


どこからか低い声が響く。

ライラナ以外の全員は驚き

辺りを注意深く見回した。


「ご主人。ライラナが帰りました」


「そうかい。ごくろうさん。

 それで、バカふたりは?」


「バカ!?――」


リードが怒りのあまり

前のめりになるのを

ライラナ以外の全員が止める。


「……なんだい。音が多いね。

 客も来ているのかい」


「はい。ウェネスの新たな持ち主。

 あの男の親族と――」


「あうあー!」


ユミナがハークの服の中から

顔を出し、手を挙げた。


「ユミナ……っ!」


「赤ん坊……。変な子だね。

 そうかい。三人かい」


「仰る通りで」


「予定通りだ。

 バカふたりはさっさと物出しな。

 客は……。静かに来な」


ライラナの示す方。

ゆっくりと扉が開かれる。

扉の先で、店に置かれたランプと

同様のものに照らされた影が手招く。

影はゆらめいていた。


「ユミナ、静かに、な」


「う? あい!」


ユミナは手を口に抑え

ハークと同じ方を向く。


戸惑うベルードの手を引き

ハークは影の元へと進む。


「私はここまで。やることがあります。

 では客人。行ってらっしゃいませ」


ライラナは別の扉へと入っていく。



四人に取り残されたサンサ兄弟。

顔を見合わせ、はぁ、とため息をつく。


「ね、ね、ねぇリード?

 今日の収穫ってーー」


「……あ。あのガキひとりだけだ。

 やべぇ、何にもねぇ……」


リードは自身の服のポケットを探る。

出てきたのは、銅貨数枚。


「お、お、俺も出してみるのねぇ」


ブラクバも探すが、出てきたのは

ネジ、ボルトなどの金属片。


サンサ兄弟は、頭を抱えた。


「――こうなりゃ、やるしかねぇ」


「な、な、何をやるのねぇ?」


「兄貴、『一気に』引き寄せるしかねぇ」


「や、や、やめたほうがいいとーー」


「なら、また借金を増やすのかよ……!

 兄貴はあの大盗賊サンサの息子なんだ!

 そりゃあ先代が凄すぎるけどよ!

 兄貴はそれとは別の方法がある。

 今までより少し様変わりしたけど!

 それでもできることが増えたんだ!

 やろうぜ兄貴……! 任せてくれよ!」


ブラクバにあれこれ言って

二人は店の外へこっそり出た。



* * * * *



手招く影はどこまでも遠かった。


ハークたちが進むたび

明かりは付いては消えていく。


「長いな」


「これ、道を間違えた

 というワケじゃ……」


「どうだろう。影はずっと手招くし

 真っすぐなのもおかしい」


「もしかして……試されてる?」


ベルードは後ろへ向き、構える。


ハークも構える。


影と明かりに目を向け

何かおかしい所を探す


「うー?」


「ユミナ。出てきちゃ……」


「う! うー!」


ユミナは指し示す。

それは壁の一角。


連なるランプの

なんの変哲のない間である。


「ここ?」


「うい!」


ハークは手を触れる。


少し力を入れると

ギシギシときしむ音。


ハークは奥へと力を加える。

ガコン、とその音は大きく響く。


四角く木枠が奥へと押し込まれた。


「あれ……抜けた」


押した部分はそのままとなる。


ガタガタと壁はパズルのように

素早く組み替えられていく。


「……なにこれ」


「うあー!」


ハークの押した所。

その近くが組み変わり

出入り口と思われるものが

出現する。


「違う道、なのかな」


「……たぶんそうかも。

 ほら、手招く影が止まってる」


ハークの指差す。

影はピタリと止まっていた。


「行ってみよう」


「そう、だね……」


ハークたちはそこへ進む。


明かりは灯る。


しかし先ほどの道とは違い

目指す先はだんだん光が強く大きくなる。


抜けた先。


本、書類の束、地図が

びっしり詰め込まれた部屋。


古びた机ひとつあるが

そこにも本やらが積まれている。

表紙は文字だけの物である。


机には数枚の紙や数本のペンが

規則正しく専用の箱と思わしき

場所に整列されている。

ペンには番号が振られている。


「来たかい。いや遅いくらいだ」


そこに居たのは

ずんぐりむっくりの老婆。


ハークたちへ向き直るーー

ここまで読んでいただき

ありがとうございます。


次回で12話終わりです。


続きます次話投稿予定は

2022.1.17(月)です。

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