引っ越し祝い
無事初日が終わり面接も済ませ大事な初日を失敗せずにすんだ。
忘れたいような大きな失敗もあったけれど。
面接を終えてこれからの働き方について話合っていると気が付くと日も傾いてきていた。帰って姉さんの食事作って待っとかないとな。料理したら中学の範囲もう一回やり直しながらまっておこうかな。
そんなことを考えながら鍵穴に鍵を差し込むと違和感を感じた。
開いている……。まだ姉は帰っていないはずだ。
もしかして泥棒?俺は入ってはいけないと理解しつつも恐る恐る中を覗いてみた。
すると、リビングで正座をしている先生の姿が
「えーと何してるの?」
「あっ!佑樹君今日は私のせいでごめんね!同級生から変な風に言われなかった!?」
「それは大丈夫だったけどなんで家に入れてるの?」
「あ、これ。お姉さんから合鍵貰ってたの」
ごぞごそっと鞄から普通に取り出してきたけど出逢って1日目で合鍵渡す方も貰う方もどうかしてるぞ。
「あっ!大丈夫!佑樹君の部屋見たりはしてないから!」
「当たり前じゃないか!?」
これで見てたりしたら一発殴っていたところだ。
この人は一気に距離を詰めてくるな。うちの姉もそうだけど。
「おうおう!ジェル坊楽しそうなことになってんな!
なんだ!?見られちゃまずいもんでもあるのか?
なあ、エロ本か?DVDか?」
「どっちも違うよ!それにしても姉ちゃん早くない?」
「今日はジェル坊の引っ越し祝いをしてやりたくてな。早めに帰ったんだ。そしたらまあ、楽しそうなことになっててな。くっくくく。」
笑いを堪えきれてないぞ。でも姉ちゃんが引っ越し祝いをしてくれるのは素直に嬉しい。
「ついでに先生の引っ越し祝いも一緒にするか!?今日は酒だな酒!」
「ちょっと美樹さん未成年……ましてや生徒の前でお酒だなんで」
「いいじゃねぇか。あ、ジェル坊が飲んだら殺すからな」
「僕の引っ越し祝いはどこにいったんだ……」
勝手に盛り上がる二人を尻目に僕はせっせとおかずとおつまみを作っている。まったく相変わらず僕の扱いが雑だな。
「なに?学校でそんなことがあったのか!?そいつはおもしれぇな!なあジェル坊」
「そんなことないよ」
「つかみはバッチリだな!」
「そういう問題じゃない!」
「あっはははははは」
ダメだ。完全に酔っぱらってるな。これ。
結局二人は朝まで飲み明かした。
明日の学校どうなってもしらないからな。
ちょっとだけ自分の担任が心配になった。