始業式
騒がしい朝食だったが緊張を忘れられるいい時間だった。
今日から僕も高校生だ。高校デビュー!とまではいかないが普通に楽しくおしゃべりできたり、下校途中にマックに寄ったり。
そんな友達が欲しかった。僕の故郷じゃ四方が山で遊ぶところなんてなかったからね。都会での暮らしに憧れるよ。
なんなく始業式を終え自分の教室に向かう。1クラス30人程度。
隣の人の緊張が伝わってくるしクラス全体が緊張に包まれていた。もちろん僕もだが。
そんな中、勢いよく扉を開けて入ってきたのはきっと僕らの担任だろう。
「みんな~緊張が廊下にまで伝わって来てるよ~。そんなに緊張しないで~」
僕はは見た瞬間まだ夢の中で自分は寝ているのかと錯覚した。
だっておかしいだろ。さっきまで朝食を食べていた隣人が担任の先生として入ってくるなんて。
目が点になるって初めて使ったぞ。
「初めまして!今日から君たちの担任になりました立花梨華です!好きな食べ物はリンゴ!趣味はゲームかな……えへへ。
最近あったいいことはね~隣人さんとご飯を食べた……こと………!」
どうやら向こうも気がついたらしい。まさかの事態に驚きを隠せない様子で自然とクラスの視線も僕に集まる。
やめてくれ。悪目立ちはしたくない。
「えっ!?ちょっと佑樹君じゃん!もしかしてここの生徒さんだったの!?えーびっくり~!ねえねえ皆聞いて!私の隣の部屋佑樹君で今日の朝一緒にご飯を食べたの~!
「「「「えっ!?」」」」
おい勘違いされるような言い方は控えてくれよ。なんか学年担当の偉そうな先生が手招きしてるし。
「はっ!?」
本人もことの重大さに気がついたようで。とりあえず学年担当の先生に事情を説明している。あ、頭を殴られた。
「ぐすん……皆勘違いしないでね。今日引っ越しの挨拶したら佑樹君がいて、お姉さんから誘われて朝ごはん食べただけだから。
佑樹くんとは何もないよ?」
「…………」
入学そうそう変な空気のなか僕は絶望を感じこれが夢であることを切に願った。