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朝食

ピピピ……ピピ


「う~ん」


アラームを止めまだはっきりとしない意識の中僕は違和感を感じた。

そうだ。ここは東京で姉ちゃんの部屋だ。

朝起きたときに見る天井が違うだけでここがどこだったかわからなくなる。じきに慣れるだろうけど。


「はぁ。よく寝たな。それより姉ちゃんの食事作って起こさないと。姉ちゃんに追い出される」


そこで材料がないことに気が付く。

あぁーとりあえずコンビニで卵でも買おうかな。

姉ちゃん実家の卵焼きの味忘れてるだろうしな。

それと味噌汁、ご飯があれば朝はなんとかなるだろ。

姉ちゃんが起きないようにそっとドアを開け家を出ると……


「いだっ!くぅ~………」

「あ、大丈夫ですか!?」


扉の前に人が立っていた見たいでぶつけてしまった。

何をしているんだ僕は!さっそくご近所トラブルなんて起こしたら姉ちゃんに合わせる顔がない。


「あ、大丈夫です!立っていた私が悪いですから!

あ、えーとすみません遅くなりましたけど隣に引っ越してきた立花と申します!初めてで至らないところがあるかも知れませんがこれからお願いします!」


………えーと引っ越しの挨拶かな?だとしたら俺の方がたぶん後に引っ越してきたしなんならここ姉ちゃんの家だからなぁー。

なんていえばいんだろ?


「おいおい。ジェル坊もう女連れ込んでたのかよ。まったくやるなー。私が寝てるすきによー」


気だるそうな姉ちゃんの声が後ろから聞こえてくる。

って違う!これは誤解だ!誤解を解いてもらおうと前を振り替えると先程の女性の顔が真っ赤に。あぁ、姉ちゃん要らんこと言うなよ


「ち、ちちちち違います。引っ越しの挨拶に来ただけで私たちは何も……」

「あーお隣さん。初めまして佐々木美樹です。そんでこっちが弟のジェル坊こと佑樹だ。困ったことがあったらなんでも聞いてくれたらいいしなんならこいつ使ってくれてもいいよ。料理得意だし」

「ちょっ!姉ちゃん!!」

「あわわわそんな。私、上京してきたばっかりで何もわからないですけどよろしくお願いします!………きゅるるるる………」


今なんか鳴ったな。あ、この人からだ。

これは触れないで置くのが正解かな。


「なんだ腹減ってんのか!ならちょうど今からジェル坊が作るから食べてけよ。まあ、都合はあるなら無理強いしねぇが」

「そんな!時間的には大丈夫ですけどそんなお世話になるわけには……」

「ちげえよ。これはお世話じゃなくて挨拶だ!よかったら食べていけって」

「わかりました……お言葉に甘えて……」


少し緊張しているようだがゆっくりと部屋に上がっていく。

なんだか周りから見るといたいけな女性を連れ込むヤンキーにしか見えないぞ。


「さてさてジェル坊作ってくれよ!」

「いや、姉ちゃん作るにしても材料が………」

「………3分で準備しな!!!」

「イエッサー!!」


こういうおっちょこちょいなところがあるんだよな。

姉ちゃんの顔が真っ赤だな。ふふっ。


「なに笑ってんだジェル坊あと2分40秒だそ!」

「わ、わかったって」


ダッシュでコンビニに向かい最低限の買い物を済ませ家に戻る。

それにしても立花さん綺麗な人だったな。清楚系って感じでおっちょこちょいそうな所も可愛い。隣の人が怖そうな人じゃなくてよかった。

いつも通り調理を終わらせると既に二人は打ち解けていた。


「私……東京ってもっと怖いところかと思ってました!」

「なにいってんだ!東京にきても人間そう変わるもんじゃねえよ」

「そうですよね!なんか周りに合わせて自分まで冷たい人間になるんじゃ無いかって」

「そんなことねえって!いったいどれだけの人が上京してきてると思ってんだ!むしろ東京でこそ自分の個性を再確認するいい場所じゃねぇか。合わせてたらきりがねぇ」

「なるほど!勉強になります!今の言葉仕事で使わせてもらっても!?」

「おっ!?いいけどあんたなにしてる人?」

「あっ!今年から教師です!」

「へー先生か。なんだ先生にそんなこと言われたら照れるじゃねえか」

「やだ先生だなんて~」


楽しそうだな。ご近所付き合いが上手く言って何よりだ。

さてできた料理を運ぶか。


「おい!ジョル坊旨そうだな!」

「実家の味だよ。姉ちゃん忘れてるんじゃ無いかと思ってね」

「サンキュー」

「あ、立花さんのお口に合うかはわからないですけどよかったら」

「お、美味しそう!ほんとに佑樹くんって料理上手なんだ!

お姉さんから色々聞いたよ!」

「いろいろ……」


ジーと姉ちゃんを見つめる。ばつが悪くなったのか姉ちゃんは慌てて食べる準備を始める。


「さっ!ほらっせっかくジェル坊が作ってくれたんだから食べようぜ!」

「そ、そうですね」


三人でご飯を食べる騒がしい朝になったな。


「やっぱり一人で食う飯より二人。三人だな!」

「はい!私も毎日寂しくて……」

「僕も二人となら飽きなさそう」

「「それどういう意味?」」

「あ、いやナンニモナイデス」


2人からの殺気に耐えられず視線を落とす。

なんだか東京でも退屈しなさそうだな。


「じゃあ私は仕事があるので」

「おう!頑張ってな!私もか」

「僕もちょっと早いけど行こうかな」


立花さんが部屋に戻り姉ちゃんが支度を始める。

僕も新しいクラスに馴染めるよう頑張らないとな






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