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AI棒  作者: 君名 言葉
第三章 アーティカルグランプリ編
31/50

第三十一話 栄光への道

 シン達が黒ずくめのアーティー集団の事を思い出したのは、それから10分後のことだった。

「どうする? 1回分の彼らの試合見逃しちゃったけど」

「仕方ないわよ。情報は少し減ったけれど」

「だな。今さら言ってもどうしようもない。とにかく、次に向けてコンディションは万全にしないと」

 試合を一巡した後、1時間の休憩を挟んで二巡目が始まる。

 先程の決勝トーナメントの一巡目で8チームだったのが半分の4チームになった。なので、次の試合は準決勝だ。

「あと2回勝てば優勝かー。短いようで長いなぁ」

 力が抜けたような声でコルンがつぶやいた。

「トーナメントの配置的には、決勝でチーム"メダロン"と戦うことになるな。まあ、その次に戦うチームも相当強いだろうが」

「そうじゃな。次の相手はアーグラ常連がリーダーのチームじゃからな」

 菊間博士も観る側とはいえ緊張するだろう。

「他のチームにしても、クイーンがいなくなったのは嬉しいだろうな。優勝は渡さないが」


 会話しているだけでも時間はどんどん過ぎていき、気づけばもう2回戦が始まる時間だ。

「さあ、頑張ってくるんじゃぞ」

「おう。行ってくるよ」

 菊間博士の声援を背中に受け、先程降りてきた階段を登る。係員に誘導され、競技場に再び入った。

『いよいよ決勝トーナメント2巡目のスタートです!対戦するのは……チーム"シン"と、チーム"カイ"です!どんな試合が見られるのでしょうか?両チームとも、準備をお願いします』


 カイといったその青年は、シンと同じくらいの年だった。彼も同様に、幼いころからアーティーとして生きてきたらしい。始まる直前に、コルンがある提案をしてきた。

「シン、少しいいかい?」

「なんだ?」

「この試合、シンは最初は出ないで欲しい。その方がシンの情報も落ちなくて良いはず。僕とサキに1つやりたいことがあるんだ。先陣を切ってまず仕掛けていいかい?」

「んーコルンなら大丈夫だと思うが……まあいいさ」

「ありがとう。必ず功を奏してみせるよ」

『準備ができたようです!それでは……レディファイッ!』


「特技発動!【パワースナイプ】!」

 試合開始と同時に、コルンの手から攻撃が繰り出される。一体何が狙いなのだろう。

「スピード型の攻撃に比べりゃ遅い!」

 よく通る声でカイが叫んだ。

 バサン!

 放った矢は見事に裁かれてしまった。

 あれは……なぎなた?

 カイの使用している武器はなぎなただった。だが、使用武器は判明しても戦闘タイプまではまだ特定できていない。それに、残りの二人も脅威になるに決まっている。

「どうすんだ?コルン」

 少し心配になってきた。ここまで想定内なのだろうか。

「心配しないでシン。サキにも事前に言ってある。これで敵の大将の特徴はつかめたからね。勝ちだよ」

 この段階で勝ちを確信するなんて……

「いきましょうコルン。2人であのカイって青年を倒しましょう。シンはあとの2人が邪魔してくるのを止めて頂戴」

「も、もうカイと一騎打ちかよ!?大丈夫か本当に?」

「じゃあいくよ!」

「お、おい!」

 シンの声はもう届かない。サキとコルンは一直線に敵陣へと突っ込んでいった。

 仕方がない。俺も遅れてられないな。

 カイ以外の敵2人も、シンと同じくらいの年齢に見える。一人は明らかに砲撃型のパーツ構成、もう一人は見たことがないので恐らく特殊型だ。カイに関してはまるっきり分からない。そんなことは勝ちを確信したコルンにとってはどうでも良いんだろうが。


「Hey,sari 両端の2体のアーティーを対象に設定し、殲滅開始だ」

『了解 対象確認 戦闘プログラム を 実行 します』

 しかしとっくにサキとコルンは攻撃を仕掛けていた。シンが追いついたのを視認し、後ろに下がった。

「準備はできたかい、シン。じゃあ見せるよ。僕とサキの成長の結果さ」

「しっかり目に焼き付けておくことね」


 はぁぁぁ…………


 2人は同じタイミングで、力のこもった声を発しはじめた。なにかの特技を発動しようとしているのだろうか。すると、その隙を見計らって敵チームの1人がこちらに襲い掛かってくる。反射的に自分の体が動いていた。

 ドン!

「すまんな、ちょっと待ってやってくれ」

 この攻撃を防ぐのがシンの役目なんだろう。ならば、甘んじて受けようではないか。

「お前ら!何か起こる前に叩き潰せ!」

 当然のように、カイの号令で一斉攻撃を放ってきた。果たして間に合うのか。


「らぁぁぁぁ!」


 背後からうなり声のような声がした。長い長い何かの溜めもやっと終わったみたいだ。振り返ると、そこには変身状態になっているサキとコルンが立っていた。ピンク色に輝き、盾が大きくなって強化されているサキと、緑のボディが一層強調され、明らかに弾数の増えた装備のコルン。離れていても、溢れ出るエネルギーを肌で感じる。

「そ、その姿は……!」

「私とコルンは、特別訓練で自分のAIと完全に協調し合ったの。その結果、自由なタイミングで変身状態になることができるわ。変身特技は流石にクールタイムが必要だけれど」

「僕らで迎え撃とう!来い!」


 一方、カイのチームは3人とも哀れなほど驚き戸惑っていた。敵チームの1人が喚き出す。

「カイ!どうすんだあれ! 変身状態のアーティー1体でもこっち3人と互角にやり合えるってのに!」

「どうって……食らいつくしかねえだろ! かかれ!死に物狂いでだ!」

 両チームの正面衝突が始まった。ただし、明らかに勝敗は見えている。変身するとはそういうことなのだ。あっちチームの誰かが変身する可能性も0ではないが、そう易々と実現できるものではない。特別訓練で撃破寸前の体力で戦い続けたコルンとサキだからこそ開花した技だ。

「無駄よ!【ワープホール】を発動!」

 サキが両手を前に突き出したかと思えば、突然黒く渦巻くメダロンホールが出現し、すべての攻撃を吸収していった。敵はこんな仕打ちをされれば為す術がない。猛攻はこれだけでは終わらなかった。

「じゃあここは僕が。【銃弾の雨】!」

 変身によって弾数の強化されたコルンの乱れ撃ち。敵をかなり追いつめている。それでもなお、このカイという男は一筋縄ではいかなかった。

「ぐぐっ……! 【薙ぎ払い】!」

 なぎなたのリーチを活かし、次々に銃弾を打ち落としていく。その間に、残りの2人が反撃してきた。

「負けてたまるかよ!」

 あまり出ない方がいいが時短のためだ。俺が出るか。

 前に行こうとすると、なぜぁコルンに制止された。

「なんでだ?もう終わらせたほうが……」

「シンが出るまでもないさ。試したいことがあるから、もう少しだけやらせて欲しい」

 真剣なコルンの表情を見て、後ろに下がることにした。そして、最後の特技を発動する。

「これで終わりだ!【王権咆哮砲】!!」


 ボォォォォォン!!!


 コルンの胸のAIから青白い光が円状に放出される。そのレーザーが、10秒ほど続いた。

「うあぁぁぁ!!」

 敵の最期の声を聴いて、コルンの攻撃も終わった。司会者は興奮した様子で進行を進め始めた。

『コルンさんの渾身の特技が炸裂しました! チーム"シン"、期待通りの決勝戦進出です!』

 おぉぉぉぉぉぉ!!!


「安心したぜ。いつの間にそんなエグイ技を身に着けてたんだ」

「感覚はもっと前から掴んでたんだけどね。特別訓練後の1週間で昇華できたよ」

「間に合って良かったわ。ともかく、これで決勝戦ね」

「ああ。勝って兜の緒を締めよ。だな」

 遂に決勝進出を決めた3人。特別訓練で養った力のお陰で、ここまでは余裕で駒を進めていくことができた。だが、もちろんメインディッシュはまだ食していない。黒ずくめのアーティー達の陰険な影がチーム"シン"に迫っていた。

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