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AI棒  作者: 君名 言葉
第二章 特別訓練編
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第二十二話 因果応報

 今、なんて……?


「俺がそんなことに気づかない程間抜けだとでも思ったか? 第一、最初の島にいるアーティーの力をみくびっているんじゃないのか? 今頃、そのスパイはボロボロかもな」

「シン!まさか!いや、そんなわけが……」

 コルンの叫びが左から聞こえる。

「そうよ!適当言ってるだけっ……」

 右からはサキの切羽詰まった声。少し待ってから、俺は口を開く。

「まさかの展開だな。でもやることは変わらない。要するに、バーブ、お前を倒さなきゃいけないってことだろ」


 シンは、思わずにやけてしまう。その光景は、他の3人には異様に映っただろう。


 あぁ……久しぶりだ……この感じ……血が沸騰するような……


「どこまでも生意気なガキだ。人を舐めないことから学び直すんだな」

 ついに、バーブが動き出した。赤色の巨体から繰り出されるパワフルなパンチを喰らえばひとたまりもない。

「真の強さとは何かを見せてやろう。はぁぁぁ……【地震】発動!」


 ゴゴゴゴゴゴゴ……


 初めて見た特技だ。地面に強力な衝撃を与え、地殻ごと揺らしている。思わず足を取られそうになっていると、バーブはサキに急接近し、「吹き飛べぇぇ!」と殴りかかった。

 その隙を見て、シンは特技発動の準備をする。


「おらぁぁぁぁぁ!!」

「【絶対防御】! くっ……なんなのこのパワー……!」

 サキの【絶対防御】が押されているのは完全に予想外だ。しかし、シンは今しがた攻撃特技の【火炎放射】に切り替えたので、すぐに他の特技には変更できない。


「コルンっ……!サポートを……!」

「ああ、やってるよ。でも奴には全然弾が通らないんだ!防御力が異常すぎる!」

 このままじゃサキがまずい……!


「フハハハ! 消し飛べぇ!」

 バーブの猛攻は止む気配を見せない。


「このままじゃ押される……!」

「死ねぇぇぇぇぇ!!!」

「いやあぁぁぁぁぁぁ!」

 サキが急に大声で叫び出した。次第に、サキの周囲には高濃度のエネルギー粒子が流れ出す。


「はぁ!!」


 バンッ!!!


 サキの盾は、バーブを跳ね返した。


「あぁ?!」

 後ろに押されたバーブが驚きの声を発した。

「私とAIの仲を舐めないでほしいわね。ここからが本当の本気よ!」


 そう、彼女はまたしても変身したのだ。大規模イベントで見た、頼もしいサキの姿。それが、完全に帰ってきた。ピンク色の輝かしいボディ、周りに溢れるオーラ。それは、バーブですら一筋縄ではいかないだろう。


「フフッ。変身か。まさか今日で2人も見れるとはな。だが、勝つのは俺だ」

「もういい加減、痩せ我慢はやめたら?シン、コルン、畳み掛けるわよ」

「了解だ。【火炎放射】!」

「僕もいくよ!【レーザービーム】!」

「お返しよ!喰らいなさい!」

 かなりの手応えがあった。しかしバーブはまだまだ衰えを見せない。3人がかりでようやくの相手だ。


「流石に変身は強い……か。だがこちらもいくぞ!【ランドブレイク】発動」

 直感でわかる。この技は、今までで1番ヤバい。

「こっちも負けられない理由があるの! 切り札よ……変身特技、【因果応報】 発動っ!」

 防御型の変身特技だって。初めて見た。

 サキとバーブとの間には何も見えない。しかし、バーブのパンチを、謎のバリアがバチバチッと弾いた。


「ふんっ……高濃度のエネルギーでバリアか。変身特技にしちゃかわいいもんだ」

「まさか。因果応報の意味を知らないの? あなたには相応の報いを受けてもらう」

「なんだと……? ん……? がっ……!」

「なんだ? バーブがダメージを受けている?」

 こちらは何もしていないのに、ボディに強大なダメージが入っている。

「そう。あなたが攻撃したダメージの半分を反射させてもらったわ。それが【因果応報】よ。シン、止めを刺して」

「任せろ。【ルーレット】発動!」


『特技 決定 【稲妻斬り】を 発動 します』


 シンの、双剣と化した腕に電気が走り出す。そのままバーブに接近し、肩から大きく斬りこむ。

「終わりだバーブ!」


 ジジジジジジジジジジ……


「こんな奴らに……」


 ん……?


「ありえん……こんなゴミ屑共に……!」


 なんだこれ?! 斬り込んでいるはずのところが次々に修復してる……!?


 ボン!!


「うっ……!」

 バーブの体が爆発した? いや、違う、あれは溢れ出るエネルギーの塊……

「よくもここまで俺をコケにしてくれたな。だがそのお陰で、俺は新たな高みを目指せる」

「な……な……な……」

 コルンの弱々しい声が耳に届いた。

「お前……まさか今変身するなんて……」

「今までの出力とは段違いね……」

 変身しているサキでさえ、そう言うのだ。


 その巨体は、さらに大きくなり、筋肉が異常に発達して、装甲も厚くなっている。ほとんどのアーティーは、このバーブの前に立てば恐れおののくだろう。

「さっき言ったなぁ。ここからが本当の本気だって。そのセリフ、俺も使わせてもらう……」

 どうやら、対象はサキのようだ。変身したアーティー同士のぶつかり合い。だが、そこには明らかに差がある。元々のポテンシャルだけでなく、バーブはまだ変身特技があるのだ。サキは、敵が変身することを考えず、もう使ってしまっている。


「まずはお前からだぁあ!!」

 巨体を揺らしてサキに突撃していく。サキも盾で身構えるが果たして……

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