5 魔族の国10
さて次はどこへ行こう
平和になったこの国は現在観光事業と輸出入事業に力を入れているみたいだ
輸入するのは果物や野菜、そのほかにマジックアイテムなど
そして輸出するのは異世界人の技術や魔鉱と言った素材など
この土地は魔力が濃いのでいい魔鉱が取れるらしい
そう言えば、ここに来てからずっと精霊の姿のままだったね
目立つから魔族の姿にでもなっておこうかな
僕らは人気のない場所で一瞬のうちに魔族に変わると、再び観光に戻った
次に行く観光名所は決まった
宝石山と呼ばれる山だ
この山はたくさんの宝石が取れることで有名で、採掘体験なんかもできるらしい
さらに、堀った宝石の十分の一はもらえるみたいだ
そして不思議なことにとってもとっても宝石がなくならないんだとか
綺麗な宝石が取れるといいな
宝石山に着くと、観光客であふれかえっていた
山のふもとには宿や売店、露店商まである
露店商ではもらった宝石を加工してアクセにしてくれるみたいだ
マジックアイテムにまでしてくれる露店もある
「リディエラ様、こちらで手続きをしてるみたいですよ」
アスラムが手を振って先導してくれた
手続きをしていると後ろから声を掛けられた
「何だお嬢ちゃん。 そんなちっこくて採掘なんかできんのか? おとなしくそこの露店でガラス玉の宝石でも買って帰んな」
何だこの失礼なおっさ、もといおじさまは
体格はがっしりしていていかにも戦士風の魔族の男性
それにシーフや魔法使いと思われる男性二人に双剣を持ったくのいち風の女性
四人組のパーティのようだ
「それはリディエラ様に言っているのですか?」
あ、まずい
テュネとエンシュが殺気立ってる
アスラムとフーレンも怒ってるけど殺気まで出してない
とにかくテュネとエンシュを止めないと
「い、いいから、やめて、トラブルは無し!」
とりあえず落ち着かせたけど、まだ殺気立っている
というかこれだけの殺気に気づいていないこの四人組もかなり鈍感なんだと思う
「ま、せいぜい死なないように頑張るんだな。 まぁ死んだら俺らがお前らの死体を運んでやるよ。 まぁ当然防具は全部脱がせて駄賃代わりにもらうけどな。 そんときゃお前らの死体は素っ裸でここに転がるんだぜ」
大笑いしてる
下品な奴だ
かなりイラっときたけど、グッとこらえた
最後に笑いながら去って行く彼らに風が吹いて派手に転んでいた
ナイスフーレン
でも実はこの山、宝石が取れる反面危険な魔物も出る
宝石を喰らう岩竜や巨大蛇、果てはこの山で亡くなった冒険者たちのゾンビやレイスまで出るそうだ
中でも怖いのがアロロという人型の魔物だ
こいつは毒爪を持っていて、少しでも引っかかれると致命傷というかなりやばい魔物らしい
気を引き締めていこう
僕らは意気揚々と鉱山の中へと入っていった
中には魔法のカンテラが供えられていて結構明るい
ところどころに案内図があって道に迷う心配もなさそうだ
分かれ道もあって、それぞれで取れる宝石が違うらしい
「こちらではルビーが取れるみたいですね。 あの道を曲がればエメラルド、その先にガーネット、さらに奥ではダイアが取れるようです。 ダイアは人気ですのでかなりの人込みが予想されますね」
アスラムの案内でまずはルビーを取ってみることにした
と言っても思いっきり見えてるので壊さないように気を付けながら掘り起こしてみると、ルビーの原石がポコリと取れた
結構大きい
僕の頭くらいあるんじゃなかろうか
ルビーに喜んでいると、その奥で悲鳴が上がった
女の人の悲鳴
僕らは急いで今悲鳴が上がった方向へと走った




