1 人間の街5
街はついに完成した
作物も家畜も順調で、新しい街として機能し始めている
この街は人間の国ラーマイン領内にある街として認定され、常にそよ風が吹くことから風の街メローと名付けられた
街長はここに来た時最初に会った開拓民のリーダーフルフさんが勤めることになった
実質リーダーとなっていた僕が押されたのだけど気ままに暮らしたかったのと、寿命がない僕らがずっとここにいれば精霊だとばれて敬われそうなので遠慮した(ちなみに妖精は一応寿命があるらしい)
ひとまず無事に拠点はできた
ここを拠点として僕らはいろいろな都市、国を観光して回ろうと思う
世界一周なんていいかもしれないな
魔王が倒されすべての種族がまとまっているこの世界では争いは少ないのだという
観光、何ていい響きなのだろう
前世は小さなころ以来どこにも行けなかった
だからこの目で、自然を、景色を、街を見たい
世界を回りたいと精霊や妖精たちに伝えると、あっさり承諾してくれた
「それは良き判断です。 世界を見て知るということは今後リディエラ様の良き経験となることでしょう」
テュネは嬉しそうにそう言った
早速世界を回るための準備と打ち合わせをした
この街はもう僕らがいなくても機能するようになっている
魔物が襲ってきても結構強い冒険者が拠点としてこの街を利用しているので問題ないだろう
この街は様々なところへ行くのに便がいいので自然と人が集まるようにはなっていたのだ
僕らは翌日街長にしばらく家を空けることを告げて旅立った
目指すは隣国、獣人が住む国ガルドラだ
獣人、獣の耳が生え、尻尾を持つ種族らしく、顔立ちは人間に近いのだとか
前世では肌の色が違うだけで種族は人間しかいなかった
そう、種族が違うのだ
それだけでもがぜん興味が引かれる
とりあえず隣国へ向かう前に母さん…精霊女王の元へ行って世界を回ると報告することにした
しばらく顔を出していないので心配しているかもしれないしね
妖精たち数人を家に留守番させておく(一応彼らは交互に帰郷しているので今回はついてきていない)
街を出て森に入るとさっそく人間形態から精霊の姿へと戻り、空を飛んで精霊の森へと戻った
この速さ、反則である。 通常なら一か月はかかる道のりを数時間で行くことができるのだから
森につくと妖精や精霊たちが出迎えてくれた
まるで凱旋パレードのように歓迎されている
すぐに母さんの元へ案内された
母さんはすごく喜んでいる
僕を抱きしめて頭を撫でてしばらく放してくれなかった
それから落ち着いた母さんに世界を見て回りたいと伝えた
母さんは少しショックな顔をしたがすぐに困ったように微笑んで了承してくれた
かわいい子には旅をさせよという言葉がこの世界にあるのかどうかは知らないけどそう言うことなのかもしれない
そして僕らは旅立った
人間の国へと戻った後は徒歩で行く
いろいろと寄り道をしながらゆっくりと、のんびりと景色を楽しみながら向かうつもりだ
あぁ、楽しみだなぁ。 一体どんな景色が待っているんだろう
僕は期待を胸に歩いた
観光名所とか回らせたり、その土地土地の食べ物を食べさせたりします