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4 エルフの国3

 龍脈と加護の力のおかげか、なんと二週間ほどで果物や作物が実り始めた

 それに伴い、果物を食料としていた動物や魔物たちも戻り、森は今まで通りの活気を取り戻していった

 エルフたちは口々に感謝を伝えてくれる

 なんだか気恥ずかしい

 出来たての果物第一号を僕たちにふるまってくれようとしてくれたけど、それは断った


「速くエルフのみんなが回復してくれるのが一番のお礼になるよ」


 エルフの人達はまた感謝を述べてくれた

 ひとまず食料は十分に確保できるようになってきたので、ようやく国も落ち着いたみたいだ

 大飢饉によって犠牲になった人たちの慰霊碑を建てて祈りをささげる

 大きな慰霊碑は街の中心に置かれ、誰でも祈りをささげられるようにしておいた


 さて、国も大体元に戻ったことだし、観光を始めるとしよう

 観光名所を聞いて回ると、虹の泉、世界樹、神獣ファガロト(真っ白な狼らしい)の住む場所、そして回復した果樹園では果物狩りができる

 

「う~ん、どれから行こうかな? 世界樹、果樹園、ファガロトって神獣も気になるね」


「私~、果樹園行ってみたいです~」


 と、フーレン


「私は世界樹を見たいですね。 かなり前に来たことがあるのですが、現状を見ておきたいのです」


「私は虹の泉ですね。 確か泉の底にある特殊な鉱石によって七色に輝くそうですよ」


「私はファガロトに会いたいです」


 それぞれがそれぞれに行きたい場所を主張している

 まぁどのみち全部行くつもりだから、ここは意見を言うのが一番早かったフーレンの提案を採用して、果樹園へ行くことにした

 そのあとはアスラムの世界樹、テュネの虹の泉、エンシュのファガロトだ

 うんうん、かなり楽しみになって来た

 よし、早速果樹園に行ってみよう


 エルフの男性に案内され、果樹園へとやって来た

 正直前世のように一種類だけ、多くても二、三種類の果物しかなっていないと思っていたんだけど、これはすごい

 様々な果実が所狭しと実っていて、どの果物も甘い香りをふんだんに放っていた

 その香りだけでお腹が一気にすいてきた

 

「それでは、果物狩りを楽しんでくださいね」


 エルフの男性がにこやかにそう言って去って行った

 よし、いっぱい食べよう

 まずは目についた真っ赤なリンゴのような果実を手に取った

 リンゴほど固くなく、桃に似た香りがする

 

「それはアムモです。 皮ごと食べれるのでそのままかじってみてください」


 おお、さすが植物に詳しいアスラム

 言われるがまま一口かじってみた

 柔らかな食感と口いっぱいに広がる果汁の甘みが素晴らしい

 少し喉も乾いていたのですごく潤う

 かぶりついて夢中で頬張った

 みんなもおいしそうに食べている

 

「種はそのまま捨ててください」


 確かそんなことを言ってたので、地面に捨てると、驚くべきことが起こった

 種がすぐに発芽し、ゆっくりと、植物が成長するには早すぎる速度で大きくなっていった


「なにこれ? もう育ったんだけど?」


「これも加護と龍脈による影響ですね。 本来ならこのようにすぐに育ち、食料危機など起こるはずがなかったのです。 ちゃんと育ったということは、龍脈も加護もちゃんと働いている証拠ですね」


 なるほど、ていうか龍脈と加護の力すごい

 よし、これなら取りすぎる心配はない

 たっぷり食べよう!


 それからはバナナに似た黄色い果物ガガ、そのまんまマンゴー(異世界人が種を持ってきたらしい)、緑色だけどちゃんと熟れてるフーファ等々を食べた


 ガガの味はそのままバナナなんだけど、それは最初の内だけだった

 噛むごとに味が変わっていき、最終的にはまるでハチミツのような味になった

 マンゴーはとにかく甘さが強くてみずみずしい

 前世のアップルマンゴーの比じゃない

 どうやらここで育った果物はどれも甘みが強くなる傾向にあるらしい

 そしてフーファ

 これは面白いことに、さいしょは酸っぱさがすごくて、レモンのようだったけど、口の中に果汁が広がるにつれてどんどん甘くなっていく不思議な味だった


 次はもう少し奥に行ってみよう

 そっちにもかなりの種類の果物が生えてるみたいだ


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