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帰還2

 妖精たちと過ごす日々はとても楽しかった

 毎日一緒に掃除したり遊んだり料理したり

 料理についてはカスミやマリリカが教えてくれた

 我ながら結構うまくなったと思う

 ちなみにカスミとマリリカの料理は達人並みで、カスミは肉料理、マリリカは魚料理が得意だ

 二人ともいいお嫁さんになるだろう

 それとなく言ってみたら二人は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた


 それから一週間が経過した

 妖精たちも連れて精霊の国へ帰郷する

 妖精たちも久しぶりの帰郷で、どこか嬉しそうだ


「楽しみ、ピクシーたち、元気? してる? 心配」


 そう言ったのはシェリィという女の子

 この子はエインセルたちの中で一番年が若く、カスミやマリリカにしょっちゅうべったりとくっついている甘えん坊だ

 

「そうだね。 早く会いたいね」


 シェリィの頭を撫でながら答えるのはコルトという男の子

 シェリィより少し年上で、彼女のお兄さんのような存在だ

 舌っ足らずに喋るシェリィはみんなの癒し

 僕たちが旅行に出る時について来ようとしていたのも彼女で、僕にも凄く懐いてくれている


 カスミが妖精たちをまとめ上げて一列に並ばせる

 点呼を取った後まだ日が昇ってすぐのうちに家を出た

 こんなに早く出たのは人目に付かないためだ

 結構人が来るから目立ちたくないんだよね


 メローを出てからまず人間の国ラーマイン首都のアルサドを目指す

 そこから西に進んで深い深い森の奥に行けば妖精の国だ

 少し距離があるけど一日もあればつくはず

 

「空を飛んでいかないのですか~?」


 フーレンがそう言った

 どうしよう、早く帰りたいけど目立たないかな?

 今は早朝ということもあり人は全く歩いていない

 ひとまず街を出てからもっと人がいそうにないところで精霊に戻ってから飛ぼう


 妖精たちは姿を消しているので見られる心配はないけど、僕たちは精霊に戻る過程で絶対姿をさらすのでなるべく人がいないに越したことはない

 既にここいらは結構注目されている

 これ以上目立つと僕の平和に暮らす精生設計が壊れそうだ

 そうなったらせっかく開拓して手に入れたこの場所も引き払って遠くでまた家を探さなきゃならなくなる

 精霊はそれだけ人々に愛されてるってのは分かるんだけど、僕は静かに暮らしたい

 まぁ困ってる人がいれば助けるけどね

 

 街を出ると人の背丈より高い草の生えた場所があったのでそこで精霊に戻る

 それからみんなで空に飛びあがると一気に精霊の国に向かった

 これなら一時間とかからずつきそうだ

 何せくねった道を歩いて進むのではなく、一直線に進めて最短距離を行けるからね


 精霊の国に着いた

 やっぱり空を飛ぶと速いね

 既に伝達用魔法で母さんに帰ることは伝えてあるので、精霊や妖精たちの歓迎があった

 まるで英雄の凱旋のように出迎えられたので少し気恥ずかしかったけど、久しぶりに帰れた故郷は相変わらず自然豊かで空気が濃く、精霊に適した環境のおかげですこぶる調子が良かった

 歓迎してくれる彼らの中に竜の姿を見つけた


 あれ?こんなのいたっけ?


 目を丸くしてキョトンと彼の方を見ていると、彼はこちらに近づいてきた


「久しぶりだn、お久しぶりですねリディエラ様」


 丁寧な言葉に言い直してる

 誰だこの竜


「分からないですか? 俺ですよ。 ガンドレです」


 名前を聞いて驚いた

 前に精霊をいじめていた邪竜じゃないか

 確か僕がボコボコにして改心したんだっけ?

 なんで真っ白になってるんだろう?


「俺、聖竜になったんですよ。 今までよりもはるかに力が溢れてきます。 それもこれもリディエラ様とここの精霊や妖精たちのおかげです。 俺、ここの守護を任されてるんです」


 なんかキャラ違くない?

 前はもっとこう、俺様が俺様が、みたいなやつじゃなかったっけ?


 話を聞いてみると、あれから精霊たちと共に暮らし、母さんに重要な任務も任されるようになってやる気も出たらしい

 それに、どうやら母さんをすごく尊敬しているようだ

 うんうん、いいことだ

 僕はポンポンと彼の足を叩いて満足げにうなずいた


 ガンドレから離れ、王座に向かう

 そこには、母さんがいた

 母さんはすぐに玉座から飛び降りて僕の元に駆け寄ると抱きしめてくれた

 柔らかい花の香りが鼻腔をつき、ここを離れてから約半年くらいだけどすごく懐かしい感じがした

 それにこの花の匂い

 前世での母さんが使っていた僕の大好きな香水の匂いに似ている

 僕はそのまま母さんとしばらく抱き合った

 優しさに包まれているような感じで、母の包容力をその身に存分に味わった

 それからしばらく母さんは僕を放してくれず、そんな姿をみんなに見られたけど不思議と恥ずかしさはなかった

 何週間かここに滞在してからまた旅に出ようと思う

 母さんも世界を見て自由に生きなさいって言ってくれてる

 名残惜しそうな顔はしたけど、ちょくちょく帰ってくるつもりだ

 次はどこへ行こうかな?

第一章完

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