表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/464

1 人間の街4

 当面の食料は確保できたのだが、継続的に食料を得るとなると森の恵みだけでは難しい

 一応畑の体制は出来上がっていて、芋や成長の早い野菜類は植わっている

 それだけでは心もとないので先に取ってきていた果物や野草、薬草などの栽培を始めることにした

 ここでもアスラムさんの知識が役立った

 土に精通している彼女のおかげでどこに何を植えれば育ちやすいかが手に取るように分かった

 次に水を引くための水路を作るのだが、これはウンディーネであるテュネさんが役に立ってくれた

 一番近くにある川から協力して水路を作り、それをそれぞれの畑近くに引っ張っていく

 ついでに水田も作った

 お米とかの穀物があれば栽培しようと思うんだ

 やっぱりお米が食べたい


「リディエラ様、私は家畜用の得物を狩ってきます」


 そう言いだしたのはエンシュさんだ

 確かに家畜がいれば魔物をいちいち狩りに行く必要もなくなってくる

 猪のような魔物がいたのでそのあたりが適しているだろう

 猪を家畜化したのが豚だと聞いたことがあるしね


「じゃぁエンシュとフーレンは家畜になりそうな魔物を狩ってきて。 僕とアスラムは穀物を探しに行こう。 テュネは引き続き水路の整備をお願い」


 四人とも「拝承致しました」と頭を下げた

 うん、できたらみんなが見てる前ではあまりかしこまらないで欲しいかな

 どういう関係なのかと思われるし、ここでは僕らは冒険者仲間だと思われてるんだから

 まぁ結構いろんなところで彼女たちが跪いている姿を見られてるからもう手遅れかもしれないけど


 森の反対側、街の西の出口には湿地帯があるのだが、アスラムさんが言うにはこの辺りに穀物になりそうな植物が自生している可能性が高いらしい

 早速二人で手分けして探してみた

 しばらく探していると、小麦らしきものと(あわ)(ひえ)と言った雑穀が見つかった

 でもお米どころかそれに似た植物は全く見つからなかった

 まぁ時間はあるから気長に探すとしよう

 とりあえずは小麦と粟、稗を持ち帰り栽培することにした

 麦があればまともなパンが作れる

 それだけでも嬉しかった

 なんせこの世界のパンはかなり堅い上に粉っぽくておいしくない

 作り方は一緒なのに穀物が違うようで、かなりまずかった


 早速小麦の栽培に取り掛かる

 作物の栽培方法はアスラムさん監修だ

 種を採取してそれらをよく濡らした畑に蒔く

 水路の整備を終えたテュネさんが水の精霊魔法で雨を降らすように畑に水を注いだ

 等間隔に植えていく

 さらに水をまいた後は乾燥を防ぐためにフーレンさんが作ってくれた薄い布をかぶせておいた

 三日後くらいにこれを踏んでいくらしい

 強い麦を作るのに必要な手順だそうだ

 

 次に粟と稗を植えていく

 こっちの方は雑草のように強いので植えて適度に水をあげてればいいそうだ


 これで雑穀の栽培はうまくいくだろう

 と言うかうまくいってほしい

 あとは家畜なんだけど、僕らが粟と稗を植え終わったところでエンシュさんとフーレンさんが戻って来た

 テュネさんから借りた道具袋から大量の猪や牛型の魔物、それに鹿のような魔物、うさぎのような魔物を取り出した

 それらはフーレンさんが家畜化しやすいように魔法で洗脳しているらしくおとなしかった


 早速開拓民たちに作ってもらった牧場に放牧しておく

 ちょうどいいことに牧草の生えた丘があったのでそこを区分けして家畜ごとに分けて入れた

 これで家畜の育成も着手できそうだ

 それに、牛型の魔物からはミルクも取れる

 これは嬉しい誤算だった

 ミルクから作れる食品は多い、チーズにバターなどなど

 鶏型の魔物もいたので卵も手に入る。 もしかしたらマヨネーズなんかも作れるかもしれない

 ご飯の味に多様性が出るのは非常にうれしい

 

 それから数ヵ月、僕たちは開拓地のリーダーのようになっていた

 みんなからは認められ、新しく来た開拓民たちの協力も相まって徐々に街も発展してきた

 そして、僕の家が完成した

 この街で一番大きいかもしれない

 最初想定していた10人は住める家とは違い、ここは50人はゆうに住める屋敷になっていた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ