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帰還1

 もう間もなく獣人の国ガルドラの国境線、ここを過ぎれば人間の国だ

 猫獣人の街ニューミアを抜け、犬獣人の街ワオニシアへと入った

 ここに来るのも久しぶりだ

 相変わらず犬型獣人がたくさんいて僕のモフモフしたい欲を刺激してくれる


 国境を越える前にここで一晩泊まることにした

 もうすぐ日が沈む

 暗くなる前に宿を取り、そこで夕飯を食べることにした

 数年前にやって来た異世界人が経営している宿で、一階の食堂ではお好み焼きやタコ焼きが楽しめるのだ

 どうやら関西の人らしく、心地よい関西弁の少女の声が聞こえる

 彼女はオオタさんと言って、案の定関西出身らしい

 あ、ちなみに僕は前世が日本人だったことを誰にも言ってない

 異世界人に興味あるくらいにしか思われてないだろう

 神様は知ってるから意味ないけどね

 僕は今の生を謳歌したいから転生したことはなるべく知られたくない


 オオタさんの作るお好み焼きやたこ焼きはすごく懐かしい感じがした

 彼女はもともと家のお好み焼き屋を手伝ってたらしいんだけど、家族旅行で飛行機に乗っていた際翼の故障によって墜落した

 地面に激突する瞬間までは覚えているらしいが、気づいたら家族はおらず、自分だけこのワオニシアの片隅に倒れていたそうだ

 その時は息も絶え絶えで、この街の神社へ運ばれて回復の奇跡によって助かったのだそうだ

 手足の損傷がひどく、ちぎれかかっていたにもかかわらず綺麗に治ったことで感謝し、現在そこの神社の巫女もしており、年末年始のみ働いているという

 

 自分の世界に帰る方法は常に探しているそうだが、神様でもそこら辺の事象に干渉することができないらしく、手づまりらしい

 ちなみに彼女がこの世界に来て得たスキルは空駆けという空中浮遊系のスキルで、自在に空を走れるらしい

 配達に使えるので重宝しているそうだ


 なるほど、配達か、伝達用の魔法があるので今度配達してもらうのもいいかも

 幸いワオニシアから僕の家がある街は国境を挟んで隣り合ってるから近いはず

 国境を越えるのも今は何の障害もなく、国境なんてあってないようなものだしね


 オオタさんと話が盛り上がった後、お風呂に入って眠りについた

 明日の朝に出てそのまま国境を越え、僕の家に帰るつもりだ

 妖精たち、元気にしてるかな?


 早朝、朝ごはんに食パンをこんがり焼いたものと、リンゴのジャム、それにチーズとホットミルクを食べた

 宿のオオタさんにお礼を言ってから国境へ向かった

 街のすぐ外にある国境は現在警備兵が数人いて、簡単なチェックだけで通れる

 そうなったのも僕たちが街を作ってこの街道を通りやすくしたかららしい

 なんだか誇らしい


 国境を越えて僕たちの街が見えてきた

 久しぶりに見る街は変わり映えしないけど、人通りが増えていた

 観光客がたくさんいるみたいだ

 特に見栄えするようなところはないはずなんだけど、どうしてだろう?


 街に大弾幕がかけられているのを見てその理由が分かった


「妖精の街、メローへようこそ?」


 妖精が訪れる街として有名になっているみたいだ

 どういうこと?

 もしかして、あの子たち、見つかっちゃったのかな?


 急いで家に帰ると、家の前には人だかりができていた


「え? 何これ」


 人だかりを押し分けて家に入ろうとすると


「もしかしてこの屋敷の方ですか?」


 と、観光客らしき人に声をかけられた


「そうですけど、うちに何か?」


 なんでここに観光客が集まっているのかは分からない

 だからとりあえず聞いてみた


「ここは今観光名所になってるんです。 この街を開拓した立役者のおうちですし、なにより妖精たちが降り立った場所でもありますからね」


「そ、そうなんだ。 まぁうるさくせずに外から見るだけなら構いませんよ」


 どうやら騒がずにただ眺めて一分ほどでみんな帰ってくれており、マナーは守られているみたいなのでいいだろう

 迷惑をかけないって言うのが観光客たちの暗黙のルールみたいだしね

 とりあえず家にはいると、いきなり何かに飛びつかれた


「リディエラ様! おかえりなさいです!」


 カスミだ

 僕の胸に顔をこすりつけで涙ながらに喜びを伝えてくれている

 でも鼻水を服に付けるのはちょっとやめてほしいかな

 

 妖精たちはみんなすごく喜んでくれた

 小さな蝶のような羽をパタパタとはためかせ、僕らの周りを飛んでいる

 かわいい!


 大歓迎で迎えられ、今夜はパーティーをすることになった

 しばらく妖精たちとここで過ごそう

 今までいなかった分彼女たちには感謝しないとね

 家がこんなにきれいに保たれているのも彼女たちのおかげだから

 

 精霊の国には一週間後に帰ることにした

 帰郷って言うのかな?

 母さんに早く会いたいな

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