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3 鬼人族の国20

 五日目の早朝のことだ

 通信魔法によって母さんの声が宿の部屋に響いた


「リディちゃん、リディエラ? 起きてますか?」

 

 母さんは僕のことをリディちゃんと呼ぶ

 最初のころはむずがゆかったけど今ではもう慣れたものだ

 僕はゆっくり体を起こすと寝ぼけ眼で


「は、はい、起きてますよ~」


 既に四大精霊たちは起きていて、膝をついて話を聞いている


「リディちゃん、今鬼ヶ島にいるのでしたね?」


「はい、今は祭りの真っただ中ですね」


「そう、それはちょうどよかったわ。 今日はね、そこで精霊達の集いがあるの。 リディちゃんにはそれに参加してほしいのよ」


 優しく語り掛ける母さんの声は何度聞いても癒される

 それにしても、精霊の集いってなんだろう?

 あ、そう言えば、祭りのプログラムに精霊族のもようし物があったような


「集いですか? 僕は何をすればいいんです?」


「それは始まってからのお楽しみよ。 四大精霊がどうすればいいか知っているからしっかりということを聞いてね」


「はい!」


 何をすればいいかわからないけど話し合いみたいなものだろう

 そのくらいなら特に気張る必要もないか


 そう思っていたらとんでもなく重要なことをやらされることが分かった

 五日目

 五日目は精霊たちによる光の祭典が開かれるのだ

 その大とりを任されることになった

 僕と四大精霊で宙を舞い、最高位の精霊として自然界の調律を宣言するというものらしい

 精霊は世界を安定させるためにいる

 僕はその最高位の存在としてそれを宣言しなくてはならない

 今までは毎年母さんがやっていたんだけど、僕のお披露目も含めてやらせたかったらしいのだ

 

 朝からまずテュネとアスラムに舞いのやり方を習った

 そんなに難しくなく、これなら僕でも出来そうだ

 それから衣装

 この国で毎年精霊用の衣装を貸し出してくれるそうなのでそれの着付けをフーレンがしてくれた

 エンシュは僕の体のあれこれを整えてくれた

 よだれが垂れてるけど大丈夫かな?


 僕らの準備も整い始めた頃、下位精霊たちの舞いが始まったようだ

 キラキラと光りながら自然界に存在する精霊たちが舞い観客を魅了しているようだ

 空には虹がかかっている

 あ、なるほど、上位精霊たちが演出をしているのか

 見たことある精霊も何人かいた

 ダイアモンドのように輝く雪の粉を撒いているのは雪の精セツだろう

 彼女はかあさんのお付きのひとりだったはずだ

 

 次に中位と上位精霊による舞いだ

 雷の精ライカと雨の精ウォンのカップルによる舞いから始まり、海の精や岩の精、霧の精などなど

 僕が生まれたときくらい精霊たちが来ているようだった

 あと、皆僕に手を振ってくれている

 僕も手を振り返すと、すごく嬉しそうな顔で笑いかけてくれた


 やがて、僕たちの出番となり、衣装の最終チェックをしてから僕らは空へと飛びあがった

 僕の衣装はフリフリのリボンとフリルがついた真っ白な衣装でテュネは青、エンシュは赤、アスラムは緑、フーレンは黄色だ

 空中で踊り始めると歓声が上がった

 恥ずかしかったけど、高揚しているためか気にならなかった


 やがて僕らの舞いが終わると、国中がキラキラと輝いて見えた

 やり切った達成感からだろうか?

 いや、どうやらこの光は僕たち精霊から出ているようだ

 この光が世界中に広がり、自然の調和を保っていくのだとテュネが教えてくれた


 大盛況で五日目を終わる

 意外にも大役で疲れたけど、温泉に入ったらすっかり疲れは取れた

 ビバ温泉だよ


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