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3 鬼人族の国19

 四日目だ

 今日は踊りの日である

 踊って神々をもてなすのだ

 それぞれの神様ごとに違った踊りを奉納するそうで、最初はアマテラス、次にそれぞれの種族ごとの舞い、それから精霊族の神であった母さんへの舞い、今は神様じゃないけど毎年母さんにも奉納されているそうだ

 それは神々から母さんに対する感謝の証なんだそうだ

 遥かな昔の神々と魔の者との戦争に関する話はずっと伝わっていて、もちろん精霊族の神であった母さんの話もちゃんと伝わっている

 だから、母さんは特別な舞いを奉納されるらしい

 なくなった神力を取り戻すための舞い

 これは信仰心から神力を高め、母さんに注ぐための舞いらしく、ほんの少しずつだけど母さんの神力も回復しているみたいだ

 いずれ力を取り戻したときは再び神様として神界に帰るのだろうか?

 それは母さんにしかわからない

 でも、もし戻らなくても神々は見守り続けるそうだ

 アマテラス自身がそう言っていた

 でももしその時が来たら、神様に戻る時が来たら僕はどうすればいいんだろう?

 母さんは僕を連れて行くんだろうか?

 それとも僕を残して行くんだろうか?

 まだまだ先の話だけど、いずれ必ずやって来る未来だ

 でも、今だけは考えないようにしよう


 やがて、舞いが始まった

 ハクラ姫とクロハ姫を筆頭に、三獣鬼を含んだオーガニックスというアイドルグループが初めに歌と踊りを披露した

 ものすごい数のファンがいるらしく、サイリウムらしき光る棒が振られていた

 歌も踊りも超一流で、心に突き刺さるようだ

 アマテラスも嬉しそうに聞き入っている


 次に出たのは妖怪族のユニット、ファンタズマだ

 このグループ、妖怪族の女の子10人からなるユニットで、最初にそれぞれが挨拶をしていて、まるで日本のアイドルグループみたいだ

 多分プロデュースしているのは日本からの異世界人だと思う

 その次に出たのはすねこすり族のネネコちゃんだった

 彼女はアイドルらしい可愛い衣装を着て一人舞台に立っている

 緊張しているのか、尻尾がピンと立っているのがすごく可愛い

 観客席からは歓声が上がり、アマテラスも手を叩いて喜んでいる

 

 ネネコちゃんは大きく息を吸うと、歌い始めた

 素朴だけど透き通った声で、聴いているだけで癒される

 幸せな気分になってきて、うっとりと目を閉じた

 誰も騒がずジッと聞き入っていた

 やがて歌い終わると、それと同時に大きな歓声が上がった

 どうやらネネコちゃんも大人気のアイドルのようだ

 無事歌い切れたので、裏でクロハ姫とハクラ姫に褒めてもらっていた


 それから何組かのアイドルが歌って踊り、皆大いに楽しめたようだ

 僕たちもすごくいいものが見れたので大満足である


 とりは男性アイドルユニットだった

 鬼族と、妖怪族の混成ユニットで、リーダーはなんと鵺族で姫たちのお付きのコクウさんだ

 イケメンなのでものすごく映える!

 歌はまるでオペラのようで、低いテノールが響き渡った

 これは、おなかの底から響いてくる

 僕は一気にそのユニットのファンになってしまった

 やっぱり女性ファンがすごく多いんだろう

 歓声は女性の方がはるかに多かった


 そして大とり

 出てきたのはハクラ姫とクロハ姫、二人の姫によるユニットだ

 ブラック&ホワイトプリンセスズというらしい

 これはもう絶対日本のアイドルオタクが裏でプロデュースしてるに違いない

 

 二人の歌は祭り会場全体に響いた

 美しい、耳が幸せになるのを感じる

 

 歌が終わると、この日一番の歓声が上がった

 アマテラスも一緒になって叫んでいるけど、何を言っているかわからなかった

 でも、喜んでいるのは分かる

 

 素晴らしいコンサート?だった

 きっとこれなら神々も満足するだろう

 現にアマテラスも大喜びだ

 

 来年もきっとこの歌を聞きに来るとしよう


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