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3 鬼人族の国18

 午後

 御神輿が倉庫から運び出される

 屈強な鬼人と妖怪たちが巨大な御神輿を担ぎだしてきた

 で、でかい

 一軒家くらいあるんじゃないだろうか

 それが男たちに担ぎ上げられ軽々持ち上げられる

 ん? よく見ると男だけじゃなく女性たちも華やかなはっぴを着て担いでいる

 ヤーサーホイの掛け声とともに大きく揺られる御神輿、それに乗っているのはアマテラスの入ったクノエだ

 クノエ、アマテラスはあんみつのようなものを中で食べている

 一体どういう構造なのか、アマテラスが座る台座は全く揺れていなかった

 

 さらに屋根の上には鬼人の白と黒の姫が舞いを舞っていた

 これだけの揺れにも関わらず、姫たちは意に介さないように華麗に舞っている

 なんという美しさなのだろう

 ハクラ姫は白く輝き、クロハ姫は幻想的な蝶と踊る

 そしてアマテラスは満足そうにあんみつを頬張り、おかわりを頼んでいる


「ウンマ~イ! わらわ、このあんみつというやつが大好きじゃ! さぁ、どんどんと持ってまいれ!」


 すでにあんみつの器が山となって積みあがっている

 一体どれだけ食べるのやら

 お付きのカンナが心配そうに


「大丈夫ですか? お腹を壊しますよ?」


 と言っているが


「問題ない。 あんみつは別腹じゃ」


 などと支離滅裂な供述をしており

 まぁどうやらアマテラスが食べたものはクノエのお腹ではなく僕たち精霊と同じように自身のエネルギーとしてすぐ分解されているらしいのでクノエは大丈夫だろう

 

 巨大な御神輿は広場の方へと運ばれていく

 白と黒の姫の舞いも大詰めのようで、だんだんと激しくなっていく

 二人は汗を飛び散らせながらくるくると回転する

 あれでよく屋根から落ちないもんだ


 やがて御神輿は広場へとたどり着き、広場で叩かれていた太鼓の音が一層激しくなった

 そして最後に大きく

 ドンッ!

 という音を響かせて鳴りやんだ


 アマテラスは立ち上がり、広場の全体に響き渡る声で


「子らよ! わらわの愛しい子らよ! 神々のために素晴らしい祭りをありがとう。 感謝しておるぞ」


 神々は人々の信仰心があってこそ存在できる

 アマテラスは愛おしそうに人々を見渡した


「さぁ、わらわからの挨拶はこのくらいにしようかの。 子らよ、盛大に楽しむがいい!」


 広場で歓声が上がる

 アマテラスは本当に愛されているのだろうな

 あれ? 挨拶が終わったと思ったらもう追加のあんみつをかっ込んでる

 うん、愛されるのもわかる


 さて、御神輿も見れたし、また屋台巡りでもしようかな

 そんなことを考えていると、巫女服を着た小鬼族の少女が駆け寄って来た

 小鬼族は小さな鬼族系の種族でちゃんと角も生えている

 まるで子供の様だけど、体が小さいだけで大人だ

 今駆け寄ってきたのは本当に少女だけどね


「あの、アマテラス様が呼んでるのですので、一緒に来てほしいのです、です!」


 舌っ足らずで可愛い

 何故呼ばれたのかは大体察しはついてる

 神様だから当然僕らの正体にも気づいてるんだろう

 小鬼族の少女の後について行くと


「ようきたな、シルフェインの娘」


 人払いのされた部屋で僕らを歓迎してくれるアマテラス

 

「懐かしいのう、まるで昔のシルフェインを見ておるようじゃ」


 アマテラスは母さんがまだ神様だったころを知っているようだ


「あの子は我ら神々の英雄じゃ。 あの子がいたから我らは今こうして生き残れておるのじゃ。 シルフェインの元へ戻ったら伝えておくれ、感謝しておるとな」


 ニコリと微笑むアマテラスは神々しさも携えながらその場を癒すような空気で包み込んだ

 なんだかとっても懐かしい感じがする


「さて、挨拶もできたことだしの、祭りを楽しみに戻るがよいぞ」


 僕の頭をよしよしと撫でて送り出してくれた

 すごく気持ちいい


 それからまた屋台をめぐって焼きそばやたこ焼き、リンゴ飴やブドウ飴などを楽しんでその日を終えた

 四日目は踊りの日

 ハクラ姫とクロハ姫含め鬼ヶ島のアイドルズが神々に捧げる歌と踊りをやるらしい

 この日はかなりの人が見に来るので込むこと必至だ

 ただ、アマテラスが僕らを精霊の姿でくるならVIP席を用意してくれると言ってくれた

 まぁそのままの姿だとなんで一般人があそこに!?とあらぬ混乱を招くだろうから仕方ないね


私は神様が好きです

宗教的な意味じゃなくて

キャラクター的な意味でです


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