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3 鬼人族の国17

 三日目、まずは人魚救いからだ

 御神輿は午後からなのでそれまで遊びつくそう

 すねこすり族と化け猫族の少女二人が看板娘のサンド屋さんで、朝ご飯にサバサンドを頬張ってオレンジジュースを飲み下す

 サバサンドは丁寧に骨取りがされていて、シンプルに塩焼きとキャベツの千切りが入っているだけ

 そこにレモンを絞ってパンにはさんで食べるのだ

 ホクホクと温かい身は柔らかくて脂がしっかりのっている

 オレンジジュースはジュースの屋台で購入

 果汁100%のしぼりたてだ

 すっきりと甘酸っぱくてまだ少し寝ぼけてる頭を覚ましてくれた


 朝ごはんも終えたところで、昨日気になっていた人魚救いに行ってみることにした

 横ではすでに水鉄砲を使った対戦型のゲームで子供たちがはしゃいでいる

 今日も熱くなりそうだ


 人魚救いの屋台の前でまずはぬりかべ族のお姉さんから説明を受けた

 ぬりかべ族は見た目は頭にたれ耳の付いた獣人のような種族だけど、妖術を使って幻惑を見せることができ、道に迷わせて身を守る種族らしい


「まずはこちらでくじを引いてください。 鬼の強さと迷路の種類を設定します」


 どうやら迷路を進んでいくタイプのゲームのようで、途中には幻惑で出来た魔物も出るみたいだ

 幻惑なのでもちろん怪我はしない

 そして最終的に鬼を倒せば成功だ

 まずは迷路の種類

 くじを引くと、森と書かれていた


「森フィールドですね。 ふふふ、幻術がかけやすいとこですね」


 どうやらぬりかべ族の人達が迷路を作ってるみたいだ

 注意しなきゃ迷子になって時間切れなんてこともありうる


 次にボスとなる鬼人の人の強さだ

 引いてみると、アルティメットとかかれている

 あ、アルティメット?


「あちゃー、最強ですね。 ま、まぁ頑張ってくださいね」


 引きつった笑顔で送り出してくれるぬりかべ族の女性

 なんだろう、かなりやばいのかもしれない


 森の中へと入っていくと、すぐに白い霧が周囲を包み込んでいった

 数メートル先も見えないくらい深い深い霧

 恐る恐る進んでいく、まるでお化け屋敷だ

 注意したが、幻想で出来た魔物は突然現れるので心臓が口から飛び出そうになる

 まぁ、簡単に倒せるから何とかなる

 え? おもらしなんてしないよ

 精霊は排泄をしないんだ


 魔物は難なく倒せるんだけど、いかんせん出てくる魔物がゾンビだのグールだのリッチだの、怖がらせる気満々なのだ

 僕はエンシュに抱っこしてもらいながら進んだ

 これで少しは怖さもまぎれる

 ちなみにテュネとアスラムも怖がりみたいで、エンシュに抱き着いていた

 エンシュはさすがというべきか、全く意に介していない

 ゾンビの丸焼きとか言いながら笑っている


 フーレンは


「あら~、あのグールさん、人間族の町にいた人に似てます~。 あ、あのリッチイケメンですね~」


 とかド天然発言を繰り返しているので問題ないだろう


 やがて迷路は開けた場所へと出た

 戦闘しやすそうな広場だ

 その中心に一人の女性の影が立っていた

 体全体が黒い衣装で、長い髪まで黒、目だけが真っ赤に光っている


「来たようね。 私があなたたちの相手よ」


 スラリと木刀を抜く女性

 その顔に見覚えがあった

 その女性はなんと、クロハ姫だった


「私は鬼人族一甘くないの。 心してかかってきなさい」


 冷たいその目は本気で僕らを潰しにかかる目だ

 猛獣のように鋭い輝きを放っている

 これは戦わなくてもわかる

 この姫、強い


「さぁ、かかってくるがいい。 私の力、見せてあげるわ」

 

 かなり自信があるようで、最初の一撃を僕らに譲った

 恐らく鬼人の中でも一番強いんだろうなぁ


 まぁ僕らの方が強いんだけどね

 エンシュが一瞬のうちに回り込んで頭にチョップを一発でノしてしまった

 目をまわして気絶するクロハ姫はすごく可愛い。 小動物みたいだ

 僕より色々大きいけどね…


「まさかこの私が一瞬で負けるなんて、悔しいけど完敗だわ」


 クロハ姫は本当に悔しそうだ

 でも、勝負は勝負、ちゃんとした手順で勝ってるからね


 囚われていた人魚姫はすごくきれいな人だった

 プールのようなところでのんびりと泳いでいるところに声をかけると


「え!? もう倒しちゃったの!? クロハを?」


 姫であるクロハ姫を呼び捨て

 彼女は鬼人国と交流のある人魚の国の本当の姫らしい

 同じくらいの歳頃とあってよく遊びに来てて、こういったイベントにも積極的に参加しているんだとか

 名前はトリニア姫というらしい


「すごいわねあなたたち。 まぁ、ここまで来れたんだし、商品を持ってくるわね」


 彼女はそう言ってプールを途轍もないスピードで泳いで行った

 流石人魚

 一分足らずで戻ってくると、手に真っ赤な丸い宝石のような珠を持っていた

 

「これはね、炎のオーブ、鬼人たちしか生成できないお宝よ。 刀とかに組み込むと炎の剣になるの」


 これはいいものをもらった

 昨日手に入れた刀を取りに行くときに組み込んでもらうのもいいかもしれない

  

「じゃぁね~、あ、よかったらうちの国にも観光に来てね~。 すっごくきれいな国だからおすすめよ」


 トリニア姫はウィンクをし、手を振りながらプールの奥へと戻って行った

 なんだかすごくいいものを見れた気がする


 さて、いい具合に時間もつぶれたし、いったんお昼を食べて、それから御神輿を見るのだ


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