1 人間の街3
打ち解けたところで家の話になった
僕たちは10人はゆうに暮らせる家が欲しい
ついてきている妖精たちを入れるとそのくらいは必要だろう
それを伝えると、彼らは阿修羅熊を討伐してくれたお礼として一軒作ってくれると言い出した
せっかくなので甘えることにした
まぁ建築技術なんて皆無の僕たちにとっては願ったりかなったりである
もともと家を建てるのをどうしようかと思っていたし
「ではあんたたちには食料を取ってきてもらおうかな。 森の中では果物も取れるからそんなに苦労はしないだろう。 ただし阿修羅熊も含め魔物も多いから気を付けてくれ。 まぁあんたらなら心配するこたぁないわな」
僕たちは快く引き受けた
早速森の中へと入っていく
うっそうと茂っている草花と木々、森の香りが鼻を突く
早速果物を見つけた
リンゴのような果物である
アスラムさんは植物にも精通しているので食べれる植物と毒物、薬になる植物なんかも仕訳けてくれた
毒物でも他の植物と組み合わせることで薬になるものもあり、それらも一応とっておく
果物はリンゴのようなもの以外にも、甘みのないバナナや木苺、かなり酸味の強い葡萄など前世でもあった果物が多い
その他にも見たことのない丸くて禍々しい色のパロという果物、これはかなり甘かった
それに栄養価も高いらしい
果物や薬草などは十分とったので次は肉だ
やっぱり肉が食べたい
早速魔物を探してみる
最初に見つけたのは鳥形の魔物で、鶏のような姿をしている
鳴き声に眠気を誘う効果があるので鶏とは正反対で面白い
僕たちは睡眠を必要としないのでこの効果は無効だった
逃げたので走って捕まえた
他にもイノシシのような姿に長い尻尾の生えた魔物、亜竜の一種であるトカゲ型の魔物、阿修羅熊の通常個体などを見つける
どの魔物も全く相手にならない
僕らはかなり強いようだ
亜竜であるトカゲ型の魔物レッドリザードはDランク相当で、阿修羅熊と同じくらいの強さがある
火を吐くんだけど、エンシュさんには全く効かない上に、彼女の炎の方が上なので丸焼きにされた
料理する手間が省けたとエンシュさんは冗談めいたことを言っていたが、焼いただけではおいしくないと思う
開拓地へと帰る途中にゴブリンの群れを見つけた
テュネさんが言うにはゴブリンは人を襲うので討伐しておいた方がいいらしい
開拓村に被害が出るのは厄介なので一気に全滅させる
ゴブリンたちは僕らを見て何やらいやらしい目を向けていたが、僕らの強さを前に何匹かが逃げ出そうとした
しかしフーレンさんが回り込み、真空刃を発生させて細切れにされる
「よし、全滅したみたいだし戻ろっか」
「はい、そう致しましょう」
全く問題なく食料を確保して戻った
早速取って来た食料をテュネさんの袋から取り出しうずたかく積み上げた
開拓民たちは驚いている
数週間分の食料にはなりそうだ
果物は腐りやすいので時間が経過しないテュネさんの袋に再収納しておくことにした
食料集めがかなり早く終わったので資材運びなどを手伝ったりしてその日は過ごした
この日は僕らが料理もした
大きな鍋でシチューのようなものを作るとこれが大好評で、みんな必ず一杯はおかわりをしていた
嬉しそうにシチューを食べるみんなを見て僕も満足である
これならたまに料理をしてもいいかもしれない