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3 鬼人族の国12

 妖怪たちの国は実は別の土地にある

 そこはこことは比べ物にならないほど広いらしい

 鬼ヶ島にいるのはそのごく一部の人達で、遠い土地に移り住んだ妖怪たちが性質的に似ている鬼人の元に集まり集落を築いた


 街には多種多様な妖怪がいて、せわしなく動いている

 子供の妖怪は種族など関係なしに遊んでいるようだ

 その中に、ひと際綺麗な着物を着て、九本の尾と狐耳を持った金髪にショートヘア、ハクラ姫と同じようなマロ眉にキリッとした鋭い目、鬼姫たちにも負けず劣らずな可愛い顔をした少女がしゃなりしゃなりと歩いている

 かなり目を惹くいでたちだ


 その少女は僕が見ているのに気付いた


「何? わちきの顔に何かついてるの?」


 少女はこちらに近づいて話しかけてきた


「いや、その、綺麗だなって思って」


「あら、ありがとう。 そなたも可愛いと思うわ」


 ニコリとほほ笑むその顔に思わずドキっとした


 話を聞いてみると、彼女は妖怪族の族長の一人、妖狐族である九尾族の長の一人娘らしい

 妖狐族は九尾族を筆頭に狐系の妖怪がまとまった種族で、他にもイズナ族、白狐族、おとら狐族などがいるという

 そんな妖狐のまとめ役が九尾らしい

 その族長の一人娘ということはかなり身分が高いのだろう

 綺麗な着物を着ているのもうなずける


「わちき、従者たちとはぐれてしまったの…。 そうだ! そなたら、一緒に探してくれない?」


 この子も族長の娘というだけあってしぐさや所作は非常に姫らしい

 ふわりふわりとゆれる尻尾がとても可愛い


 僕らは快く引き受けて従者を一緒に探すことになった

 集落内ではぐれたのでこの集落にいるのは間違いないそうだ

 

 この姫様、名前をクノエといい、アクセントはクにつける

 従者は一人で、白狐族の女性だ

 全体的に白いので見ればすぐわかるそうだが、彼女は絶望的な方向音痴なのでもしかしたら集落の外にまで行ってしまっているかも知れないという

 名前はカンナ

 

 しばらく探し回ったけど一向に見つからない

 

「もしかしたら本当に集落から出ちゃったのかも…」


 ぽつりと不吉なことをつぶやくクノエ

 意外と広いこの島内を探し回らなければならないかもしれない

 

「もう付き合わなくてもいいわよ。 あなたたちに迷惑かかっちゃうから。 わちき一人で探すわ」


 笑顔でそう言ってくれるがこうなれば乗りかかった舟だ

 見つかるまで探そうじゃないか!


 僕たちは手分けして島内を探すことにした

 人間の姿だと時間がかかりすぎるので人目につかないところで精霊の姿に戻り、一般人には見えないよう姿を消して島内を飛び回った

 

 その結果、数時間後にようやく見つかった

 フシニ山の頂上で泣きじゃくっていたところをテュネが見つけてきたのだ


「うわーーーん、クノエさまぁああああ! どこですかぁあああ!」


「あの、もしかしてカンナさんですか?」


「グスッ、は、はい、そうですが…。 え? 精霊様?」


 カンナにクノエが探していると事情を伝え、テュネが抱きかかえて空を飛んで戻って来た

 通信用の魔法で見つかったことを伝え、僕たちは再び集落に戻って来たというわけだ

 まさかここから遠く離れたフシニ山の頂上にいるなんて誰が気づくだろう

 でもまぁ見つかってよかったよ


「ありがとう、おかげでカンナと会えたよ。 これはほんのお礼だよ」


 クノエはお守りのようなものをくれた


「それはわちきとそなたたちをつなぐお守りだよ。 よかったらまたお話しよう」


 これはいいものをもらった

 また彼女と話せるね


「また会おうね、妖精様!」


 彼女はそう言ってカンナさんと一緒に去って行った

 彼女たちはもうしばらくしたら妖怪族の国に帰るそうなのでまた会うだろう

 僕たちもそのうち行くつもりだしね

 


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