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猿人族の国11

 すっかり嫌われた僕は少ししょぼくれながら扉をくぐった

 次の階層は熱さでどうにかなりそうな溶岩地帯

 ルカナさんは熱さに強いみたいで大丈夫そうだったんだけど、ハクラちゃんが結構ヤバかった

 彼女は熱に特別弱くて本当に溶けてる


「ハァハァ、精霊様、どうぞ私に構わず先に行ってください」

「そうは言っても、その状態じゃ一人じゃ進めないでしょう?」

「で、でも」

「いいからほら、アイスサークル!」

「ああ、す、涼しいです。少しマシになりました」

「うんうん、ゆっくりでいいからね」


 彼女、もしこの魔法で保護してなかったら溶けて無くなっちゃってたかも

 今の姿は少し年齢が下がった感じで、普段は17歳くらいなんだけど、今は14歳くらいになってた

 アイスサークルは熱を遮断してくれる魔法。でもこんなに熱いとちょっとしか効果が発揮されないみたい

 汗をかかないはずのハクラちゃんは溶けてびしょびしょになってて、服が体に張り付いて少し際どい見た目になってる

 そういえばこの子下着はつけない派だった…

 アイスサークルの効果を少し強めておこう

 普通なら凍っちゃうくらいの寒さにしておいたけど、ハクラちゃんは気持ちよさそうだ


「ああ、精霊様のおかげで元気出ました!」

「大丈夫? うわ、ルカナさん見ちゃ駄目!」

「ワオ! 姫とてもセクシーネ! ちょとお姉さんと良いことしヨか」

「変なこと言ってないで行くよ」

「本気なのにヨ…」


 興奮し始めたので適当にあしらって溶岩の流れていない岩肌を進んだ

 この岩肌も相当熱いけど、ルカナさんはスイスイ歩いてる

 逆にハクラちゃんは少し歩いては止まり、休憩してから進んでた

 

 それから一時間ほど歩いたかな?

 上り坂に差し掛かったところで溶岩から何かが飛び出した

 体が燃え盛っている二メートルくらいの大きさの猿型魔物


「ルカナさん、この魔物は?」

「わからないネ。ここ、別世界の魔物多いヨ」


 燃え盛る猿ってことで燃え猿。安直かな?

 まぁいっか

 燃え猿はこちらを睨みつけていきなり襲い掛かって来た

 かすっただけでも火傷しそうな攻撃

 体中が燃えてるから氷魔法とかに弱いかも

 ってことで氷魔法を撃ってみた


「アイスニードル!」


 氷の棘が燃え猿に迫った瞬間空中で解けて消えた

 一番弱い魔法だったから届かなかったみたいだ


「なら、アイスバレッド!」


 今度はカッチカチに凍った氷の塊を打ち出す魔法

 いくつもの弾は途中で蒸発しちゃったものもあるけど当たったものもあった

 でも小さくなってるから威力がない

 しかも当たった瞬間溶けてるし


「アイシクルメテオ!」


 今度は巨大な氷の塊を召喚して落とす魔法

 広範囲だから燃え猿全体に当たる

 その氷塊を燃え猿たちは拳で砕いてしまった


「うわぁ御強い…」

「精霊様危ないネ!」


 攻撃している僕に腹を立てたのか、一斉にこっちに向かってきた

 それをルカナさんが如意棒を伸ばして止めてくれる


「アチチチ、少し熱いけどなんとかだいじょぶヨ。姫は下がててネ」

「すいません、お役に立てなくて」


 ここではハクラちゃんは力をうまくコントロールできないみたいで、動きもかなり悪い

 ハクラちゃんには下がってもらって二人で守ることにした

 まるで姫を守る騎士みたいだ。いや、ハクラちゃんは和風の姫だから武士かな?


「気力の極み、黄雷孔雀!」


 孔雀の羽のように扇形に広がった雷が燃え猿に襲い掛かる

 奴らはそれを素手で受けると力任せに拳でルカナさんを殴りつけた


「アチャチャ~、耐性なかったら燃えてたネ」

「耐性というかそれもうほとんど無効化してるよね?」

「私生まれつき雷と炎の力持てたヨ。攻撃は雷の方が得意だけど、耐性は炎の方が高いネ」


 だからあの高温の炎でも耐えれるのか

 まぁ炎が効かなきゃこの猿の攻撃は普通のパンチと変わらないみたい

 格闘の達人であるルカナさんには効かないね


「よし、ルカナさん下がって!」

「はいネ!」

「精霊魔法、ホワイティルナ!」


 周囲一帯を凍らせるハクラちゃんの神力と似た魔法

 ハクラちゃんには劣るけど十分に強力だ

 この魔法のおかげでハクラちゃんも動けるようになって、僕と協力して氷の力を打った


「神力、白獅子!」

「精霊魔法、アイセラリヴァーナ!」


 ハクラちゃんの力で動き出した氷の獅子に僕の力を合わせると、大きな氷獅子が出来上がった

 それは縦横無尽にこの場を駆け回って、その大きな口で燃え猿を噛み砕いて行く

 噛み砕かれた燃え猿は一瞬で凍り付いて砕かれた

 あっという間に燃え猿を倒しきって無事この場を切り抜けて坂道を登れるようになった


「ハァハァ、少し力を使いすぎたみたいです。足手まといになるようなら置いて行ってください」

「そんなことしないよ。いいからゆっくり休みながら行こう」

「姫は私がおんぶするネ」


 フラフラになったハクラちゃんをルカナさんが背負った


「大丈夫ですか? 私今精霊様の魔法で周囲が寒いですけど」

「だいじょぶヨ! 姫のお尻触れてむしろ熱いくらいヨ!」


 うわ、本当に高揚して顔が赤くなってる

 まぁでも今は彼女に感謝しないとね

 ハクラちゃんもお尻を撫でられてるもののフラフラだから気づいてないみたいだし

 いや気づいてないからいいってわけじゃないけど…

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