3 鬼人族の国10
水着は宿に売ってあった
僕は薄い空色ワンピース型で、スカートのように隠せるのでいい感じだ
ビキニやスク水みたいなのもあったけど恥ずかしいしね
それに、全体的に小柄なのでこれがベストマッチだと思う
テュネは青いパレオ、大きな胸を強調しているかのような白い水着を胸に着用し、下に白いビキニと清楚な青いな布を巻いている
エンシュは真っ赤でダイナミックなマイクロビキニ、非常に男性受けしそうな胸に引き締まったくびれが良く協調されている
フーレンは花柄のタンキニ(タンクトップビキニ)という上下一体型で、フーレンの控えめな体系によく合っている
アスラムは黒のクロスホルダービキニで、落ち着いたアスラムにぴったりだ
四人ともよく似合ってる
それこそビーチの注目の的だった
テュネやエンシュは速攻でナンパされている
僕のところにも小学生くらいの男の子たちが集まって来た
彼らは僕の周りについて歩くだけで積極性は見せなかったけど、見られてるだけでも恥ずかしかった
でも、海を満喫するために我慢我慢
しっかりと準備運動をしようと五人で手足を伸ばしたりひねったりしているんだけど、あまりにも見られるのでフーレンとテュネが風と水のカーテンを作り出して周りから見えないようにしてくれた
ちなみにエンシュやアスラムだけでも壁のようなものはできるんだけど、エンシュは炎で危険、アスラムは土壁を出すと邪魔になるという理由で却下した
準備運動も終えていざ海水浴!
ゆっくりと足を水に浸けていく
少し冷たいけれど、気温の暑さに火照った体を覚ますのにもってこいだ
バシャバシャと入ってみんなで水をかけあう
そんな姿も見られていたけど、さすがに遊び始めたので見ていた人たちも自分たちの遊びに戻って行った
まぁそれでも何人かちらちらこっちを見てたけどね
そんな風に楽しい時間を過ごしていると、近くで悲鳴が上がった
急いで駆け付けると、女性がイカのような触手に襲われている
絡め捕られた彼女はヌラヌラと怪しく光る触手によって持ち上げられていた
すぐに助け出そうと魔法の準備をしていると、誰かがその触手に斬りかかった
一瞬で触手は切り裂かれ、落ちてくる女性をキャッチしたのはかなりのイケメン
「大丈夫?」
女性に声をかけるとすぐさま剣を構えなおす
触手を斬られた為その本体が姿を現した
イカだ。 巨大なイカがイケメンを睨みつけている
「クラーケンか、こんな浅瀬に来るとは珍しいな」
イケメンは大して驚く様子もなくクラーケンに対峙する
クラーケンは巨大な触腕を振り上げてイケメンに振り下ろした
「遅い!」
余裕でかわし、もう一方の触腕を切り落とした
僕たちは先ほどイケメンに助け出された女性の治療を開始する
どうやら吸盤に付いた歯に肌を傷つけられたようで、血がにじんでいる
クラーケンの方はイケメンに任せておけばいいだろう
触腕を二本ともキリ落とされて怒り狂ったクラーケンは残った足で海を叩きながらイケメンに襲い掛かる
しかしそれらすべてを優雅にかわし、イケメンの剣技が炸裂した
「一閃炎翔!」
あまりにも早い斬撃により摩擦で剣が燃え上がる
クラーケンは斬撃を受け倒れるが、それにより海水で傷口の炎が消えた
すぐさま立ち上がるが、そこに追撃が流れるように撃ち込まれた
「流れ白波!」
流線形を描くようにクラーケンの体をすり抜けていく剣
決着はついた
真っ二つになったクラーケンはそのまま海辺の宿や料理店の人々によって解体されて食料となる予定だ
戦いが終わってようやく気付いたんだけど、イケメンは女性だった
スレンダーな体系に控えめすぎる胸だけどしっかり女性、かっこいい女性だった
彼女はなぜか鎧を着ている
「大丈夫かい? 美しいお嬢さん」
彼女はそんなきざなセリフを襲われていた女性に投げかける
「は、はい、大丈夫です! ありがとうございました!」
目をハートにしてお礼を言っている
「君たちもありがとう。 治療してくれた上に周りの人達を避難させてくれてたんだね。」
「いえ、冒険者ですから当然のことをしたまでです。 それにしてもすごかったですね」
「なに、日ごろの鍛錬が役に立ってよかったよ」
彼女はこの浜辺で鍛錬してたそうだ
水の抵抗でいかに動けるかという鍛錬らしい
言われてみれば彼女は水に脚が浸かっていたにもかかわらず普通に動けていた
確かに鍛錬のたまものなのだろう
彼女の名前はラキア、騎士職を極めんとする聖騎士だという
冒険者としてはそこそこ名をはせているらしい
それにしても彼女の話し方はまるできざな男みたいだけど、彼女がやると嫌味っぽくなくてむしろ心地いいのはなぜだろう
話を聞いて行くうちに、彼女は女性として女性が好きなんだとわかった
実は僕らのこともずっと見ていたそうだ
まぁ、いやらしい目ではなくお近づきになりたい的な目だったみたいで安心した
彼女とすっかり仲良くなった後また鍛錬に戻って行った
今度はフシニ山の方へ行くんだとか
何度も山を上り下りして足腰を鍛えると言っていた
また会う約束をして別れ、僕らは再び遊びに戻った
ちなみにクラーケンの死体は僕らが魔法で浜の邪魔にならないところによけておいた
すでに解体が始まっている
その日一日海でしっかり楽しむことができた
海水浴って素晴らしい!
あ、ちなみにフクちゃんは宿のビーストテイマーたちが魔物を預けているとこに預けてるよ
リゾートのように至れり尽くせりだからテイムされた魔物も動物も非常にゆったりくつろげてるらしい
イカ焼き食べたい




