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3 鬼人族の国8

 朝起きて、寝ぼけ眼で顔を洗うとすでに起きていた四大精霊がおはようございますと声をかけた

 僕も返事を返して朝食を待った

 しばらくすると朝食が運ばれてくる

 おにぎりに味噌汁、自家製の漬物に梅干し、焼き魚

 焼き魚は骨が丁寧に取られているらしく、非常に食べやすかった

 

 食事を食べ終えてからいよいよメーンの観光名所に行くことにした

 城がメーンだと思ったけど、そこよりもすごい場所があるらしい

 それは鬼神殿と呼ばれる鬼人族たちの祖となる鬼神が祀られている神殿だ

 遥かな昔の神話の時代に、神々はそれぞれをかたどった種族を作り出したらしい

 それがそれぞれの種族を祀っている祖神殿と呼ばれる神殿

 当然この前に行った獣人の国や人間の国にもあるらしいんだけど、あの二つの国は広すぎてそこまで行くのに時間がかかりすぎるためスルーしていた

 でも鬼ヶ島は島だけあってそこまで時間はかからない

 ただ、首都からは離れているため徒歩だと半日はかかるという

 まぁ、のんびり行こう

 時間はそれこそ永遠ともいえるくらいあるんだから


 道中で雨が降り出したので、道に生えていた大きな葉っぱを傘代わりにそのまま道を進んだ

 雨は霧雨で、しとしとと降る様子も趣があっていいものだ

 神殿まで行き交う人は多くて、それだけ鬼神を敬っているのがよくわかる


 神殿に着くころには雨も上がり、空には虹がかかっていた

 

 神殿は一見すると簡素で質素、しかしよく見るとところどころに非常に凝った装飾が施されていて、素人の僕でも芸術的だと思えた

 柱には鬼神と思われる人型を模した彫りが入っていて神聖な雰囲気を醸し出している

 神殿の中に入ると大きな鬼神の像が真っ先に目に入った

 見上げるほど大きく、彫りの深い整った顔立ちに、角が凛々しく生えていた

 剣を地面に突き立てて雄大に断つその姿はまるで戦神のようだったけど、表情は穏やかに微笑している


 その像の前でたくさんの鬼人たちが祈りをささげていた

 僕もそれに習って祈ってみる

 なんだか心地よくて自然と目を閉じた

 すると、どこからか声が聞こえてきた

 頭の中で響いてきているようだ


「精霊の王女よ… 聞こえておるか?」


 誰だろう?


「我は鬼人の神、名は、そうだな、クオンとでも呼ぶといい」


「その、クオン様?は僕に何か御用なのでしょうか?」

 

 神様らしいのでどう接していいのか分からなかった


「そうかしこまるな。 我は少し話がしたいと思っただけだ」


 話?

 よくわからないけど意外と気さくそうな神様だ

 声もなんだかダンディで、癒される


「いやなに、精霊の女王は元気でやっているのかと思ってな」


 なんだ、そんなことだったのか

 本当に他愛のない話だったので思わず笑みがこぼれる


「元気ですよ。 母様とはどういった関係なのですか?」


「ふむ、かなり昔の話なのだがな」


 そう言って母さんの過去についていろいろな話をしてくれた 

 それは神話の時代までさかのぼる

 世界がまだ混沌としていて、神々と魔の戦争の時代

 種族の祖神たちは協力して魔と戦っていた

 その中には当然クオン様もいたんだけど、クオン様と母さん、それともう一人の神妖精の祖である神の三柱で組んでいたらしい

 驚いたことに、母さんはもともと精霊族の祖神だった

 しかし、魔との戦争で神々を守るために力を使い果たしたため神としての力を失った 

 そのため母さんは不老不死の身のまま精霊族の祖、精霊女王となった


 衝撃的だった

 でも、母さんの過去を知れたのは嬉しかった

 多分クオン様も気になっていたんだと思う

 神様が顕現するにはどこかに社や神社、神殿といった場所を作る必要があるうえに、神様はそこから動くことができない

 だから戦争以来ずっとあえていなかったんだそうだ

 クオン様は僕や四大精霊が話す母さんの話を嬉しそうに聞いていた

 ちなみに頭の中にて5人と1柱で円卓状に話し合っているイメージ


 相当長いこと話していたけど、目を開けたときは1分も経っていなかった

 

「ありがとう、有益な話が聞けた。 他の神々にもいい土産ができた」


 クオン様は天界へ帰っていったようだ

 僕たちも神様と話せてよかったし、母さんの過去も知れてうれしかった


フランクな神様

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