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9桃源郷11

 巨大な金ぴかのゴーレムが腕を振り上げてこちらに拳を振り下ろしてくる

 それも連続で、まるで蚊やハエをつぶすかのようにめちゃくちゃにだ


「精霊様、ここは私が!」

「だ、大丈夫?」

「はい! 仙術極! 破壊王の拳!」


 とんでもないほどの仙力を拳に込めたマコさんは、その勢いのまま思いっきりゴーレムの頭を殴った


「あぐぅ!」


 なんてこった

 ゴーレムの方は砕けるどころか傷一つないのに、マコさんの拳が砕けて指がぐにゃぐにゃになっていた


「いっ、く、こ、ぶしが…」

「診せて!」

「申し訳ありません精霊様」

「謝らなくていいから…。ああ思いっきり骨が砕けてる。治すからじっとしてて」


 砕けた拳を魔法で完全に治すと、ゆっくり迫ってくるゴーレムに再び向き直った


「よし、今度は僕がいってみるよ」

「気を付けてくださいね精霊様」

「よーし、合成魔法、メテオインパクト!」


 火と土の強力な魔法を合成した隕石の塊を撃ちこむ魔法

 これならゴーレムを倒せないまでもダメージを与えれるかも

 大きな鐘が鳴るかのような轟音が響いた後大爆発を起こす隕石。もうもうと上がる土煙と爆煙で周囲が見えなくなった

 倒した?

 そう思ったけど煙の中から少しだけ胸の部分が凹んだゴーレムが飛び出した


「げっ! ほとんど効いてない!」

「まさか、精霊様の魔法でも通じていないなんて」

「予想外だよ。 これでも自信ある魔法だったんだけどなぁ」


 そう、二属性もの合成ともなると僕の世界で言うところのAランク相当なら倒せるレベル

 それが傷が少しついた程度ってことはおそらく、このゴーレムがSランクから厄災級であることは間違いない

 神話級なら傷はつかないはずだからそこまでの脅威はないかな

 でもそれならマコさんの拳が砕けたのも合点がいく


「じゃぁちょっと危険だけど、奥の手、かな」

「奥の手ですか?」

「うん、危ないからマコさんは下がってて」


 この奥の手は周囲に被害が及ぶどころか僕まで危険になりかねないとっておき

 でもそのくらいやらないと多分このゴーレムは倒せないと思うんだ

 また腕を振り上げてゆっくり迫るゴーレムの前へ一歩踏み出した


「三属性合成魔法、トリニティオーバードライブ!」


 これは普段四大精霊が三人掛かりで扱う魔法

 以前見せてもらったけど、地形が変わるほどの大規模な魔法だった

 それを一人で操るとなると強靭な精神力と複雑な魔力コントロールが必要になるため、僕は日々練習を重ねてきたんだ

 始めは暴発したりしてアスラムやエンシュが助けてくれてたけど、だんだんと、すこーしずつ制御できるようにはなって来た

 それでもまだまだまだだけどね

 でも今はなんだかできる気がした


「いっけぇえええ!」


 炎、激流、紫電が合わさって水素爆発を起こす

 要するに電気分解された水が水素になって、それが炎で大爆発を起こすって寸法だね

 これがまた本当に制御が難しくって、下手したら国が一つなくなるレベル

 でも今は極力量を抑えたから、周囲30メートルほどが吹き飛ぶ程度で済んだ


「な、何て規模の魔法使ってるのよ!」

「ご、ごめんなさーい!」


 ニャニャベルさんが怒ってるのでここは素直に謝ったけど、この魔法のおかげで無事?ゴーレムはバラバラに砕け散った


「はいはいもういいわよ合格で。まったく、あんた常識って知ってる?」

「はい、すいません」

「まぁいいもの見せてもらったし、行きなさい。この先はもっと危険で厄介だから気を付けて進むのよ」

「はい! ありがとうございます!」


 ニャニャベルさんに激励をもらいながら次の階層への階段をゆっくりと降りていった


 九階層

 今度は木々が生い茂る森林だった

 ふぅ、もう少しで半分なんだけど、結構疲れたよ

 で、その九階層ではちょうちょが飛び回り、小鳥がさえずる何とものどかな光景が広がってるんだよね

 大きな木は樹齢百年は行きそう

 そうか、屋久島の屋久杉に似てるんだこの木

 僕らみたいな精霊はこういった自然豊かな場所だとすごく調子が良かったりする

 逆に自然破壊が進んでいたり環境が汚染されているような場所だと力が安定しなくなる

 ここは精霊にとってすごく住みやすい場所になってるね


「いい気持ですね。何というのでしょうか、空気が濃い感じです」

「うんうん、体がすごーーく軽いよ」


 しばらく進んでみると何やら人の話し声のような物音が聞こえてきた

 いや、物音じゃなくて本当に人の声だね

 その声のする場所に行ってみるとローブを目深にかぶった人々が一人の女の子に涙ながらに話しかけているところだった


「すまぬキヌ、お前に贄になってもらうほかないんじゃ。すまぬ、すまぬ」

「いいんですお父様、それで村が救われるなら、この命惜しくはありません」


 女の子の歳のころは15歳くらいかな? でも口調からもう少し大人びて見える

 その子はどうやら何かの生贄にされるみたいで、それが村を救うことに繋がるみたいだ

 慌てて僕らは彼らの前に飛び出した


「ひっ、こ、このようなところに人が!? あ、あなた方は何者ですかな?」

「ご、ごめんなさい驚かせて。でもなんだか穏やかじゃない話が聞こえてきたので…。あ、僕はリディエラ、で、こっちが」

「マコです。生贄ですか? 何にその子をささげると言うのでしょう?」

「そ、それはよそ者に教えるわけにはいきませぬ。早々にここを立ち去り下され」

「そうはいかない、かな? 僕らだって黙ってその子が犠牲になるのは見ていられないし」


 僕はそういうとスーッと浮いてその女の子の前に来た


「何と! 人が浮いた? 妖術師か!?」

「待て待て、この方からは精霊様の気配がしなさる。もしやあなたは?」

「精霊だよ。この世界の精霊じゃないけどね」


 そう、ここは僕の世界と違う力の流れを感じる異世界だ。さっきの砂漠と同じように異世界に繋がってるんだと思う

 この場所に繋がったってことはこの問題を解決しろっていうニャコ様からのメッセージなんだと思うんだ

 それよりなにより、人の犠牲の上で成り立つ平和なんて僕は認めない

 で、村長さんに話を聞くところによると、この村はずっと平和が続いていたんだけど、ある時から地震が頻繁に起こるようにって、その被害が甚大じゃなくなったそうだ

 そのことを問題視した村の人たちは、自分たちの祀っている神様にどうすればいいかを乞うたそうだ

 するとその祭壇から声がして、この村で一番美しい娘を差し出せばこの地震は収まると言ったらしい

 よく昔話で聞く話だね

 その美しい娘というのが村長の娘さんであるキヌさんだ

 キヌさんは玉のように白くて美しい肌をしていて、ちょっとおっとりとした顔の優しそうな美人さん

 彼女は村のためにとその命を投げ出そうとしていた


「そっか、そういうことなら、ちょっと僕らに任せてもらえませんか?」

「そうです! 精霊様に任せておけば万事解決いたしますよ! それにほら、神は美しい娘をご消耗なのでしょう? 精霊様なら十分に条件を満たしているかと」

「でも胸が…」

「何か言った?」


 誰かがボソっと胸のことを言ったので睨んでおいたけど、まぁとにかくその神様とやらに会ってみようと思う

 こういった話、十中八九その神様が偽物って話になるんだよね

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