三獣鬼と三妖鬼10
蟠桃園を駆け回ること数日、かなり七仙女さんたちの速さにも慣れてきましたわ
これもわたくしたちの修行のためらしいので、ついていけていることが素直に嬉しいんですの
そんなある日、わたくしたちが相も変わらず桃を落とす七仙女さんたちを追いかけていると、とんでもない方たちがここを訪れまして、わたくしもかなり驚きましたわ
なんと精霊様、それも四大精霊様と王女様が来られましたの
アカネから話は聞いていましたが、これほどまでに美しい方々ですのね。思わず見とれてしまいましたわ
それにわたくしのような者にまで興味を持っていただいて、感無量です
王女様はわたくしたちのことを気にかけて下さり、回復魔法をかけてくださいました
優しく温かい、まさに癒しの力でしたわ。
「まぁ無理しないようにね。体を壊しちゃったら元も子もないし」
「はいですの!」
「うん、でも君たちなら必ず童子に成れるよ。僕が保証する」
「もったいないお言葉でございますわ!」
王女様の保証までいただけるなんて、幸せです。きっと王女様の期待に応えてみせますの
精霊様と楽しいティータイムを過ごし、あっという間に時間が過ぎてしまいましたわ
今日の修行はここまでみたいですの。暗くなると桃が見えなくて落としてしまうからなのですわ
この日も疲れ果ててわたくしは眠りにつきました。その眠りの中、不思議な夢を見ましたの
黄金の羊がわたくしの目の前に立ち、それが頭を垂れてわたくしに跪き、また頭をあげるとわたくしの中に入ってきましたの
目を覚ますとすがすがしい朝。不思議とわたくしの体には力がみなぎり、うっすらと光っているような気がしますの
そのままモモネさんやミドリコと合流したのですけど、二人ともわたくしを見て驚いていますのよね
一体どうしたのでしょうか?
「シエノ、角、角変」
「え?」
わたくしは慌てて手鏡で自分の角を見てみましたの。するとわたくしの羊角が黄金に輝いていて、それがうっすらとわたくしの体が輝いていた原因みたいですの
「これは、一体…」
「んにゃ、シエノ、ちょっとこっち来てみ」
緑衣さんがわたくしを見て驚くこともなくそばに来るよう言いましたの
緑衣さんならこの原因が分かるのでしょうか?
「ふーむ、ふむ、ほほほぉ…。シエノ、お前何か変わったことが無かったか? つい最近で。思い出すに」
「えっと、そうですわね…。あ! 夢を、見ましたの」
「夢? どんな夢だに?」
「はい、わたくしの前に黄金の羊が頭を垂れて、わたくしの中に入り込んだんですの。ただの夢ですので関係あるとは思えないのですが」
「いや、それに間違いないに。それは力の覚醒の時に見る夢、覚醒夢だに。覚醒夢は大きな力を覚醒したときにごくまれに見る者がいるらしいんだに」
「らしい、ですか?」
「うむ、わちしも聞いた話だけだから詳しくは分からないんだけど、かつてその夢を見た者は世界の危機を救ったとされているに。まあ数千年前のことだからほんとかどうかわ分からんに」
「そ、そんな伝説が…。わたくしも、強くなれるのでしょうか? ハクラちゃんやクロハ様のように」
「それは精霊様もおっしゃってたろ。お前たちは童子に成れるし、強くもなれるに。いや、わちしたち仙人がお前たちを強くしてやるに」
「はい!」
そしてこの日もわたくしたちは桃を収穫し、桃を食べて仙力を充実させていきましたの
驚いたのが、この体に成ってからあまり疲れず、むしろ七仙女さんたちを疲れさせるほどにパワフルになっていたことかしら
モモネさんとミドリコには悪いことをしましたわね
わたくしのペースに合わせるとどうしても二人が遅れがちになり、体力的にも厳しそうでしたから、明日からはわたくしと二人は別メニューが課せられることになりましたわ
「よし、今日はここまで。三人供よく頑張ってるね。仙力もかなり充実してきたし、明日からはそれを扱うための訓練を始めよう。ただ、僕たちは今日までだから、明日からはタイコウボウさんの所へ戻ってもらうけどね。厳しいから覚悟しておくんだよ?」
紅衣さんが激励してくれましたわ
タイコウボウ様の元で修業できるのですもの、どんなに厳しくても頑張れそうな気がしますわ




