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3 鬼人族の国6

 引きつった顔の受付のお姉さんを見ながら三獣の塔を後にした

 僕の絵がお姉さんにトラウマを植え付けたみたいだけど今の僕は少女なんだからうまい絵なんて期待しないでほしい

 いや、まぁ、あの絵はちょっと自分で見てもヤバかったと思うけど…


 気を取り直して次だ次

 次に向かうは神々の社と呼ばれるたくさんの社がある場所だ

 この世界にはたくさんの神がいるらしいんだけど、その全てを祀った神社があるらしい

 社が連なるその場所の景色は圧巻らしい


 場所は街の外、フシニ山という常に雪が積もっている山の頂上にあるらしい

 標高が高いのかと思いきや、それほどでもないらしい

 にもかかわらず雪が解けることがないのはハクラ姫が助けた雪の女神の力なんだそうだ

 ハクラ姫は雪が好きで、年中見ていたいとかで神々が降臨できる山に降らせてもらっているそうだ

 さらにこの雪にはハクラ姫を強化する効果もあり、山に降り続けている限り姫を強化し続けるらしい

 ちなみにクロハ姫は夜を司る女神を助けたらしく、夜の間彼女はほぼ無敵となる

 

 そうこう言っているうちに山のふもとについた

 ここにも鳥居がある

 最初に見た海にある鳥居ほどじゃないけどここもかなり大きい

 早速登山することにする

 登山と言っても道は整備されているのでそんなに苦労はしないと思うけど、ここのところ道中で魔物に襲われる事案が相次いでいるらしいので注意は必要だろう

 

「素晴らしいほどの神力が溢れています。 神様がこの土地を愛しているのが伝わります」


「なんて心地がいいんでしょう。 私たちも力が増しているようです」


 テュネとアスラムが嬉しそうに伸びをしている

 精霊たちにとって神様とは絶対的な存在で、神々によって作られた僕らのご先祖様はいわば神様のこどもなのだ

 エンシュとフーレンも気持ちよさそうだ

 よくよく見ると、辺りには精霊たちがたくさん来ていた

 どうやら精霊の国と同じくらい神力に満ちているらしいここは精霊たちのいい癒しスポットになっているようだ

 僕も羽を伸ばすとしよう

 ゆるゆると山を登って二時間少しで頂上にたどり着いた

 道中確かに魔物は出たけど僕らにとっては取るに足らない相手だった

 冒険者なら大半が簡単に倒せるだろうね

 神力が強いこの土地には普通魔物すら寄り付かないはずなんだけどなぁ

 あ、ちなみに冒険者じゃない観光客にはちゃんと鬼人の護衛がつくらしいから安心だね


 ついたころには辺りはすっかり暗くなっている

 頂上に宿があったのでそこに泊った

 なぜ夜にこの場所につくようにしたのかと言うと、もちろん日の出を拝むためなのだ!

 ここで見る日の出は神聖で、日の出のうちに社に向かって手を合わせてお祈りをすると願いが成就すると言われている

 やってみるしかないじゃないか!


 宿で簡単な食事 (どうやらカレーのようだ)をとって就寝する

 カレーの美味しさは昇ったという達成感の相乗効果で体にしみわたり、満足の内に眠りにつけた

 簡単な寝袋で雑魚寝だったけど十分な睡眠をとれたと思う

 

 翌朝、まだ暗いうちに宿の人が起こしてくれた

 いよいよ日の出だ。 僕は日の出なんて前世でも見たことがないので楽しみだ


 朝食に焼けたトースト、コーヒーをもらって食べた

 僕はなぜかカフェオレだったけどね、多分子供だからだろう

 周りはサクサク、中はフワフワのトーストはカフェオレによく合っていた


 お腹を満たし、皆で社の場所まで来た

 薄暗いながらも社がうっすらと光っているので周りは見えた

 そのまま社の方を見て待っていると、やがて山向こうから光が漏れ始めた

 段々と、ゆっくりと日が昇り始めると、それに応じるかのように社が神々しく輝き始めた

 それがちらちらと降る雪によって光を乱反射させ、幻想的な世界を作り上げた

 あまりの美しさに言葉を失う人々

 もはや感想なんていらない

 周囲を覆いつくす沈黙がそれを語っていた


 そして、太陽は昇った

 社には神々の力がやどり、祝福を周囲に蒔く

 精霊たちも妖精たちも、人間も亜人も、全てがこの光と祝福に包まれた

 

 社に向かってお祈りを済ませる

 中には涙を流している人もいた

 

 僕らは神様を感じながら社を後にした

 見えなくても確かに神様は存在している

 そして、僕たちを見守ってくれているんだ


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