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三獣鬼と三妖鬼8

 凶悪な魔物を倒せたことで増々わたくしも自信をつけることができましたわ

 それにしてもこの魔物、いえ魔獣かしら?

 こんなのがここにいるのはおかしいですわね

 この訓練を終えたらタイコウボウ様にご報告をしなくてはいけませんわ


「あと少しですわ。ミドリコ、モモネさん、頑張りますわよ!」


 山を駆けあがって頂上に着くとすぐにまた下って元いた広場へ。そしてすぐにまた山頂へ走っていきますの

 体力づくりのための運動ですけど、このくらいならわたくしたちでもこなせるので何とでもなりますわね

 ただ魔物がかなり出てきますのでそれで少し体力が削られますわ

 まあ先ほどのような強靭な魔物はもう出てこないようですのでそれは助かりましたわ

 あんなのに何度も出くわしていては身が持ちませんもの

 この運動を五往復すればひとまずは今日の訓練は終わりらしいですわ


「む、シエノ、山頂誰かいる」


 ちょうど五往復目の山頂へ差し掛かった時のこと、山頂の広場で人影が見えましたの

 近づくとあちらもこっちに気づいて近づいてきましたわ。誰なのでしょうか?


「にゅお、ちみたちは修行してるのかに?」

「おお、若いねぇ良いねぇ、お姉さんたちといいことしないかい?」

「ダメだよ紅衣、タイコウボウさんの臭いがする。この子たちタイコウボウさんの弟子だよ」

「んひゃひゃひゃ、それは怖い怖い。手を出した怒られるね」

「ねね、あんたらあたしたちの手伝い、ちょっとしてくれない?お礼にいいモノあげるからさ」


 一人だと思っていましたけど、空からさらに何人かが降りてきて合計七人がわたくしたちの前に立ちました

 それぞれが色のある服を纏っていて、その色の名前を持っているようですわ

 この方たちも恐らく仙女なのでしょう。仙力を感じますの

 それにしても一人がボケると総突っ込みが始まったり、それに乗ってまたボケたりと、いつか鬼ヶ島に来た芸人のようですわ

 思わず笑っていると七仙女は満足したように私達を見て微笑んで見ていますわ


「でだ、どうかの? 手伝ってくれるかの?」

「実はあたしら七仙女は仙桃を取る仕事をしているんだ。ただ今日の収穫は一番広い蟠桃園(ばんとうえん)でね、ちょっとあたしらでも時間かかりそうなんだよ。あんたらが手伝ってくれたらはかどりそうだ」


 まあ! 桃の収穫ですの!? 果物狩りみたいなものですわよね? 一度やってみたいと思っていましたの

 わたくしたちの生まれ育った鬼ヶ島も果物は育てていますが、鬼人たちが収穫している上に果物狩りなどもないのでいつも面白そうだと思っていましたの


「是非とも手伝わせてくださいまし!」


 修行そっちのけで思わずそう答えてしまいましたわ

 ああタイコウボウ様、誘惑に負けてしまう愚かなわたくしを許してくださいまし

 そうは思いながらもわたくしは桃狩りという甘い甘い誘惑を受け入れて、七仙女の後をついてその蟠桃園へ向かいました

 蟠桃園に着きその光景を見て驚きましたわ

 なんという広さなのでしょうか? ここまで広すぎる場所で今までよくたった七人だけで収穫してましたわね


「簡単だに。チョチョイっと走れば気づいたら終わってるに」

「そうそう、でも緑衣は小さいからあんま役に立ってないよね」

「にゃにおぅ!そう言う黄衣だってあちきとそんな変わんないに!」

「ふふ、おいは好きでこの姿でいるんだから別にいいんだよ。いつでもおっきくなれるしね。見てて」


 黄衣さんが私達にウインクしてなにやら仙力を練り始めましたの

 その直後に黄衣さんの足元から煙が立ち上って姿を隠し、その煙が晴れるとそこからなんとも艶美な魅力の女性が出てきましたの

 黄色い服を纏っているということは、この人は黄衣さんののでしょう。子供のようでしたのに、すっかり大人な魅力的な女性に早変わり。モモネさんといい勝負ですわね


「ほらほら緑衣、おいの悩殺ぼでえだよ」

「この! いちいち癇に障るやつだに! バカバカバカ!」


 子供ですわね。この緑衣さんという方は子供の魅力がありますの。とっても可愛らしい女性ですわ


「ほらほら遊んでないで収穫を始めるよ。で、そこの鬼っ子ちゃんたちはあたしらの後について来てくれればいいから。で、実を落とすから下でこの籠をもってキャッチしてね」


 籠は大きく、背負ってみましたけど驚くほど軽いのですね

 飛び回る七仙女たちの後を追って行きましたけど、これはかなりの重労働ですわね

 七仙女は空を飛んでますからいいですけど、わたくしたちは空を飛べませんの。走って追いかけるしかないですわ

 しばらく追いかけっこのようにして桃の収穫を手伝っていましたけど、もう、限界、ですわ

 足が棒のようになって動かないんですの


「ありゃりゃ、三鬼ともたおれちゃったね」

「紅衣が無理させるからー」

「な! 僕のせいだっていうのかい!?」


 紅衣さんはむしろわたくしたちを気遣ってくれていましたけど…

 あ、これはお笑いと言うやつですわ

 この方たちは人を笑わせることが好きなんですわね


「まぁ少し休もうか。君たちもなかなかやるね。おかげで予定より早く収穫が終わりそうだ。それに、タイコウボウさんに言われた修行もちゃんとできてるしね」


「へ、それはどういうことですの?」


「ん、えとね。ちみらの修行をうちらも頼まれていたんだに。この桃狩りの走り込みは限界を超えることのできる鍛え方なんだに。ほら、ちみらもこの蟠桃園の空気を吸っていい感じに仙力を体に取り込み始めているはずに。この修行を数日続ければ仙力をうまく扱えるようになるはずに」


 これも、修行の一環でしたのね。さすがタイコウボウ様、わたくしたちが楽しんで修行できるよう手を回していてくれたんですわ


「ま、辛いのはこれからだから今のうちに楽しんでおけってことだの」


 皁衣(黒い衣服)さんがボソッと何か言っていましたけど、よく聞き取れませんでしたわね

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