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8 竜人族の国20

 岩盤に横たわるとじんわり温かい湯が岩からしみだしてきて体を覆った

 とたんに眠気が襲い掛かってきて、僕らはゆっくりと安らかな眠りへ落ちて行った


 気が付くと一面の花畑で、香りまでもが周囲を満たしている

 鳥たちがさえずりたくさんの動物が僕の周りに集まって来た

 これはまさしくモフモフ天国ではないか!

 思う存分モフモフを楽しむとしよう

 猫、犬はもちろんのこと、虎やライオンやら狼に見たことのない動物がたくさん

 なんて幸せで楽しい夢なんだろうか

 すごいのが夢だとはっきりわかるうえにリアルな匂いや触り心地が分かることと、自分で見たことのない動物がいることだ

 確か夢というの自分の記憶から作られるはず

 それにも関わらす全く見たことのない動物がいるということは、この夢が魔法の夢だという証拠だね

 たっぷりしっかり、夢の中の時間にして一週間は動物たちのモフモフを楽しんだ

 一生分は楽しんだかもしれない

 まあ精霊だから寿命が無いんだけども

 それでもしばらく動物を触らなくてもいいくらいには楽しめたね

 満足満足

 で、満足するとそこで目が覚めた

 一週間楽しんだのにもかかわらず、僕が眠りについてからまだ30分ほどしか経っていなかった

 テュネたちの方を見るとエンシュ、ラキアさん以外は目覚めていた

 テュネとアスラムに夢の内容を聞いてみると、二人とも同じ夢の中に入っていたみたいで、その夢の内容が僕がかなり恥ずかしい内容となっていた

 なんでもいろんな女の子らしい服を着た僕が二人の目の前で一生懸命にファッションショーをしていたらしい

 それを聞いた時あまりにも恥ずかしくて真っ赤になっていたと思う

 血管が無いから赤くはなれないけど気持ち的にね

 それが可愛いの内容だったってことは、二人は僕を普段からどう見ているのかがよく分かるよ

 で、フーレンは恐怖だったんだけど、フーレンはものすごく泣いていた

 あまりにも泣くので落ち着かせるのに苦労したよ

 で、内容を聞いてみると、フーレン以外の四大精霊含め僕がフーレンの目の前でいたぶられて殺される内容だったみたい

 ずいぶんと過激な内容だったからそれはショックだったろうね

 フーレンを慰めるように抱きしめるとようやく泣き止んでくれた


「ううう、リディエラ様を失いたくないです」


 僕もそう簡単に死にたくはないな

 それに仲間が死ぬのだって見たくない

 

「あれ? エンシュもラキアさんもまだ起きてこないね」


「一時間くらい眠る者もいるそうですのでもう少しかかるかもしれませんね」


 確かに看板に30分から1時間って書いてあるね

 もうちょっと待ってれば起きて来るか

 で、しばらく待ってると二人が楽しそうに起きあがった


「リディエラ様、おはようございます!」


「おはようエンシュ、面白かった?」


「それはもう! 夢とはこのようにリアルなのですね。 それにしても夢の中のリディエラ様はまるで英雄譚の勇者のようで、非常に格好よかったですよ。 特に悪に掴まった私を助け出してくださったあの瞬間は忘れようにも忘れることはないでしょう」


 うん、大体どんな夢を見たのか分かったよ

 エンシュがヒーローなんじゃなくてエンシュは囚われのお姫様的な立ち位置で、それを勇者の僕が助け出すってストーリーかな

 それにしてもエンシュにお姫様願望があったなんて、やっぱりエンシュも女の子なんだね

 僕もいつかそんな風に助け出してもらいたいなぁ

  

 さて、次の温泉に行ってみよっか

 何やらラキアさんが自分の夢の内容を聞いてほしそうにしているけど、あなたそのアダルティックな夢の内容を僕に聞かせるつもりなんですか?

 あ、ダメだ、聞いてないのに一人で語り始めた


「それでですね、私は人間から多種族、大勢の女性に囲まれて生涯愛し合いながら愛し合い続けていたのですよ。 それはそれはもう私の壺をよく心得ていた夢でして、非常に気持ちのいい満足できる夢でしたよ」


 最後の部分だけ聞くと僕と同じ感想なのがやめて欲しいです

 まあラキアさんも満足したみたいだし、それはそれでよかったかな

 それにしても魔力のある温泉というだけでここまでいろんな夢を見れるなんて素晴らしい

 今後もここはひいきにしたいな

 岩盤風呂を出ると小腹がすいてきたので少し近くの喫茶店に行くことにした

 ここには名物の溶岩コーヒーというものがあって、その名を冠するように溶岩のように真っ赤でゴポゴポと泡立ってるらしい

 でも溶岩とは違ってほどよいあったかさなんだとか

 早速その喫茶店、“竜の憩場”に行ってみることにした


「ほほお、雰囲気は申し分ないね。 それに店内からBGMが聞こえてくるけど、もしかしてジャズかな?」


 店内から聞こえるのは小気味いい爽快なジャズの音色

 CDなどが無いはずのこの世界でどうやってこんな音楽を奏でているんだろうと店内を見渡すと、なんのことはない、実際に演奏者がいたのだった

 どうやら異世界人が伝えたジャズがこの世界でも広まっているみたい


「店内の雰囲気も癒しに特化しているようですね。 あの演奏家たちの音楽も耳に心地いい仕様のようです」


 うんうん、テュネよく分かってる

 で、注文はもちろん溶岩コーヒーだ

 頼んでから豆を挽いてドリップしてくれるらしい

 店内をコーヒーの香ばしいいい香りが包み込む

 しばらくしてから真っ赤で泡立ったコーヒーが出て来た

 

「すごい! 本当に真っ赤だよ」


 まずは香りを楽しむと、香ばしいけど爽やかな香り

 最初は砂糖もミルクもいれずにブラック、いや、レッドで飲んでみる

 程よい苦みと酸味、そこから現れるほのかな甘みも相まって非常に美味しい

 焙煎はフルボディらしいんだけど、苦みがあまりないのが特徴なんだね

 それから砂糖を入れてもう一度飲む

 今度はその味に甘みが加わってさらに味を引き締めてくれた

 最後にミルクを入れて飲むと、こんどは滑らかな味わいに

 三通りの楽しみ方ができて非常に美味しゅうございましたよ

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