3 鬼人族の国2
トウゲンまで徒歩で30分ほどだった
見えてきたのは巨大な和風の門で、まるで羅生門のようだ
真っ赤に塗られたその門は開かれていてたくさんの人が行きかっている
やっぱりというか、鬼人たちが多く、一本角の人や二本角の人、中には三本角の人もいた
その容姿は一様に美しく、和装がとてもよく似合っていた
街の様子も昔の日本のようで、低い建物ばかりなんだけど周りの景色とちゃんと調和がとれている
木で出来た建物ばかりで、釘は一本も使われておらず、組み木だけで建てられているらしい
そのあたりも京都にあった建築物と同じみたいである
その中にひときわ大きなまさしく日本の城と言った建物が目に入った
それは白鷺城のように白く、烏城のように黒かった
白い城と黒い城二つが仲良く並んで建っているのだ
なんでも姉姫のクロハ姫が黒い城、妹姫のハクラ姫が白い城にいるそうで二つの城は互いに行き来できるよう繋がっているんだと街の人が教えてくれた
「何と美しい城なのでしょう。 精霊の国にも一つ建てたいところですね。 もちろんリディエラ様のお城をです!」
フーレンがトンチンカンなことを言っているけどとりあえず放っておいて城に行ってみることにした
観光用に内部を見学できるようになっているので早速行ってみることにした
二人の姫もここで会えるらしいんだけど今日は所用でどこかへ行っているらしい
城の中に入ると案内係の鬼人の女性がいろいろと説明をしてくれた
この城や町の建物は遥かな昔に来た異世界人の大工が教えてくれた技術だそうで、さらには腰に下げている武器も別の異世界人からの技術らしい
そう、彼らは刀を下げているのだ
どうやらこの国は日本人が良く流れつくらしい
それもあって鬼人たちは昔の日本のような暮らしをしているんだろうか?
そう思っていたけど、どうやら技術は教えてもらったけど本質はかなり似ていたらしく、その二つの文化がガッチリと組み合わさって今の文化体型になったみたいだ
刀の技術なんて昔はなかったらしいしね
そう、刀!
刀はロマンだよね
僕も一振り欲しいので後で武器屋に行ってみようと思う
刀の話に興味を引かれていると、案内係の女性が二人の姫の刀について教えてくれた
なんでも姫たちの刀は魔王がまだ暴れていた頃に神の眷属を助けたことで普通の刀だったものに神力が加わり伝説級の宝刀になっているそうだ
姉姫クロハの持つ刀は黒刀「クロアゲハ」と言って、斬りつけるごとに段階の上がる幻惑を見せる
一度斬りつければ周囲に黒い蝶が飛んでいる光景を見、二度斬りつければ視界を真っ暗にし、三回斬りつければ幻惑が襲い掛かり死ぬという凶悪そうな能力
妹姫ハクラの持つ刀は白刀「散雪」と言って、どんな形状の武器にでも姿を変え、神の力を一部使うこともできるらしい
どちらもかなり強力な刀なのだが、幹部連中の持っている刀も相当ヤバい代物らしい
幹部はこの城に何人か残っているらしいので後であってみようと思う
その前に腹ごしらえをしよう
この城で出されている料理が食べれる食堂があるのだ!
食堂は二つの城を結ぶ通路のちょうど真ん中にあるらしく、それぞれの城で働く鬼たちの憩いの場になっているのだ
そこは中庭状になっていて、日本庭園そっくりな庭が広がっている
その庭園を眺めながら料理が食べれるのだ
もちろん庭園を散歩することもできる
僕らはさっそく食堂で料理を注文した
あたりにはかなりの数の観光客がいて、それだけの人数がいるにもかかわらずすべての人が悠々入れるほど食堂は広い
料理が運ばれてくるまで四大精霊たちを他愛のない話をしながら待った




