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7 妖怪族の国66

 ウキウキと前を歩くシオリさん

 彼女の足はすらっとしていて綺麗で、ちょっとつついただけでも折れそうなんだけど、これが見た目で判別できないほどの脚力を持っているから驚きだ

 また壁などに垂直に立つこともできるからほとんど忍者みたいだ

 もしかしたらそう言う関係でのいい観光目玉が出来るかもしれない

 例えば彼女たちの糸を使ったバンジージャンプやトランポリンといったアトラクション、もちろん糸精製の体験なんかもいいね

 体験した人はその糸を少し分けてもらえるとかね


「…様? あの、精霊様?」


「ん、ああごめん、ちょっと考え事してたよ」


「ではもう一度説明しますね。 わたくしの里にはこのように糸が張り巡らされておりまして、これが伝達手段や侵入者への罠となっているんです。 例えばこちら、この糸を引っ張ると」


 シオリさんが僕の眼には見えないほどの細い糸を引っ張る

 するとカランカランと音が鳴った


「このように鳴子が鳴って不届き者が侵入したことが伝わるようになっています。 そしてこの鳴子を聞きつけて」


「シオリ様! 今ここで鳴子が…」


「大丈夫よカナエ。 今精霊様に里の防犯の説明をしていたの」


「ああそうでしたか。 それならよかったです」


 侵入者かと慌ててきたカナエさんと言う女性は、この里の警備主任なんだそうだ

 スレンダーで出るところが出てて引っ込むところはちゃんと引っ込んでるモデル体型の美人

 というかこの里の女性はスタイルの良い美人ばかりで、男の人が来れば目を奪われるに違いない


「それからこちらの糸を引きますと」


 今度は鳴子に繋がっていた糸の右隣にある糸を引っ張った

 すると今度はそのさらに横にあった家の扉が開き、着替え中だと思われる男性妖蜘蛛さんの姿があらわになった

 かっこいい人だけど、シオリさんや僕らに裸を見られ、涙目で慌てて横にあったふとんで体を隠していた


「し、シオリ様! こういうことするなら事前に言っといてくださいよ!」


「あ、ごめんねクニシゲ君。 ちょっと精霊様に色々説明してたの」


「いいから早く閉めてください!」


「アハハ、ごめんねほんとに」


「笑い事じゃないですよ! 精霊様になんてもの見せるんですか!」


 顔を真っ赤にして起こるクニシゲさんという男性。 眼福がんぷ…。 あいや何でもないです


「とまぁこのようにですね。 里のいたるところの糸に細工がしてありまして、これが緊急時の避難に役だったり、魔物や不届き者の抑制になったり、得物を捉えたりと非常に役立っているのですよ」


 なるほど、普通の蜘蛛も糸を使って捉えたりするけど、妖蜘蛛族もその点は同じなのね


「ところで、僕らには糸が見えないんだけど、その、触れたりしてないの?」


「はい、わたくしの通った道は糸をうまくすり抜けるような道となっていますので問題ありませんよ。 ただ、わたくしからあまり離れると」


「キャァアア!」


「あ、あのようになりまして…。 大丈夫ですか!?」


 フーレン、何してるの君…

 後ろで悲鳴が聞こえたかと思えば、フーレンが罠に引っかかって足を糸でからめとられ、思いっきりパンツを見せながらあられもない姿でぶら下げられていた


「すぐ降ろします!」


「ごめんなさい~、よそ見をしてたら引っかかっちゃいました~」


 すぐに降ろしてもらえたけど、気を付けないと僕もああなりそうだ

 うん、フーレンはいい反面教師になってくれた


「こ、今度ははぐれないで下さいね」


「はい~、ごめんなさい~」


 フーレンはボーっとしてる時があるからまた引っ掛かりそう。 僕が手を繋いでおくかな

 やれやれと言った感じで僕が手を繋ぐと、フーレンは嬉しそうにしっかりと握り返した

 そんな様子をほか三柱が少し羨ましそうに見ている

 四大精霊に愛されているのがよく分かってなんだかムズムズする


「里の中も紹介できましたので、次はわたくしどもの考えた遊び場などどうでしょうか?」


「遊び場?」


「はい、糸を使って色々と作ってみたんです」


 なんだ、そう言うのもう考えてあったんだ

 うん、かなり楽しみだ


 案内されたのは公園のような開けた場所

 そして様々なアスレチックが置かれていた

 まず目に入ったのがトランポリン

 その横に糸を登って頂上を目指すアスレチック。 これは落ちても危なくないように糸のネットが下に供えられている

 それから木と鉄板を組み合わせたと思われる滑り台…

 あれ? もしかして指導者がいる?


「これって…」


「おお、そこに気が付くとはお目が高いですね精霊様! こちらは異世界人の旅人の知恵を借りて作ったのです! なんでもすべりらい?とかいうものでして、こうして、うんしょっと。 お尻でこの鉄板を滑るのです」


 シオリさんは一回滑って楽しくなったのか、何度も階段を上がっては滑り滑ってはまた階段を上がりを繰り返している


「シオリさん、これももしかして異世界人の人が?」


「そうなんですよ! ここにあるものはほとんどがその異世界人のヒダカハナコさんの発案なんです!」


 その異世界人について詳しく聞いてみると、彼女は若くておっとりとした性格で、とても争いをしそうにない性格だったらしい

 でもその体から溢れる力は思わずたじろぐほどだったとか

 妖蜘蛛族の力に負けず劣らずの怪力を持っていて、一枚数百キロはありそうな鉄板を楽々担いでいたらしい

 すごいパワフルな人だ。 もし会うことがあったら話をきいてみようっと

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