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7 妖怪族の国53

 セトカちゃんはこのあとお父さんお母さんに連れられて遊びに行くそうだ。 家族水入らずで楽しんできてね!


 やって来たのは妖蛇族の里。 ここには蛇の妖怪族がたくさん住んでいる。 例としては、大蛇(おろち)族、蛇牙(じゃが)族、夜刀(やと)族、蛇帯(じゃたい)族、蟒蛇(うわばみ)族、(みずち)族などなど、結構な妖蛇族の種族が寄せ集まっている


「…。 精霊様」


「うわ! びっくりした! びっくりした!」


 突然後ろから声をかけられて僕達は全員驚いた。 後ろにいたのは族長のミズキさんだ。 彼女は夜刀神族と言って、夜刀族の進化の先にいる種族らしい。 その名の通り神に近い力を持っているんだとか。 九尾族と同程度ってことは相当な実力があるのか。 僕らの背後を取れたのもうなづけるね


「失礼しました。 ご案内いたします。 ついてきてください」


 全く表情を変えないクールビューティなミズキさんはまるで滑るように移動した。 下半身が蛇だからこういう動きができるのか

 ちなみに神と名のつく種族で一番強いのが鬼神族らしい。 ハクラちゃんの進化の果てで、かつてそこまで到達できたのは一人だけと言う狭き門だ


「我らの里は、あまり見るところがございません。 精霊様に満足いただけるか、心配です」


 そんなことないと思うけど…。 だって今見てるだけで結構楽しいよ? 他の里と家の造りや街並みが全然違うんだもん。 道なんて溝がいくつか掘ってあって、そこに水が流れてるんだけど、妖蛇族の人達はその水路を泳いで進んでる。 その動きは優雅で、思わず見とれちゃうほどだ


「あ、あの建物は何なの?」


「はい、あそこは戦士を育てる施設です。 我らは隠密と暗殺を得意としておりまして…。 よろしければ見学して行かれますか?」


「うん、お願いするよ」


 暗殺とは穏やかじゃないけど、戦争の終わった今、途絶えさせない技術として習ってるみたい。 体験入学もできるみたいで、どうやら忍者のような修行をするらしい

 あれ? ここ、観光名所になるんじゃ?


「そうですね、今それを考えております。 体験入学の受枠を拡張して、より大勢の方に体験していただければ、そう思っています」


 うんうん、きっと観光客が押し寄せると思う。 こういう体験は普段できないもんね。 危険な修行はさせれないけど、基礎的なことやちょっとした格闘術なんかを習ってもらえるようにすれば、きっといい観光地になるはず


「では精霊ネットワークを介してその辺りの知識のある者を派遣いたしましょう。 体制が整ったらさらに精霊ネットワークをフル活用して宣伝すればいいと思いますよ」


 ふむふむ、精霊には独自の伝達手段があるからすぐに連絡が取れる。 宣伝活動には最適だね


「リディエラ様、セツとムラサメを召喚してください」


「へ? う、うんわかった」


 僕は精霊召喚で雪の精霊セツと刀の精霊ムラサメを召喚する


「リディエラ様、お久しゅうございます」


「お久しぶりです」


 二人ともかしこまって僕の前に膝ま付いた。 ああ、この二人ってそういえば、忍びの格闘術や忍術を身につけてるんだったね。 適材適所と言うやつかな。 体制が整うまではガンちゃんには我慢してもらおう。 二人と一番仲がいいのは神竜のガンちゃんだからね


 施設の中に入ると、数百人単位の妖蛇族たちが修行を行っていた

 手裏剣や無手格闘術、果ては忍術も教えてるみたいだ。 忍術は妖術などと違って自然の力と気力という力を練って使う。 種類としては、風遁、火遁、金遁、木遁、土遁が基礎となってて、そこから闇遁、光遁、無遁などといった特殊忍術に昇華していくらしい。 ここで特訓した妖蛇族の若者は更なる修行のため山籠もりもするんだとか


「では少しここでお待ちください。 師範と話をしてきます」


 この施設には三人の師範と呼ばれる先生がいるらしく、別格の強さを誇っている

 

「お待たせしました。 こちらがこの施設の支配人にして師範のシエです」


 シエさんは見たところミズキさんより少し年上なのかな? それでも若くて綺麗。 恰好はセツたちと同じ忍び装束だ


「あら、あらららら、こっちの可愛い子ってもしかして! 王女様!? あらららら、最高よ最高! ミズキちゃん、ナイス!」


 うっわ、うっわぁ。 なんて激しい人なんだろう。 会って早々撫でぐりの大襲に猛攻。 頭がくしゃくしゃになりそうだ


「ど、どうも、リディエラです」


「まぁまぁまぁ! 早速だけど王女様、家でいいことしましょう」


 え、ちょ、どこへ


「シエさん、おふざけもその辺りで。 精霊様が困ってらっしゃいます」


「えー、連れてっちゃダメなの?」


「だ・め・で・す!!」


 しょぼんとするシエさん。 でもすぐに切り替えて施設の案内をしてくれた

 水遁のためのプール、木遁のための植物園、火遁のための燃え盛るフィールド、金遁のための電気設備(大大大カラクリ工房製)、土遁のための岩石地帯などなど、修行場所としてものすごく充実している


「いかがでしょうか?」


「色々と変えなければいけないところもあるけど、セツたちならば大丈夫でしょう。 そうです、リディエラ様、念のためシノノを呼んだ方がいいかもしれませんね。 あの子なら地形把握が得意ですし、力になると思います」


 影の精霊シノノは偵察が得意だ。 隠密行動もお手の物で、当然地形を瞬間的に頭に叩き込む記憶力もある。 ここを観光地にするなら適切に改良してくれると思うよ

 僕はシノノを召喚して先ほどのテュネの指示を伝えた


「かしこまりました。 お任せください!」


 シノノは嬉しそうにセツたちに合流して施設に入って行った

 これからまず師範たちと話し合いをしてどのように改良するのかを決めるそうだ。 頑張ってね

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