表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/464

7 妖怪族の国52

 決勝戦。 残ったのは、ネネコちゃん、リリアンヌとミュゼの精霊デュオ、魔族の音楽隊ゼルセベル、そしてセトカちゃんと僕達またしても精霊のクインテットだ。

 適度な緊張感が身を引き締めてくれてる


「それではいよいよ決勝戦です! 今大会は非常にレベルが高く、決勝の舞台に立てなかった誰もがここに立っていても不思議ではありませんでした! これまでの演目を振り返っていかがでしょうか? セトダイショウ様」


「うむ、拙者いたく感動しているでござるよ。 拙者の開いた祭りが今や、世界各地から人が訪れ、精霊様までも参加していただけるほどの祭りとなった。 娘のセトカの成長も感じられる。 決勝に残った皆さまには是非とも最高の音を響かせていただきたいと思う」


 そのあとも審査員それぞれにインタビューし、決勝戦が始まった

 最初の演奏者はゼルセベル。 順番はくじで決まったよ


「それではゼルセベルの演奏を、どうぞ」


 ピアノが一人と、後はヴァイオリン、トランペット

 指揮者が手をあげ、振り始める。 この曲は…。 ウィリアムテルだ!

 激しくてノリのいいクラッシックで会場が湧きに湧いた。 決勝最初の演奏としては非常に場を温めてくれるものとなったね

 決勝ではその場で点数が出る。 観客も得票を持っている。 審査員がそれぞれ100点ずつをもってて、合わせて最高得点は1000点らしい

 さっそくゼルセベルの点数が出た。 点数はなんといきなりの940点! これが決勝戦での基準となる


「ゼルセベルの皆さん! ありがとうございました! 次はセトカ様です!」


 お、セトカちゃんの番だ。 お父さんに言われたことを注意して調整をしてたみたいだからきっともっともっといい演奏を聞かせてくれるはず!


 舞台に立ったセトカちゃんは可愛い着物を着てて、その手には横笛を携えている。 瞳はキラキラと輝いて自身たっぷりと言った印象

 部隊の中央に立つと横笛を口に加えて吹き始めた

 ピューっと突き刺さるかのような音が吹き抜け響き、いきなりセトカちゃんの体中から音が響き始めた。 さっきとは違って自分の体の音をフルに発揮してるみたい

 演奏はどんどんと重なっていって大演奏となった。 これが、セトカちゃんの本気…。 雅楽に似ていて美しくはかなげで、それでいて神聖な感じがする。 僕達精霊の魂を震わしているのか、僕含めてテュネやミュゼも目を見開きその音を一粒も漏らさまいと聞き入っていた


「ミュゼの加護なしでもこれほどの音を…。 なんて才能あふれる子なのでしょう」


 テュネが大絶賛だ

 演奏が終わると観客席全体が震えて割れんばかりの拍手喝采が起きた

 そして注目の点数は992点。 祭りが開かれた中での最高得点だ!


「セトカ様の演奏、感動いたしました!」


 エコーズさんとハウリさんがポロポロと泣きながらセトカちゃんを抱き上げていた

 余談だけどこの二人、セトカちゃんのお付きでお姉さんのような存在らしいよ


「次はリリアンヌ様とミュゼ様です!」


 優雅に華麗に登場していきなり始まる二人の歌

 調和がとれていてハモる二人の声に観客はうっとりと目を閉じていた。 目を閉じることで幻想が浮かび、美しい景色を見せてくれる。 耳と目で楽しめるのは本当にすごい。 さらに凄いのがこの二人、今は一切能力を使っていないってところだ。 まぁ能力を使っちゃうと体に影響が出ちゃうから僕からも改めて禁止してるんだけどね

 そして結果は…。 988点! セトカちゃん、ミュゼたちに勝っちゃったよ


「では鬼ヶ島の歌姫、ネネコちゃんの番です!」


 ゆっくりと歩み出るネネコちゃん。 その衣装は歌姫にふさわしいネネコちゃんの可愛さを一層引き立てるものとなっていた

 あまりの可愛さに観客席から悲鳴のような歓声が上がった

 ネネコちゃんは少しびっくりしたみたいだけど、息を大きく吸い込んで歌い始めた

 この歌は鬼ヶ島でも歌ってた大人気曲だね。 世界中で聞かれてる曲だ

 みんな知っているのか、一緒に歌ってる人もいる


「それではネネコちゃんの点数は! 985点! さすが世界の歌姫です!」


 ネネコちゃんの声に癒された観客たちはみんながほっこりと満足げな顔をしている。 癒しの歌姫と呼ばれるだけのことはあるね


「さぁさぁいよいよ最後となりました! 精霊王女様と四大精霊様です!」


 最後は僕たちの番。 今度は縦笛じゃない。 実はフルートも練習していたんだよね。 縦笛ほど自信はなかったけど、テュネが太鼓判を押してくれたからこの決勝で吹くことにした

 今度はそれぞれが大得意としている楽器ばかり

 テュネは竪琴、エンシュはバイオリン、アスラムは和太鼓、ではなくピアノ、フーレンはギター、ギター!? あ、でも結構しっくり来てる

 僕達カルテットによる演奏は、地球から伝わったジャズ、“この素晴らしい世界”だ。 この曲は僕も大好き。 歌を歌うのはテュネ。 ミュゼやリリアンヌの歌にも勝るとも劣らない彼女の歌は知る人ぞ知る最高峰のもの。 今までは精霊族の国でしか歌っていなかった。 でも今こそその歌を世界に示すときだ! テュネの最高の歌声、みんなに知ってほしいな


 演奏を始め、緩やかな音が周囲を包んでいく。 僕のフルートもうまく乗ってくれたみたいだ

 その演奏に合わせてテュネが歌い始めた。 この空間全てを掌握したかのような歌声に人々は聞き惚れて口を開けて驚いている。 この歌、前よりも洗練されてて心に響いてくる

 テュネが歌い終わるとスタンディングオベーションが起こって嵐のような歓声が響く

 もしかしたらという希望を胸に点数の発表を見ると、990点! 惜しくも優勝は逃したけど、大健闘だったと思う


「何と今大会の優勝者は、歴代最高得点でセトカ様が優勝となりました!」


 セトカちゃんは泣きながら喜び、お父さんのセトダイショウさんに抱き着いた。 セトダイショウさんも娘の成長に大喜びしてる


 こうして大盛況のうちにガラクタ祭は終わった。 優勝者のセトカちゃんにはお父さんのセトダイショウさんから賞金、もといお小遣いが出た。 喜んでる姿が何とも可愛いね


 さて、この里での観光も終わり、明日からは妖蛇族の里だね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ