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7 妖怪族の国51

 「これより点数の発表となります! 一番点数の高かった演者が決勝進出となります!」


 ドキドキの瞬間だね。 最終ブロックは接戦だと思うよ。 自負だけど僕らもうまく出来たと思うんだ

 ハウリさんが息を大きく吸い込む


「それでは点数をどうぞ! まずはボルメヴァルファスです! 果たして結果は…? 58点! 高得点です!」


 いきなりの高得点に会場が湧いた。 ボルメヴァルファスは多種族チームで世界中を旅している。 それ故にファンも多いんだ

 たくさんの拍手と喝采が起こってボルメヴァルファスを称えた


「ドンどこ行きましょう! お次はおねえちゃ…。 エコーズさんです!」


 今お姉ちゃんって言いそうになってたけど、別に言ってもいい気がする


「おね、エコーズさんの点数はぁああ! 56点! 惜しくも及ばずでしたが大健闘です!」


 お姉さんだからか、ハウリさんはすごく喜んでいるようだ。 エコーズさんの歌声、体の奥底にしみわたるようで気持ちよかったなぁ


「続きましてはフーリオンフィックルハーモニーです! やはり名門、高得点が期待されるところです!」


 さすがの名門チーム、堂々としていてどんな点数でもどんとこい、だね


「点数は! 58点! ボルメヴァルファスと同点です!」


 こちらもまた高得点、優勝候補だったし当然と言えば当然かな。 みんな誇らしげな顔をしてる

 ちなみに同点一位だった場合は観客の持つ投票ボタンによって決められる。 当然得票の多かった方が勝者だ


「次はセトカ様です! セトダイショウ様、娘さんの演奏、どうでしたでしょうか?」


「うむ、非常に可愛かったでござる。 さすが我らが娘」


「親バカ発言ありがとうございます! 個人的な見解での得点はおやめください」


「わ、分かっているでござる。 評価は厳しくつけているでござるよ」


 セトダイショウさんはこの姉妹にいじられている気がする。 まぁ観客もいつものやり取りみたいな感じで笑ってるからいいのか


「注目の点数です! 得票は何と! 59点! 今大会最高得点が出ました! セトダイショウさんのみ9点を入れたわけですが?」


「うむ、言ったでござろう? 娘と言えど厳しく審査すると。 あの子は確かによく奏でておったが、まだまだ妖術に頼るところが多い。 自分自身の本当の音を出せるようになったとき、その真価が発揮されるのでござる」


「なるほど、まだまだ成長の余地ありと言うことですね?」


「うむ」


 なるほど、お父さんであるがゆえにわかるんだろうね。 それにしてもセトダイショウさんはただの親ばかじゃない。 娘の成長を一番に考えれる出来たお父さんなのだ


「では最後の結果発表となります。 精霊様たちの結果は! 59点! なんと同点です! セトカ様と同点です!」


 うわわ、これはすごいことになっちゃった。 僕たちとセトカちゃんの同点で、観客による得票数によって決勝戦へ進めるチームが決まる


「はい、はい、え!? わかりました!」


 ん? セトダイショウさんたち審査員が何やら話してうなずきあってる。 その内容を戻って来たエコーズさんに伝えている。 決勝戦に進めなかったけど、晴れやかな顔のエコーズさんは妹のハウリさんからマイクを受け取って口元に当てる


「さぁ! 異例の事態となりました! なんと二組とも決勝進出です! これは前例のない素晴らしい事態であります!」


 ええええええ! いいの!? 僕らなんかが決勝進出して


「うむ、精霊様の演奏、まるで全ての生命を慈しむかのような、胎動に満ちたかのような演奏でござった。 今までにないような革新的な音、拙者感動したでござる。 よって今大会では5組による決勝を行いたく候」


 セトダイショウさんのその決定に会場が湧きに湧いた。 決勝戦は結局5組が出場することになった。 どどどどうしよう! また緊張の波が…。 お腹痛い(痛くなるお腹がないけど)


「おめでとうでござる精霊様! 決勝戦では拙者ももっといい音を奏でるつもりでござる! 負けませんよ!」


「うん、僕も緊張するけど、頑張るよ!」


 決勝かぁ、さっきみたいにうまくできればいいんだけど、これはもう頑張るとしか言いようがない


「では拙者は最終調整に入るでござる。 他の決勝進出者も調整をしているみたいでござるから、精霊様たちも調整するでござるか?」


「うん、そうさせてもらうよ」


 開始前にいた控所、そこでは惜しくも決勝に行けなかった人たちもいる。 落ち込んでいるかと思いきや僕達を激励するために全員が歓迎ムードで迎えてくれた


「精霊様! 演奏素晴らしかったです!」


「セトカ様も頑張ってくださいね」


「キャァアアエンシュ様ぁあああ!」


 などなどとやはり黄色い声援が飛んでいる。 彼らの思いを背負った決勝進出者たちはその声援にこたえ、それぞれがそれぞれの思いでこの決勝に挑む。 僕らだって本気で演奏して優勝を目指すんだ


 それからそれぞれで楽器のチューニングやのどの調整を終え、いよいよ決勝への舞台が整った

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