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7 妖怪族の国48

 「それではここでポイントの集計結果が発表されます。 まずはクラッパーフラッパー、集計けっかをぉおお、ドン! 出ました! 49点! この点数が基準となります。 次は妖怪族学校小等部、集計結果はぁ、はい! 47点! なかなかの点数です! 可愛かったですからねぇ~」


 エコーズさん、乗ってるなぁ。 身振り手振りも加えて見やすいね


「さてさてお次は、カグラ! 点数はドドドン! 52点! やはり強いですねぇカグラ、音色は今年も洗練されていました! 次はザ・ピッチディーヴァです。 点数は、なななんと55点! ここまでの最高得点が出ました! いやぁ他国からもお声がかかることも多いですからねぇ。 さすがピッチディーヴァと言ったところでしょうか」


 ピッチディーヴァ、綺麗な歌声だったもんなぁ。 納得の点数だと思う


「最後は鬼ヶ島の歌姫ネネコちゃんです! その名は各国に轟くほどの美声! 果たして結果は!? 出ました! 58点!! これはすごいです! 優勝候補ではないでしょうか!」


 おお、ネネコちゃんすごい! 世界中にファンと追っかけがいるのも納得できるからね

 あ、今の点数を見てセトカちゃんが燃えている。 頑張ってね!


「拙者! ネネコ殿にも勝って見せるでござるよ! 見ていてください精霊様! うおおおおおお!」


「あ、セトカちゃん待って!」


「やる気満々でござる! 呼び止めないで欲しいでござるよ」


「セトカちゃんの番はまだだよ」


「あ、そうだったでござる」


 うん、セトカちゃんのやる気は十分皆に伝わってるから、ちょっと落ち着こうね


「それでは第二開演と行きましょう! 六組目、フレグランスシンガーズです!」


 花の妖精たち(花の妖精テュルリスの妹たち)だけで構成されたアイドルグループ、フレグランスシンガーズ。 美女ばかりで会場からは歓声が上がった。 理由は顔だけじゃなくてその衣装の際どさにある。 ちょっと踊っただけでこぼれ出そうなんだけど、大丈夫なんだろうか

 彼女たちの歌が始まる。 ノリのいいビートが響き、会場が熱気に包まれた。 ああ、胸がこぼれないのは植物のツルでしっかり押さえているからなのか

 歌い終わると男性からの大きな声援が彼女たちを包み込んだ。 はぁ、悲しい男の(さが)ですね


 七組目として登場したのはホーリーベルというハンドベルグループとライトニングモルフォという聖歌隊の混合チームのセントインセクト。 ホーリーベルの方は蟲人族の男性で構成されていて、ライトニングモルフォは蟲人族の女性で構成されている

 蟲人族とはその名の通り、虫ベースの人族だ。 特徴的なのは目の複眼で、宝石のように綺麗なのだ。 さらに硬い甲殻を持ち、人によっては角や羽を持つ。 特に蝶型の蟲人族はそれはそれは美しく、僕の一度会ってみたい種族だった。 まさか彼らの国に行く前に会えるなんて思ってもみなかったよ


 カラーンとベルの音が響き、音色が奏でられていく。 心地いい音色だ。 目をつむって耳だけで音を楽しんでいると、女性蟲人族たちの歌声が聞こえてきた。 重厚感がありつつも柔らかい歌声で、オペラのソプラノのようだ。 魔笛って曲を彷彿とさせるね

 終わってみると大喝采! 素晴らしい音色と歌声でした


 八組目についにセトカちゃんのライバルであるコツボちゃんソロ! 出てきたのはセトカちゃんと同じくらいの女の子で、たれ目が可愛らしいおとなしそうな子だ

 彼女は壺をいくつか抱えていて、それを舞台にセットするとその前に立った

 

「いちにいさん…」


 壺をスティックでコツコツと叩きながらスティックを回す。 まるでドラムみたいだ

 コツボちゃんの腕が振り下ろされると、キーンと言う音が鳴り始めた。 右手にスティック、左手はガラスの壺の淵をなぞって音を出しているようだ

 右手のスティックは目にもとまらぬ速さで打ち鳴らされ、左手は滑らかに淵をなぞって音楽を奏でている

 一人で一つの音楽を作り上げている

 その光景に観客は言葉を失い、ただただ引き込まれていた。 

 数分後、何も言うことはない。 ただコツボちゃんの音のマジックに酔いしれていた


 九組目、パフポフという小人族の楽団。 小っちゃくて可愛いけど、その音色は非常に優雅でグランディオーソ! 特にピアノの演奏をしていた男性が情熱的でカッコよかったなぁ


 そして十組目、ん? また見たことあるぞ。 あれは歌の精霊リリアンヌと音楽の精霊ミュゼだ。 二人で組んでデュエット。 まったく、出るなら教えてくれればいいのに。 確かこの二人はテュネと一二を争うほどの歌がうまい精霊達。 これは波乱の予感


 二人のデュエットが始まり、会場に風が吹き抜けるような幻覚が見えた。 花が咲き乱れ、蝶が舞い、様々な香りが鼻をつく。 これは僕達精霊だから幻覚だとわかるけど、他の人たちは完全にその景色を見てうっとりとしていた。 これが歌と音楽の精霊の実力…。 恐ろしい子たちだ

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